毎日新聞が、27日、28日に実施した電話世論調査では、東京都議選の政党別の投票予定先は、自民党17%、都民ファーストの会11%となり、自民党が上回る結果となった。調査時期は異なるが他新聞の結果も参考までに載せておきたい。
自民党25%、都民ファースト22%(読売新聞・5/22調査)、自民党32%、都民ファースト17%(日本経済新聞・5/1調査)。3月には、8割近い支持率を獲得していたことを鑑みれば退潮傾向にあると考えられる。
双方ともブランド失墜の危険性
先週、衝撃的なニュースが公表された。築地市場の土壌調査の結果、環境基準を上回る有害物質が検出されたものである。東京都は、100ヶ所余りの調査地点のうち30ヶ所から、環境基準などを上回る鉛や六価クロム、ヒ素など、5種類の有害物質が検出されたと発表した。
このうち鉛は4か所で最大で基準値の4.3倍、六価クロムは6か所で最大1.4倍、ヒ素は20か所で、最大2.8倍、水銀は1か所で1.8倍、フッ素は3か所で最大1.5倍が検出されている。
「豊洲市場はコンクリートで遮蔽しているから安全」とする専門家の意見がこれまでも否定されてきた。「コンクリートで遮蔽されていたとしても、土壌は汚染されているから危険である」と。さらに、「築地」には歴史がありブランド価値があるが、「豊洲」ブランドは地に堕ちているとまで言われた。
元々、築地は衛生的に問題があり、アスベスト、地震による倒壊の危険性などいろいろなリスクを抱えてきた。豊洲市場はコンクリートで遮蔽されているが、築地市場は地面に魚を置く路面販売が多い。有害物質が検出されている以上、危険度は豊洲の比ではないだろう。未だに、築地再整備を主張する論者がいるが、いったいなにを再整備するのだろうか。
さらに、いまからボーリング調査をするようだが、既に築地は有害物質が検出され好ましくないとの烙印をおされたわけだから、速やかに豊洲に移転すべきではないのか。
少なくとも掘削面積が基準を超えていたのだから土壌調査を実施すべきだった。それを移転が決まっていたので調査を見送った。土壌汚染対策法第三条に基づいて調査をしていたらこのような結果にはならなかったはずである(参照:兵庫県環境影響評価室)。
豊洲に移転しようが築地に留まろうが、食に対する大きな不信が残ってしまった。もはや、築地、豊洲双方のブランドイメージが失墜する危険性がある。東京都からはすでに補填などにより多額の費用が蒸発している。意思決定が遅ければさらに費用がかかり、都民の生活を不安に陥れる危険性があるので注意が必要だ。
豊洲移転問題は引き伸ばしたことで事態は悪化の様相を呈している。予定通り移転していればボーリング調査は不要だった。これは、ワイズスペンディングなのだろうか。今後の動向が大いに注目される。
政局を読む方法
豊洲問題が、今後どのように決着するかはわからないが、メディアから発信される情報は精査する必要性がある。特に、日本人はメディアの発信した報道を鵜呑みにし「信用できるもの」として受け止める傾向が強いので注意が必要だ。
昨年以降のネットメディアの潮流は著しい。都知事選、参議院選、その後は蓮舫氏の二重国籍疑惑を追及したことでその注目が集まった。いま、話題の書籍がある。アゴラ編集長の新田哲史氏が上梓した『蓮舫VS小池百合子、どうしてこんなに差がついた? 』である。
政治のノンフィクションだが決して難しい本ではない。本書を読めばメディアの特性や、発信する意図を踏まえたうえで取捨選択することの必要性が理解できるはずだ。メディアに関心をもつ多くの人に参考にしてもらいたい。
尾藤克之
コラムニスト
<アゴラ研究所からお知らせ>
―2017年5月6日に開講しました―
第2回アゴラ出版道場は、5月6日(土)に開講しました(隔週土曜、全4回講義)。
講義の様子「アゴラ出版道場第2回目のご報告」