テキサスの3日目は、コーパス・クリスティからサンマルコス、ロックハートを経由してオースティンに入りました。オースティンはテキサス州の州都。田舎から都会に来た気分です。午後から不動産を視察しましたが、価格はここ数年で高騰し、大学のキャンパス付近の優良物件は既に利回りではグロス(賃料を価格で割った表面利回り)で8%以下。経費を差し引くと日本の都内のワンルームとあまり変わらなくなっています。
海外不動産投資で現地の物件価格と共に気になるのが、為替です。一時、1ドル=105円台まで進んだ円安は、米国景気の後退や新興国の通貨リスクなどが嫌気され、円高に転じています。現時点では、1ドル=101円台前半と、4円近くの円高になりました。
海外投資を始めた人にとっては気になる動きですが、どのように考えたら良いのでしょうか。
外貨投資をして円高になれば、為替差損に見舞われます。10万ドル(約1000万円)のドル資産を持っていたとすると、1円円高になると、10万円ずつ為替差損が膨らんでいく計算になります。今回の円高で、1ドル=105円の時にドルを買っていた人は円ベースで4%近くの為替損になります。
しかし、これは円から見た時の話です。多くの投資家は円と外貨をミックスさせて資産を保有しています。そこでもし、1000万円を500万円の円と5万ドルの米ドルで保有していたらどうなるかを考えてみましょう。
1ドル=100円の場合、500万円と5万ドルを合計すると、円換算では1000万円、ドル換算では10万ドルです。
もし、1ドル=80円まで円高が進んだとしましょう。すると
円換算では、500万円と400万円(5万ドル@80円)で900万円まで減ってしまいます。
ところが、米ドル換算すると、62,500ドル(500万円@80円)と5万ドルで、100,000ドルが112,500ドルに増えるのです。
円高になった時、円ベースでは為替差損が生じますが、外貨ベースで計算すると円が強くなった分、価値が増大します。
外貨資産を持っていて円高になった場合、円から見るか、外貨から見るかによって、評価が変わるのです。
円高というと外貨投資をしている人は嫌な気持ちになるものですが、すべての資産を外貨にしていなければ、むしろ自分の持っている円の部分の価値が上がったと考えることもできるのです。
外貨投資において重要なのは、円高になるか円安になるかの予想結果ではありません。どちらに転んでも大きなダメージを受けないように為替の比率を管理していくことです。
円高というのは、円資産100%の人にとっては、外貨との交換を有利に進められるチャンスとも言えます。
円資産100%のポートフォリオをすべて外貨に換えることはおススメしませんが、せっかく外貨投資を考えているのであれば、円高のタイミングを始めるきっかけにしてはどうでしょうか。
円安になっても、円高になっても、大きなダメージを受けないように2つの資産をバランス良く保有する。通貨配分という発想で資産全体をマネージするようにすることが重要です。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2014年2月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。