韓国国民よ、考えてほしい --- 長谷川 良

アゴラ

韓国聯合ニュース日本語電子版で以下の記事を読み、少々、ショックを受けた。その記事を紹介する。

【ソウル聯合ニュース】韓国の民間シンクタンク、峨山政策研究院が今月実施した各国首脳の好感度調査で、安倍晋三首相に対する韓国国民の好感度が北朝鮮・金正恩第1書記を下回ったことが5日、分かった。
 同研究院が1~3日に韓国の成人男女1000人を対象に調査したところ、安倍首相に対する好感度は10点満点中1.11点だった。米、中、ロの首脳はもちろん、金第1書記(1.27点)よりも低い。これは昨年7月の調査開始後初めて。
 安倍首相に対する好感度は昨年7月に1.65点、11月に1.43点だった。12月の靖国神社参拝以降はさらに低下し、今年1月の調査では1点を割り込み、金第1書記と並んだ。国別でも日本に対する好感度は2.27点で最低だった。
 北朝鮮への好感度は2.71点で、昨年2月の3回目核実験後では最も高かった。朝鮮戦争などにより生き別れになった韓国と北朝鮮の家族再会行事が先月行われ、好感度を押し上げたと分析された。


何十万人の同胞を政治収容所に送り、言論・結社・宗教の自由を蹂躙している北朝鮮の最高指導者・金正恩第1書記が日本の安倍晋三首相より好感度がいいと本当に思っているとすれば、韓国国民の国際情勢に対する無知に驚かざるを得ない。

日本の政体は民主議会制度だ。選挙は実施され、権力者を罵倒する自由も享受できる。その日本の首相と、指導者の悪口は即政治収容所送りとなり、悪くすれば家族ごと公開処刑される国の指導者を比較することすら本来、馬鹿げている。金正恩氏は、国連人権理事会が「反人類罪」と呼んでいる国の独裁者だ。

韓国国民にこのようなことをわざわざ言わざるを得ないことは少々悲しい。中国共産党政権が韓半島に侵入した時、誰と共に戦えるのか。日米両国しかない。中国と北朝鮮は一党独裁国家だ。世界観、人間観が異なる。このようなことは日本ならば中学生も知っている。

韓国国民は冷静に今回の調査結果を検証して頂きたい。「正しい歴史認識」を主張する前に、国際社会の現状をまず冷静に観察し、「どこが間違いか」を内省してほしい。「このような国民にしたのはあいつのせいだ」と、どうか言わないでほしい。

戦争体験世代の国民が少なくなってきたが、反日感情は高まってきている。ちょうど、国内にユダヤ人人口が少なくなっているのに、反ユダヤ主義が高揚しているポーランド社会のようだ。

若い世代は誰にいわれなくても自然と未来志向となる。政治家が音頭をとらなくても、時間の経過と共に、日韓両国関係も未来志向となるものだ。それが過去志向に逆行するとすれば、何かが問題と言わざるを得ない。

日本首相の好感度が低いから激怒しているのではない。隣国韓国が本当に危ないと痛感し、大きな懸念を感じるからだ。韓国国民が安倍首相より金正恩氏の好感度が本当に良いと思うのならば、その見方はかなり狂っている。


編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2014年3月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。