「光の道」とNTTの構造分離(まとめ) - 松本徹三

松本 徹三

この問題については、先週の月曜日水曜日に二回に分けてアゴラのコラムで長々と論じましたが、それに対し多くのコメントを頂きました。また、現時点で9700人を超える方々にフォローして頂いている私のTwitterでも、この件に対するやり取りが継続的にあります。その中で、「私の考え」や「ソフトバンクの孫社長が今回打ち出した具体的な提言」に対する異論・反論は、おおむね体系的に把握出来たと思います。


考えてみれば、これは驚くべきことです。新聞や雑誌にしか頼れなかった時代には、このように自分の考えをどんどん世の中に問うことも出来なかったし、ましていわんや、それに対する異論・反論をほぼリアルタイムで聞かせてもらえる等ということはあり得ませんでした。官庁筋や有力なジャーナリストの方々も、「もはやブログやTwitterを無視している訳には行かない」と言って頂いていますし、「言論のあり方の革命」が今や着々と進行していることが実感出来ます。

そういうわけで、今回は、こうして収集できた異論・反論をベースとして、これまでの議論を総括してみたいと思います。(本当はチャートの形にして示せるともっとよいのですが、まあ、それは今後の課題としておきましょう。)

本論に入る前に、もう一度、現在私が勤務しているソフトバンクの立場を整理しておきます。ソフトバンクが望んでいる将来の姿は下記の通り単純明快です。

(1)出来るだけ早い時期に、あらゆる種類のクラウド型のサービスを可能とする「高速通信網」が日本中にいきわたること。

(2)あらゆるレイヤで完全な「公正競争環境」が保証されていること。

以上の2点に尽きます。

上記の(1)については、当然自らも貢献したいのですが、その為には2)が先決であり、且つ、仮に(2)が保証されていても、新たに自らが直接参入するのは「実質的に不可能」、或いは「極めて不効率」な分野もあることを認識しています。

次に、国の見地から考えるなら、上記の2点に加え、「あらゆるサービスを、全国で格差なく提供できること」が目標になるでしょう。

これが実現出来るなら、どのような技術が使われようと、NTTの組織にメスが入れられようと入れられまいと、そんなことはどうでもよいのです。「光の道」ということがスローガンとして掲げられているのは、「目的達成の為には、どうもそれが近道のようだ」と考えられているからであり、「NTTの構造問題」が併せて議論されているのは、「突き詰めていくと、この問題は避けて通れない」と思われているからに過ぎません。議論の結果、「もっとよい方法がある」という事になれば、それに固執する必要は全くないと思います。

それでは、前置きはここまでとし、以下に「異論・反論」を順不同で羅列し、そのそれぞれに対する回答、反論、或いはコメントを記します。順不同で羅列されている異論・反論には、当然、重いものと軽いものが交じり合っておりますが、ここでは特にそれを意識はしない事にします。

1)インフラは諸外国より進んでおり、大きな問題はない。それよりも重要なのは「利活用」の問題なのだから、先ずはそのことに議論を集中すべきなのに、何故インフラのことばかりを論じたてるのか?

「インフラ」の問題は「必要条件」ではあるが、勿論「十分条件」ではありません。それなのに、何故先ず「インフラ」の問題のみを声高に論じるかと言えば、それが「政治的にしか解決できない問題」だからです。逆に「利活用」の問題は、環境さえ整えば自然に進むものであり、あまり政治的に論じる必要のない問題だからです。

いつも例に挙げることですが、多くの発展途上国では、電力線を国の政策として各戸まで引き込むかどうかは、国家レベルでの大きな議論となります。しかし、それが電灯等の最小限の用途でしか使われない(つまり「利活用が不十分で、無理して電力線を引き込んだ意味が少なかった」と判断される状態にとどまる)か、テレビや、洗濯機、冷蔵庫などを含む数多くの家電製品の為に使われる(つまり「十分に利活用が進む」)かは、各利用者のニーズと経済力によって決まることであり、別に大きな政治的な議論を必要としません。

家電製品の製造会社や流通・輸入業者は、それぞれの思惑で投資をして、売込みをはかりますが、それがうまく回るかどうか、どのように進捗するかは成り行き次第ですし、国が関与すること等はあまりありません。「高速通信網」の「利活用」も同じことで、インフラが広くいきわたっていれば、多くのサービス業者の意欲が刺激され、多くのサービスが格安に提供されるようになり、それによって利活用が進むのが普通です。

現在の携帯電話サービスを支える3Gネットワークのことを考えてみてください。今や、多くの人達にとって「3Gがない」等という状況は考えられず、3Gでも不十分と感じる人達が日増しに多くなっている状況ですが、導入時は、多くの人達の想像力は「テレビ電話」等というものにしか及ばず、これは当然のことながら全くの空振りだったので、先行したドコモは2年間投資の回収に苦労しました。(欧州などでも、「一体何が3Gのキラーアプリになりうるのか」という議論が長い間続いていました。)

学者や評論家の先生方が「高速通信網の利活用」の問題を論じている姿は、失礼ながら私にはやや滑稽な(場違いな)ものに見えてなりません。そういう方々の誰が、YouTubeやFace book、モバゲーやグリーのことを予測できたでしょうか? インフラは巨大企業にしか整備できず、巨大企業ですら政治の後押しがなければどうにもならない事が多いのに対し、「利活用」の市場は、放っておいても、名もない人達が滑ったり転んだりしながら作り上げていくものです。

現時点でも既に相当数の人達が「光でなくちゃあ、トロくさくてやってられないよ」と感じ、実際にFTTHを契約しているのですから、すでに「利活用」は始まっているのであり、後はこれが拡大していくのが自然の流れのように思われます。

成程、初期においては、ある程度のリテラシーを持った人達や、オタクっぽい人達が主な利用者になるので、「一般人がそんなものを使うのかなあ」という考えを持つ人達も多いでしょうが、市場がある程度まで広がってくると、サービスの提供者がもっと利用者層を広げようと考えて、関連機器やサービスの手順を簡素化していくので、実際に利用者層が広がっていくのが常です。

「インフラ」と「利活用」を、その「重要性」や、現時点での「不十分度」から静的に比較してみれば、成程、後者の方が前者より数倍「重要」であり、且つ「不十分」であるのも事実です。しかし、これを動的に見ると、「インフラ」がなければ何も始まらないので、これだけは政治的に引っ張っていかねばなりませんが、「インフラ」さえ整備されれば、後はほぼレセ・フェールで動くでしょう。

「インフラ」は鶏、「利活用」は卵です。つまり、「インフラ」は「とりあえず確保しなければならない数羽の鶏」であり、「利活用」は「毎日生み出されて食卓に供せられる大量の卵」なのです。従って、今、とりあえず論議を鶏(インフラ)に集中することは、意味のなることであって、全然おかしいことではありません。

(尤も、「利活用」の面でも、一つだけ政治的なプッシュが必要なことはあります。それは既得権者の抵抗で一向に進まない「コンテンツの二次利用、三次利用」の問題です。これは「通信と放送の融合」の問題とも絡み合った問題であり、今すぐにでも「政治主導」が必要とされている事柄です。)

2)現時点で既に日本全体の90%に対して光回線敷設が可能な状態になっているのに、実際の利用者は30%程度にとどまっている。一部の地方都市等では、地方自治体が金を出して全戸に光回線引き込みを可能にしたのに、やはり加入率は30%程度にとどまっている。これは、「インフラを整備しても利用は進まない」ということの何よりの証左だ。

先ず、NTTが言っている90%という表現は、非常に誤解を生む表現であることを指摘したいと思います。実際には、局舎設備と地下埋設の「とう道」部分で約90%、架空部分で約80%、引込み線で約30%です。

利用者の声を集めてみると、架空部分が完成している地域で、実際に引込み線を注文しても、「すぐに応えてくれる保証は全くない」との事です。「道路の同じ側で6件の加入者が集まらないとやってくれない」という例もあったようです。ですから、NTTは「全国の90%は既にカバーされている」等という抽象的なことは言わずに、正確に現状を説明すべきですし、この事を引き合いに出す人達は、実態を正確に把握した上で参照すべきです。

次に、現状で利用者が30%もあるということは、考えてみれば相当な利用率と言えます。現状では、光回線のスピードを必要とするアプリケーションがそんなに多く存在しているわけでもなく、また、その存在が周知されているとも言い難いにもかかわらず、この数字であることは、「将来については相当楽観的な見通しが可能だ」とも言えます。

今後下記のようなことが起ると、この数字が70-80%まで増えるのにはそんなに時間はかからないでしょう。

1.UStreamのような、魅力ある新しい映像系インターネットアプリの増加
2.メールやブログ、ツイッターなどへの画像、映像の添付率の増加
3.VOD(Video on Demand)サービスの充実と低価格化
4.「見落としTV放送番組の再送サービス」の充実
5.WiFi装備の携帯端末の増加(携帯電話機並の小さなスクリーンサイズのものから、パソコン並の大きなスクリーンサイズのものまで)
6.家庭におけるWiFi環境(Home LAN)の普及
7.テレビ受像機への「インターネットアクセス機能」の追加と「簡単操作」の開発
8.FTTHサービスの低価格化と手続きなどの簡素化
9.サービスの周知徹底

なお、この事に関連して、「FTTHの普及を進めた地方都市におけるサービス利用率の低さ」がしばしば引き合いに出されますが、これはいわば当然のことです。人口の多くない地方都市だけの為に、新しくサービスやコンテンツを開発してくれる奇特な会社はありませんから、アプリの数は自ずと限られ、従って、「インフラが整備されたからといって、利用者にとっての魅力はすぐには生まれてこない」ということになるからです。

ところが、「光の道」構想などによって、全国規模の巨大マーケットが生まれると、既存のサービス業者や多くのベンチャービジネスが、「都会向け」「地方向け」「若者向け」「年配者向け」を問わず、我先きに新しいアプリを開発しますから、これらの先進的な地方都市のユーザーも、その時点でやっと報われることになると思います。

3)都市部では、NTTと電力系の事業者、CATV事業者間の競争が既に存在しているのだから、このような競争に任せておけばよいではないか。せっかく民間でまわっているものを、何故今更時計の針を逆回しにするように、公営化せねばならないのか?

この問題に関する議論には、二つの側面があります。

先ず、国(民主党政権)の立場からいくと、「全国民に分け隔てなく」サービスを提供出来ないのなら、「電子政府」「遠隔医療」「電子教科書(ネット授業)」等を政治目標にすることは出来ません。従って、最初からこれを前提条件にせざるを得ないのです。つまり、「先ず目標がある」という議論です。

NTTに任せておけば、当然彼等が考える範囲内での「経営合理性」の枠内でしか新規回線の敷設は出来ませんから、現状の如く、当初の3000万回線の目標が先ず2000万回線に減り、その後も時間が経つ度に目標が下方修正されているわけです。従って、「全国民に分け隔てなく」という理想などはとても実現出来そうになく、当然、「何らかの政治主導が必要」という結論になります。(後は、「関係者が知恵を絞って、それを可能にする方法を考えろ」というわけです。)

ソフトバンクは、いわばこの要請にこたえて知恵を絞ったともいえます。その意味で、ソフトバンクの議論は、「問題解の為の議論」です。

先のブログでも述べたとおり、ソフトバンクの孫社長は、「税金は一切使わない」「高度サービスを必要としないユーザーの負担は一切増えない」ということを初めから至上命令としました。そこから、「計画的に全てのメタル回線を例外なく光に変え、短期間内に光とメタルの二重保守構造を全廃すれば、この目標は達成できる。そうでなければ不可能」という結論が導き出されたのです。

そして、ここから、「現状では、国の目標は達成できないから、大胆な施策を行う必要がある。NTTが自主的にやってくれるならそれが一番よいが、そうでなければ、国の方針に従ってもらうしかない。NTTの現在の株主構成や従業員は何も変えず、単純に二つのオペレーションを切り離して、新しい経営理念でそれぞれを運営するだけでよいのだから、全ての関係者の利益がそれぞれに増える形で、国の目標も達成できる」という提案が生まれました。

(もし、「アクセス回線会社の方は、『国営に近いような特殊法人』にした方がよい」ということになるのなら、それはそれでもよいかもしれませんが、「コストを下げ、公正競争環境を担保する」だけの為なら、「経営を徹底的にガラス張りにする」だけでよいわけですから、恐らくその必要はないだろうというのが現在の考えです。)

電力系の会社やCATV事業者の立場は、勿論考えなければなりません。これについては、更なる詳細な議論が必要ですが、基本的には、これらの会社に下記の「三つの選択肢」を与えることで、公正な共存共栄がはかれるものと考えています。

1.NTT系のアクセス回線会社と競合する。(都市部?)
2.必要に応じNTT系のアクセス回線会社から回線を借りることも出来る。(地方?)
3.必要があれば、自らの既存施設をNTT系のアクセス回線会社に買ってもらうことも出来る。

4)ソフトバンクの提案は話がうますぎる。そんなにうまく行く筈がない。どこかに「誤り」や「見落し」がある筈だ。

これは「単なる感想」に過ぎず、議論とは言えません。一応の計算根拠はソフトバンクから既に提出されているのですから、単純にこれを検証すればよいだけのことです。もし、検証の結果、「誤り」や「見落し」が発見されれば、ソフトバンクは陳謝して訂正すればよいだけであり、こうして修正された「最終案」のフィージビリティーをあらためて検証すればよいだけのことです。

(ソフトバンクは、NTTの内部の状況について色々想像しながら、かなり無理して「計画書」を作っているのですから、当事者のNTTが精査すれば、修正すべきところが多数出てくるのはむしろ当然でしょう。)

5)何故「全国一律」でなければならないのか? 何故「当面使う当てもなさそうな人」にまで100Mbpsもの能力を供給せねばならないのか?

この答は、既に上記1)と2)の答として出されています。例外をつくると、却って高いものにつくのが普通です。途中で必要になった場合に追加するのも、長期的な観点から見ると大きなコストアップ要因となります。

6)何故「光」と決め付けるのか? 選択肢の幅を狭める必要はない。

伝送能力としては、少なくとも数十年は「光」を超えるものはありません。また、100Mbpsは、30年ぐらいまで先を見越せば、当然必要と考えるべきです。(将来はそれ以上が必要となるでしょうが、その時には回線を張り替えずともアップグレードが可能になるようにしておくべきです。)

モバイルの技術を固定環境で使うのは無駄(コスト的に高くつく)ですし、能力的にも100Mbpsは当分の間はとても無理です。(「ユーザーが一人だけで、たまたま基地局の近くにいる」ことを前提とした「ピークデータレート(仮想的な最高瞬間風速)」と、実際の「一人当たりの平均スピード」がよく混同されており、これが多くの人達の誤解の源となっていますので、先ずはこのあたりの啓蒙が必要です。)

DSLの将来技術でも、距離による減衰を考えればとても無理です。WiFiは、そもそも独立したものではなく、「有線回線の最後の10-20メートルを無線化するのに最適の技術」なのですから、光回線などでサポートされていなければ意味がありません。(アクセスポイントが光回線でつながれていて、初めて100Mbpsが出せるのです。)

そもそも、技術の問題を、素人が聞きかじりの知識をベースにして議論しても何の意味もありません。「最も効率的な国の通信システムのグランドデザインはどういうものであるべきか」は、NTTの人達を交えた技術者の間で大いに議論させて、報告させればよいと思います。(ずっと以前から「光通信の最も熱心な信奉者」であり、その為に長い間「中間技術としてのADSLの可能性」を否定してきたNTTが、この問題について沈黙を守っているのは、極めて奇異です。)

7)ソフトバンクがそんなに熱心なのなら、自分達でやって、競争を仕掛けていけばよいではないか。何故自分達は汗をかこうとせず、NTTにさせようとするのか?

「競争」でユーザーの求めるコストレベルを実現出来るのなら、誰でも「競争」を仕掛けるでしょう。しかし、そんなところで競争をしていたら、とてもコストの壁は破れず、「日本中に分け隔てなく高速通信網を張り巡らせる」などという理想は実現出来ないのです。この仕事はNTTしか出来ず、また、NTTでさえ、今の体制や経営理念では実現出来ません。だからこそ、こういう分野では「国家政策」が必要なのです。

(ソフトバンクの場合は、ADSLでは蛮勇を奮って価格革命を引き起こしました。光時代においても、当然同じことをしようと試みましたが、どうしても競争出来る状態ではなかったので、涙を呑んで断念したのです。)

8)メタル回線はいざ知らず、光回線は「民営化後のNTT」が自分の力で先行投資し、営々と構築してきたもの。それを今になって国が取り上げるのは理不尽。憲法で保証された「財産権」の侵害である。

率直に言って、このような話を聞くと、私は本当に怒りを感じます。国が何時何かをNTTから「取り上げる」と言いましたか? 国は、単に、「国策に合致するように、組織構造を変えたり、経営のやり方を変えたらどうか」と言っているのです。それに反対なら、「こういう組織、こういうやり方の方が、国策により合致すると思いますよ」ということを、筋道を通して「逆提案」すべきであって、間違っても「我々は民営化された私企業なのだから、国は口を出すな」等と言えた筋ではないのです。

そもそも、「NTTの分離分割論」は、その必要があったからこそ、1990年の初めから議論されているのです。この過程において、「先送り」こそ何度もされては来たものの、一度として否定されたことはありません。ましてや「財産権の侵害」等という事が、何故今更言い出せるのでしょうか? それなら、これまでの議論の中で、法律家を総動員してでもそのことを徹底的に議論して、白黒をつけてしまっておけばよったではないですか。

話は簡単です。これまで延々と「先送り」をしてきた「NTTの分離分割論」を、今度こそ徹底的に議論して、はっきりと決着を付ければよいだけのことです。国からとやかく注文を付けられるのが嫌な部門があるのなら、その部門は「国が大株主である持ち株会社」から自ら離脱し、自主独立の道を歩めばよいのです。

それから、NTTは、事あるごとに「光回線は民営後に自力でつくりあげてきたもの」と言いますが、NTTがやってきたことは、「先送り」によって「持ち株体制」「寡占体制」を温存した上でやってきたことであり、多くの「普通の会社」がやってきたこととはとても同列には語れないことを、自覚しておいて頂かなければ困ります。

「自力で光回線を敷設してきた」と言われますが、それは、明治以来の「規模のメリット」、「顧客ベース」、「局舎」や「とう道」、「架空線施設の権益」などがあって、はじめて出来たことであり、一から始めたものではない事を、よく噛み締められるべきです。

NTTが現状では「普通の会社」ではないことは明らかです。ですから、そういうことを何時までも言われない為にも、この辺で、「公益的な特殊会社」と「普通の会社」の二つに、きっちりと自らを分離してはどうなのでしょうか?

9)NTTしか出来ないという事で、この仕事はNTTが引き受けるとしても、どうしてNTTの嫌がる「構造分離」までしなければならないのか? どのようなやり方でやるかは、NTTに任せればよいではないか?

そもそも、何故NTTは「構造分離」をそんなにまで嫌がるのでしょうか?「構造分離」を行った場合に、具体的にどのようなデメリットが、ユーザーやNTTの各ステークホルダーに生じるというのでしょうか?

一方、NTTと競合関係にある通信事業者の立場からすれば、現在の状況は、「彼等に回線を卸売りしているNTTの『卸売り部門』が、彼等の競争相手であるNTTの『小売部門』と同じ経営の傘下にある」という事なのですから、公正競争の保証は全くないと考えざるを得ません。現実に不公正競争の例証はこれまでにいくつも出ていますが、暖簾に腕押しで、何時までたっても埒があいていないのが実情です。

10)NTTを分割すれば、株主に不利益を生じる。株主代表訴訟も防ぎ得ない。

「具体的にどのような不利益が生じるのか」を明示して頂かなければ、そもそも議論になりません。

株主構成はそのままで、とりあえず現在の組織を二分するだけなら、分離したその時点では、株主の資産は増えも減りもしません。その後の二つの会社の市場価値がどのような変遷をたどるかについては、私は「コングロマリットディスカウントの解消」等でプラス面の方が相当に大きくなるだろうと踏んでいますが、意見を異にされる方がいるなら、具体的にその見通しを語って頂くべきです。しかし、何れにせよ、少なくとも「アクセス回線会社の分離」が株主代表訴訟の対象になるとは、私にはとても思えません。

これで、「反論に対する反論」は終わりです。なおも「上記に含まれていない異論・反論」がある方は、どんどん出していただければと思います。その一つ一つに対してあらためてお答えします。

最後に、少し感傷的な話になりますが、今回の一連の議論を通じて私が感じたことを、一言述べさせて下さい。

私が強く感じたのは、多くの日本人から「未来に夢を託す」少年のような気持が消え去りつつあることです。今の日本では、多くの人達が、自分達の今の立場を守ることばかりに汲々としており、リスクを取ってまで「破壊的な前進」を試みようとはしていません。

止むを得ないことなのかもしれませんが、孫さんや私が何か一言言うと、多くの人達が、ほぼ自動的に「その裏には何かソフトバンクの思惑があるのでは」と疑ったり、「自分達の組織が壊されたり、既得権が失われるのではないか」と恐れたりするのです。何とも淋しい限りです。

この人達の頭は、もはや自分達の小さな常識の中でしか物事が考えられないようになっており、その枠外にある「国の将来への思い」とか「志」等というものは、何か「現実離れしたもの」のように見えてしまうのでしょう。この人達が言う事の中からは、「想像力」や「創造力」といったものが殆ど感じられないのです。

私はもう年寄りですから、もはや何が出来るわけでもないかもしれませんが、現在40-50歳代の日本を動かしている人達は、本当に今のままの「考え方」や「生き方」を続けていてよいのでしょうか? 発展途上の国々のリーダーには、善きにつけ悪しきにつけ、少年のようなところがあり、「自分の国を大きく変えていこう」という野心があります。日本のリーダーがそれをなくしたら、これからの日本が「緩やかな衰退」から逃れることは、段々と難しくなるように思えてなりません。

コメント

  1. atoman0 より:

    ipadでも、私生活で常に持ち歩くということはあまりないだろうと思います。どのコンピュータでも、自分の設定でインターネットのサービスを利用できれば十分です。必要なのは、データやパスワードぐらいです。
    したがって、コンピュータやその他の様々な電化製品が光回線に有線や無線でつながれる形でいい気がします。携帯電話でも、家庭では、WiFiと光回線でつながるようにすればよさそうです。

  2. bobby2009 より:

    >あらゆる種類のクラウド型のサービスを可能とする「高速通信網」が日本中にいきわたること。

    日本中 = 家庭 + 屋外 という事であれば納得できます。私は最新のモバイル機器を即買いするタイプではないが、仕事と遊びの双方の情報をクラウドにキープしており、クラウド無しではいられません。ガラケーからiPhoneへ移行した多くの人が、今後はそういうライフスタイルになる事を確信しています。

    >あらゆるレイヤで完全な「公正競争環境」が保証されていること。

    「公正な競争を保障」といった場合、分割された光回線会社がNTTグループ以外へ取引させる事を強制できません。つまり、「公正競争環境」という表現は間違いで、正しくは「後発参入企業が市場競争を維持する為に、最大手であるNTTが不利になるような非対称規制が保障されていること」であると思われます。私もこの非対称規制の必要性には同意します。米国や韓国でもそのようにして後発企業が競争力を得るように行政が誘導してきたと考えます。

    >伝送能力としては、少なくとも数十年は「光」を超えるものはありません。

    研究中の次世代規格であるギガビットWifi(IEEE802.11vft)はシングルリンクで500M以上、マルチリンクで3Gbpsの伝送に成功しているようです。

  3. pacta より:

    電子政府、電子教育等を日本中で実施する企画力、実行力は今の政府にはなく、もしやり始められても郵政民営化や普天間移設のように迷走して、当初のビジョンからはかけ離れたものになるでしょう。
    後ろ向きで申し訳ありませんが、日本政府が10年単位で多方面に施策を必要とする事業を成し遂げられるイメージがわきません。
    広くあまねくより、特定地域集中の方が結果が得られると思います。
    それで地域サービス格差が広がっても、何もなし得ないとしか思えないユニバーサルインフラよりましです。

  4. looruhiro2 より:

    >人口の多くない地方都市だけの為に、新しくサービスやコンテンツを開発してくれる奇特な会社はありませんから、アプリの数は自ずと限られ

    この部分は全くインターネットのサービスとしては
    相反していませんか?

    もちろん地域に特化したサービスもあるでしょうが、
    ネットであれば都会だろうが田舎だろうが外国だろうが
    基本的に同一のサービスが利用できます。

    このアゴラもそうですよね?

    それから個人的に疑問なのは光で上下分離であるなら
    携帯電話も上下分離かつ光とセットでの運営するべきでは。

    携帯も各社が電波塔など建てれば非効率ですし、
    携帯電話からのデータを光に流すことの方にも
    重きがあるのであれば光事業者は
    携帯事業者にある意味ただ乗りされるわけですから。

    そこもシームレスに一体運営する方法の方が
    御社にもメリットは多いのではないでしょうか??

    まあ、個人的にはこの議論を見ていると、
    メーカも工場を一体運営してみては~とか
    そんなことを思い始めています。

  5. keishirotaj より:

    光がメタルよりも無線よりも、減衰がなく遠くに確実に、高速に通信できる手段であると思っていました。
    将来的にも、光>メタル>無線 の順序は変わらない。理論上、そのように思っていましたが違うんですかね。

    最強(あえてこういう書き方にしますが)の通信手段を安価で一気に敷設できるなら良いじゃないかと思っていましたが、前提が違うならば通信手段そのものを議論することは納得できます。

  6. bobby2009 より:

    >将来的にも、光>メタル>無線 の順序は変わらない
    4の内容を引用します。「研究中の次世代規格であるギガビットWifi(IEEE802.11vft)はシングルリンクで500M以上、マルチリンクで3Gbpsの伝送に成功しているようです。」

    >最強(あえてこういう書き方にしますが)の通信手段を安価で一気に敷設できるなら良いじゃないかと思っていましたが、前提が違うならば通信手段そのものを議論

    各家庭へ普及可能な廉価版技術(未来に実現可能なものも含む)の範囲で考察してみました。

    1)安定性ならダントツで光。機器類は業務用に準じた安定性。
    2)利便性なら無線。屋内はWifiで、屋外ではHSDPAあるいはWiMAXなどへ自動で切り替わる。有線接続でないので、屋内でも端末の持ち歩きが自由。
    3)速度は、短距離なら互角、長距離では光が圧倒的に強力といえます。

    どんな前提かを始めに決める必要があります。「あらゆる種類のクラウド型のサービス」を前提とするのなら、固定型パソコンと移動型パソコンとクラウド端末のすべてで情報共有されるべきです。であれば、屋外は遠距離型無線通信(WiMAX等)、屋内は近距離型無線通信(無線LAN)での利用が最強という事になるのではないでしょうか。

  7. 松本徹三 より:

    otg010085089さんのコメントにはがっかりです。私は「自己利益誘導」などということを言われないように、きっちりと、ソフトバンクの「メリット」と「狙い」はこれこれ、国(国民)のメリットはこれこれと、冒頭に記しました。

    「独善(独りよがり)」と言われないように、これまでの異論・反論を項目別に分けて、論理的にこれに反論することを試みました。それでも「独善」と言われては、「それではどのように論じればよいのか」と当惑するばかりです。むしろ、otgさんの方に、何らかの「思い込み」があるか、「防衛本能」が働いているのでは?

    技術問題については、極めて常識的なことを申し上げているだけです。理論的に考えても、固定環境にいる相手に多量の情報を伝送する為には「高周波をチューブの中に閉じ込めて独占的に利用する」光通信以上のものは当面考えられません。これ以上の議論は時間の無駄と思います。

    「財産権の侵害」は、勿論、法的には存在する概念ですが、「現在のNTTにアクセス回線の事業を分離することを国が命じる」ことが、「財産権の侵害」に該当することはあり得ないと私は思っています。勿論、法律家の中には、どんなことでも「立件できる」と主張する方はいるでしょうが、それならば、どなたかがその論拠をまとめて発表され、公に議論すればよいと思います。

  8. bobby2009 より:

    松本さん

    >理論的に考えても、固定環境にいる相手に多量の情報を伝送する為には

    これから先の時代にインフラについて論じている時に、前提条件が「固定環境」になるのは如何なものでしょうか。

  9. Qui より:

     長文おつかれさまです。
     いろいろ同意できるところや反論もありますが、とりあえずはコメントの意見など。

     国外の例ではありますが、otg010085089氏は『財産権の侵害』に対して、実例をあげています。
     松本氏はそれに対して『私がそう思うからそうなんだ』で終わっています。その上、『私の思うことに対して反論があればその論拠をまとめて発表すればよい』というのは、反論の放棄と思わざるを得ません。
     現実に起こったこと(実例)に対して思い(非現実)を主張される。はて、説得力があるのはどちらでしょう。

     また、ソフトバンクの自己利益誘導と言われてもしかたない面はあると思います。実際にソフトバンクのフェムトセルはISPから「一方的な言い分だ」ということが起きています。

    http://www.k-opti.com/statement/statement100521.html
    http://support.eonet.jp/news_article.php?id=203
    http://www.stnet.jp/news/h_antennaft.html

     ISPだけの言い分ではなく、総務省からも協議の要請があるとの報道があります。

    http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20100524/348371/

     私は、『信用』とは行動の結果と考えています。
     例えが悪いかもしれませんが、犯罪者が再犯しないということを信用するには、行動の結果からしか信用できないからです。

     私の考えはさておいても、自己利益のためとも思われる行動があった中で、『光の道』は違うとおっしゃるのなら、その信用は第三者が自ずと判断することでしょう。

  10. https://me.yahoo.co.jp/a/Lw3RE1VEUPSdFXEBETkjoQTnv2tI#54bbd より:

    私も、「シャノンの定理」に誤りがあるとでも、誰かが証明でもしない限り、

    「将来的にも、光>メタル>無線 の順序は変わらない」

    と、理解しています。

    ある一定面積内に、ある一定以上の伝送速度を保障した高速通信を、できるだけ多数に、提供しようとするならば、光ファイバーによって通信拠点『直前』まで伝送する方法に勝るものはないと。 (直前と書いている点がミソです)

    このことは真野氏の寄稿の中からも読み取れます。
    http://agora-web.jp/archives/1014455.html
    タイトル「Innovation と Principle」を読み返されてはいかがでしょうか。

  11. https://me.yahoo.co.jp/a/Lw3RE1VEUPSdFXEBETkjoQTnv2tI#54bbd より:

    ところで、昔懐かしい言い方をすればFTTx(xと書いているところがミソです)に対する投資を無駄、いまさらそんなものは使わないとばかりの論調ここでは多いようですが、

    PCのCPUもメモリも外部記憶装置も、昔は、MHzやKByteなんて使いきれないと思っていたことや、ADSLを使うまではネットもダイアルアップで十分だと思っていたこと、あるいは、携帯でWebなんてあんなちっちゃい液晶画面で何に使うんだとおもっていたことを思うと、光もあれば使い切ってしまうのではないでしょうか。
    もうひとついえば、携帯にカメラが搭載された当初は何に使うんだと思いましたが、それがいまでは高解像度ものを選んで買っています。 そして、プロードバンドやiモード周辺でそれらがあることで生まれたさまざまなサービスやコンテンツをいまでは普通に当然のように使っています。

    結局何が言いたいのかといえば、「光の道」で議論になっている光ファイバについては、人によっては第2の国鉄を危惧するくらい投資がかかるのかもしれないが、その投資は、ネットの利用方法に変革をうながし、周辺産業に栄させる可能性が大きい。だが、その手のことを予見することは過去を振り返るかぎり意外と難しいようだ。しかし、写メールやiモードが出てきたばかりのときの自身や世間の反応と現状とのギャップをおもうと、この投資は、賭けるに値する投資ではないかと私は思う。 さらにいえばfemtoやWiFiという形で携帯の通信すらFTTxを経由することになる可能性が大きいと感じる。そしてドコモやグーグルの利益の源泉を考えるとFTTxの所有会社に出資さえしたいと思う。 しかもそれが既に電柱や道路の下のトンネルなどおいそれと新参者が準備できないような資産をもっている会社が、FTTxを整備するのであればますます興味がある。

    みなさんはいかがでしょうか

  12. https://me.yahoo.co.jp/a/Lw3RE1VEUPSdFXEBETkjoQTnv2tI#54bbd より:

    ところで、

    松本氏の今回の寄稿に対するotg010085089さんのコメントは、「反論に対する反論」に不慣れ、議論に不慣れで、かっとされたのではないかと察するところではありますが、あれでは、誹謗や中傷にすら感じます。 それはotg010085089さん自身の思うところではないとおもいますので、行き過ぎについては訂正されてはいかがでしょうか。

    また、その後に続く他の方のコメントを拝見するに、otg010085089さんの語調の強さが、周囲をミスリードしているようにさえ思えましたので、今回、idを準備して、コメントを寄せさせていただきました。 思わず夜なべです。

    あまりにつたない文章でお恥ずかしい限りですが、お許しいただけますと幸いです。

  13. akiteru2716 より:

    13氏の意見に僕も同意ですね。
    ニーズに受動的なだけではビジネスになりそうにないと思います。SBが切り開きたいもののイメージは分かります。

    しかし、30年かけてペイするのが100Mbps程度の速度では、ちょっと夢も希望も感じないのも事実。今や家庭内のLANでも普通に1Gbpsでるわけですし、今すぐでもこの程度の速度が欲しい(笑)30年間100Mではちょっとやってられない。せめてアップグレードパスは欲しい。
    それに、完成後のイメージが電子カルテ云々では魅力に乏しい。ここのところはもっと松本氏に大風呂敷を拡げていただきたいところです。

    過去、鉄の道だってそうだけど、国策で拡げていったわけですよね。国鉄はあんなになったけど、鉄道なんてなくても良かったなんて思わないし、なければ私鉄が全国を整備したとも思えない。市場に任せとけばいいという意見にも違和感を感じます。

  14. keishirotaj より:

    全国に通信網を張り巡らせるインフラを提供する話をしているのに、距離による減衰や接続数の制限がある無線を選ぶ意味が分からないのですが、どなたか説明をして頂けますでしょうか。
    固定で各地拠点まで引いて、拠点周辺で無線だというのが前提だと思っていたのですが、これは違うのでしょうか。

  15. keishirotaj より:

    光がずっと100Mなんてわけないと思うのですが。。

  16. 松本徹三 より:

    Quiさんのご指摘は誠に尤もです。ご指摘に深謝します。きっちり対応しますので、少しお時間を下さい。

    技術問題については、まだ堂々巡りの議論が多いので、「補遺」として、あらためてもう一度寄稿させていただきますが、bobby2009さんの質問に対しては、下記の通り簡単にお答えしておきます。

    「固定環境」の定義ははっきりしていませんが、仮に家と職場を「固定環境」、学校や駅、飲食店などを「準固定環境(ホットスポット)」と呼ぶと、現時点での携帯電話の利用は80%以上が「このいずれか」と思われます。

    自宅での利用だけで約40%ですから、この推測はほぼ正しいでしょう。また、「移動環境」で気楽に使える携帯電話でさえそうなのですから、iPadのようなより高度な大型端末になると、「固定・準固定環境」での利用率が更に高まるでしょう。

    今後の端末の多くは無線対応(モバイルとWiFiの双方をサポートするもの)になるでしょうが、実際の利用の殆どが「固定・準固定環境」でなされるので、殆どはモバイルではなくWiFiでなされることになるでしょう。(そうでなければモ、バイルネットワークは、たとえ3.9G/4G技術をフルに使って大幅に増強されても、簡単に崩壊してしまいます。)

    WiFiは「固定・準固定環境」における有線ネットワークの最後の10-20Mのソリューションですから、「FTTx」の様な有線ネットワークの強化が絶対に必要となります。

  17. eco_and_sport より:

    SBM社は自社のデータ通信の価格付けを見直す視座はお持ちでしょうか?

    SBM社に限らず企業が有する経営資源は有限です。
    だからこそ、経営資源の配分(価格付け)には難しさがあります。

    SB社の経営資源を単純化して契約者数×通信量の面積だと置き換えれば、契約数を最大化するためには、通信量を最小化する必要があると言えます。
    (しかし、収益のうち、これまでの契約者数の増大はApple社の端末(データ通信定額)が牽引しているといった事情と、データ通信>通話であることから、通信量の最小化は難しい課題なのだと理解しています。)

    そうした理由もひとつにあり、モバイル(携帯)→WiFi(光)に負荷分散する案をご提案されているのだと思います。そうしなければ、売りのひとつである安価なデータ通信定額(価格付け)を見直さなくてはなりません。(しかし、Apple社との独占販売権があり、契約者数を増大(Apple社の端末の販売流通に貢献)する必要があり、契約者数の鈍化や減少、SBM社のブランドの低下につながる実質の値上げ(価格付けの見直し)は避けたいのだと理解しています。)

    公正競争環境を求められるのであれば、まずはSBM社自身が、データ通信の価格付けを見直すという視座も必要じゃないのかな、と思うのですが私だけでしょうか?

    これまでにいくつかコメント(下記5つ)させて頂きましたが、論理展開に無理があると感じています。正直な議論でも問題はないのですから、早期に論理を再構築なされたほうがよろしいのではないでしょうか。そう感じています。

    http://agora-web.jp/archives/1012017.html #comments
    http://agora-web.jp/archives/1011634.html #comments
    http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51421049.html #comments
    http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51421455.html #comments
    http://agora-web.jp/archives/1014240.html#comments

  18. https://me.yahoo.co.jp/a/bK6HOAtrMIJHjjZA.k6iEmCvBM2L#28b78 より:

    私も、keishirotajさんの、16のコメント通りだと思います。

    開発中を含む規格や方式の事例を挙げられて、無線優位説へと議論を傾ける傾向がここではよくよく見受けられますが「シャノンの定理」が意味するところや電波や光が電磁波でという波であることを思い出して、小学校(あるいは中学校)の理科の実験を思い出してみれば、放射拡散をそのまま使っている無線では(隣人の通信や反射波を含)ノイズが多すぎて「広い地域・面積で」「多数が同時に」「高速(広帯域)の」通信を利用することは難しいということは、私にはおおよそ推論可能なことでした。

    現在進んでいる無線技術も「定理」を否定するものではなく、ノイズの低減化の手法として、最もたるノイズである隣人の通信や反射波の影響を減らすために電波の小出力化(つまり電波の届く範囲を「狭範囲化」し「少人数化」)を図り、加えて符号化を工夫ししたり、複数周波数の同時並行利用を図っているように、私には読めます。”加えて”以降の2つは光ファイバーによる通信でも適用可能で、高速(広帯域)通信については、放射拡散を使っておらず、かつ、電波との周波数乖離が大きく干渉することがなく、散乱・吸収による減衰の対策も徹底した光ファイバーによる通信がもっとも筋が良いのではないでしょうか。

    無線と光については、松本氏がいくら説明しても、執拗に、(不見識とばかりに)繰り返し事例提示、つまり空転になっているので、これからは無線論へと傾ける方は、そろそろ、『こんなのがある』例示をするだけでなく、それで「広い地域・面積で」「多数が同時に」「高速(広帯域)の」通信サービスを利用することが可能であることを、説明していただけないでしょうか。

    私にも、どうしても、無線高速化優位説がどうしても理解できないゆえ。

  19. https://me.yahoo.co.jp/a/bK6HOAtrMIJHjjZA.k6iEmCvBM2L#28b78 より:

    いま論じているインフラ論で重要なのは
    電話線と同じくらい確実に光ファイバーを引き込んでもらえるようになったら「社会がより便利になる」「雇用が生れて少しでも多くの人が豊かになれる」のかか否かだと思います。(あくまでもDSLを対抗馬に挙げられる方は単に事例を出すのではなく距離による減衰が無視できることを説明してください。無線を挙げられる方は距離に加え同時通信可能数制限を超えられることを説明していただきたく。)そして『便利さ』『豊かさ』を実現するための方法論として、どこの部分に競争導入を行うかということではないでしょうか。 振り返ってDSLで起きたことはいろいろとヒントを与えてくれていると思います。DSLでもメタルは独占でしたが、通信サービスに仕上げるところで競争が起きることで十分メリットを受けられたと思っています。 (ちなみに、メタルの配線で競争が起きた場合は、どうなったのでしょうか?さらに電柱が立ったり、道路がほじり返されたり、遅々としてエリア展開進まず、資金がかかり下手を打ては倒産発生、・・・して、社会的コストが大きいかったのでしょうか? それとも、今でも月2千円からで利用できる通信サービスが、電柱立てや穴掘りに資金を費やしてもなお、道路掘り返しなどの社会的コストを補って余る程、安くし上がったことになったのでしょうか。私は現在の価格の絶対的水準を考えると値下げ余地あまりないような、あってもたかが知れている気がして、現在のDSLの制度もそれなりの良い解だったのだろうと思い始めています。)

    私もkeishirotajさんの、17のコメント通りいつまでも光が100mということはないと思います。CATVのネットやDSLで起きたことと同様に、高速化されるのではないでしょうか。否定される方は、ぜひとも、ご説明いただけるように、お願い申しあげます。

  20. https://me.yahoo.co.jp/a/bK6HOAtrMIJHjjZA.k6iEmCvBM2L#28b78 より:

    「財産権の侵害」についてもあまり強調されると高校で習った反トラスト法がどうして世界で生れたのかを失念しそれが守ろうとしているものを否定している気すらします。私・企業の権利よりも、競争導入によって生れるであろう公益の方が大きいと考えられた時、分割して競争を導入したり、制限を加えて部分競争を導入するというのが、歴史から学んだ人間の知恵だった気がしますが、いかがでしょうか。独占という状態は、目立った理不尽が無くしかも慣れがあると煮えガエル同様に誰も不便を気づないのでは?競争を作り出すことで公益(低廉化や雇用が生れる)があると信じるに足れば私企業の努力の結果による自然独占であっても制限を加えるというのが、歴史から学ぶ英知のように思いますがいかがでしょうか?公益とのバランスではないでしょうか。

    ところで私は機能分割や企業分割だけでは財産権を棄損する理由を見いだせていません。携帯各社に逃げていた通信が、高速化のためにfemtoやWIFIといった形で固定網に帰ってくることやグーグルの利益の源泉な何かを思えば、価値向上を逆に期待しています。

    事例のFCC敗訴ですが、規制によって生みだせると思っていた公益と同様のことを(横から)当時普及率が高かったCATVが実現してしまった結果、規制からは期待した公益は目につかず、財産権の制限だけが目立ってしまったので、規制の有用性の論拠を失い、敗訴・指令廃止ということではないでしょうか?検索する限り私にはそのように読めました。

    提案ですが、これらの点はみなさんの知識と知恵が集めてはいかかがでしょうか。 松本氏は、WCDMAの基本技術を開発したクアルコムの経営者だったそうで、無線や世界の事例に明るいのは納得・・・、今回も何らかの見解を示されるようですが、これからは「こんなのある」提示をされる方は事例に対するご自身の咀嚼結果を教えていただけないでしょうか

  21. eco_and_sport より:

    私はSBM社にもNTT社にも中立で、これまでのアゴラの論考では山田氏・池田氏・小池氏を、原理原則では真野氏の考えに賛同する立場です。

    論議が混乱する理由に、「視座」と「対立軸」の混乱があるのではないでしょうか。
    これは、グランドデザインの是非を問うものではなく、優先順位を問う論争ですよね?

    「視座」を整理するなら「NTT社に競合する一企業(SBM社)の視座vs.利用者の視座」でしょうか。

    前者はNTT社の大株主である国を動かし、SBM社の利益に誘導するため、世論(≒国)を誘導する(国内競争を考慮した資源配分の優先順位とは何かという)構図だと理解しています。(もしも違うというのであれば、国内に限らず公正競争のため、電波を解放して、外資も含め競争を取り入れ、より良い市場の構築に取り組むことでしょう。)

    後者は利用者の利益に適う(国際競争を考慮した)資源配分の優先順位とは何か(調査や調査のための仮定の在り方は何か)という構図だと理解しています。

    したがって、松本氏は上記の1)にて「インフラvs.利活用」の構図で対立軸を整理していますが、「SBM社のためのインフラ論VS利活用のためのインフラ論」とするべきでしょう。

    繰り返しますが、論点は優先順位です。
    インフラ論として有線vs.無線のどちらを中心に考えるべきか、つまり、どちらを優先するべきかという論争がよろしいのではないでしょうか。

    「対立軸」を整理するなら以下のaからeでしょうか。
    a.基幹網vs.アクセス網
    b.事業者用途vs.生活者用途
    c.有線(光)vs.無線(将来を見据え考え得る最良の選択)
    d.中央が決めるvs.市場が決める
    e.乗り換え契約や負荷分散需要vs.新規契約や新規需要
    f.田舎・地方過疎vs.都市・地方都市

    対立軸を明確にし、組み合わせて論議する必要があるでしょう。
    (たとえば、基幹網や事業者用途が有線(光)であるから、アクセス網も同じに、とはならないのです。)

  22. bobby2009 より:

    松本さん

    >iPadのようなより高度な大型端末になると、「固定・準固定環境」での利用率が更に高まる

    ジョブズがiPhoneやiPadで示しているのは、ハードと通信の高性能化に依存した(いかにも日本のメーカー的な)サービスではなく、そこそこのハードと通信で十分に楽しめる「別の次元」のサービスだと理解しています。

    ガラケー・ユーザーの多くがiPhoneやiPadのような端末へシフトした場合(あるいは2台目として所有した場合)は、総トラフィック量は増大するので、基幹と長距離通信の帯域拡大は必要でしょう。しかし、1つの家庭で必要な平均的な帯域使用量にはさほどの増加は無いと予測します。これからの世代のネットのライフスタイルは、テレビからノートパソコンへ、更にiPadのような大型端末へと、どんどん小型化し、移動を前提としたものになるでしょう。

    イノベーターとアーリー・アダプターが多い私の周辺は、すでにそのような状況になっています。iPadを死守した孫さんは、そのようなトレンドは誰よりも先に理解していると考えておりますが...

  23. https://me.yahoo.co.jp/a/bK6HOAtrMIJHjjZA.k6iEmCvBM2L#28b78 より:

    eco_and_suportの整理にコメントさせていただきます。

    a.基幹網vsアクセス網
    c.有線(光)vs 無線 :(将来を見据え考える)

    松本氏はこれまで基幹網を論点にしているように私には読めません。
    無線やDSLの事例を挙げられる方の事例もアクセス用途のモノに読めます。

    論点は『アクセス網』
    ・ALL無線
    ・光(+Wifi or femto)
    ・DSL(+ Wifi or femto)
    のどれを押すかだと思いますがいかがでしょうか。
    もちろん、携帯やWIMAXをやめてしまえと言っているわけでもないようです。

    松本氏も真野氏もずいぶん前から主張されているようですが高速通信を多くの人が同時利用するためには 光 にならざるえないというのは、『無線技術の方向性』からみて私には真実に思えています。ただし光を押す人もアクセス手段としての無線の便利性は認めるところなので できるだけ、利用者のそばまで 光 で運んで、ラスト数10mはWIFI(=小出力)でもLANケーブルでもご随意にと言っているのではないでしょうか

    e.乗換契約や負荷分散需要 vs 新規契約や新規需要

    『SBMのため』論者はここの負荷分散需要に論点を寄せているように見受けられますがいかがでしょうか?私は負荷分散だけであれば、実は光なんていらない気がしてきています。既にiPhoneだけでなく普通の携帯にも無線LANを乗せて、ルータも無料?配ったり、マックだけでなくスタバでも無線LANを使えるようにしたりしていますからね

    iモードや写メールあるいはDSLが出てきたときアーリーユーザに対して冷ややかにみていて、将来の新規市場/新規雇用の創出を想像することができなかった反省を持つ私としては、新規契約レベルではなく、新規市場/新規雇用の創出有無にこそ論点あると思っています。 みなさんはいかがでしょうか

  24. imadoki64 より:

    21.eco_and_sportさん

    論点整理も何も、こんなわかり易い論点、整理の必要ありませんよ。視座?国益の一点でしょう。そこに異論はないはずです。NTTと競合する一企業としての視座なんて、論争の最初からまったく入り込んでなかったですよ。それがそのような視座にたっての光の道だなんて見える方が、よっぽど目が曇っているとしか言いようがありません。自分が中立の立場だなんて思っているその見方が既に間違っている事に気付いて下さい。

  25. eco_and_sport より:

    23番さんがおっしゃる
    >新規契約レベルではなく、新規市場/新規雇用の創出有無にこそ論点あると思っています。 
    について、賛同します。

    生活者は消費や投資の意味を見出せずにいるのだということに目を向ける必要があり、その解決が新規市場/新規雇用の創出に繋がるからです。

    たとえば、

    GPSを活用した位置ゲーが一定の支持を得ています。生活者に新たな行動目的を創造させるソリューションとして素晴らしい事例のひとつだと理解しています。
    (生活者は位置ゲーに従い遠出し、出先の地域に接します。生活者は位置ゲーと接することで消費や投資の理由を創造しているのです。)

    他にも、写真や映像そして行動記録などについて、地図上に重ねることで次の行動目的の示唆を与えるソリューションとなっています。

    期待されている電子広告や拡張現実といった場所や物に関係する価値創造のソリューションとの組み合わせも重要になることでしょう。

    GPSやハイテクじゃなくても、たとえば、気に入った音楽データに、音楽史や音楽理論、楽器や機材、スタジオやホールの説明、そして技術や練習方法などなど情報を関係づけることで、生活者は学習し、新たな消費や投資行動を創造することが期待できます。
    (こうした取り組みだけでも新規市場/新規雇用の創出は始まります。)

    光が仕様で優れていることは論じるまでもありません。しかし、皆が光の仕様を必要としている(対価に相応と感じる)のかどうか。また、ADSLですら必要としていない人々もいます。そうした人々は同程度の価格でも光なら必要とするのかどうか。都市部だけを考えれば、現状のインフラで十分ではないのかどうか。過疎地についても、まずは商業を改善することが先決なのではないのかどうか。

    仕様の議論であれば、実態調査の後でよろしいのではありませんか。
    何度も申し上げますが、論点は優先順位です。

  26. hitoeyama より:

    原則として、ビジネスの話に国は関与しないで、民間に委ねたほうがよいと思います。SIMロック解除についても同様に思います。ビジネスのやり方はいろいろあると思いますが、どれがベストか選択するのは、国や業界や学者ではなく、ユーザだと思うからです。

  27. agora より:

    人格攻撃を含むコメントは削除し、IDも書き込み禁止にしました。コメント番号がずれましたが、ご了承ください。