ソフトバンクの提案に私が「反対しているだけ」といわれるのも心外なので、6年前に山田肇氏と一緒に提案したNTTの「構造分離」案を紹介しておきましょう。これは簡単にいうと、図のようにNTT東西の電話交換機と余剰人員を国営の「ユニバーサルサービス会社」に移し、銅線を民営のループ会社に移すものです。
この目的はNTT法を廃止するとともに、ローカルループの公正接続を担保し、もう寿命のきた交換機と要員を「清算会社」に移し、IPへの移行を促進しようというものです。NTTの電話網の資産はすべて国営のユニバーサル会社に譲渡し、同時にNTT株式のうち政府保有分(33.7%)を減資して、NTTは100%民間の企業になります。
この案のメリットは、高コストの電話網と余剰人員を整理し、NTTの経営を効率化するとともに、特殊会社による裁量的な規制を廃止して、グローバル展開などの迅速な経営を可能にすることです。インフラが銅線か光かはどうでもよく、ユーザーが光を望めば光が普及するだろうし、銅線でいいと思うユーザーはそれでかまわない。電力線をみてもわかるように、銅線の寿命は半永久的です。
ただし交換機はもう部品がなくなって修理もままならず、早急に廃止する必要があります。ここにぶら下がる余剰人員をドコモなどからの赤字補填で延命していると、いつまでも合理化が進まないので、「清算会社」に移すのです。この会社は最初、国鉄にならって「電話清算事業団」と名づけたのですが、NTTの人々の抵抗が強いので、ユニバーサルサービス会社としました。
この案はNTTの経営陣にも労組にも検討されたのですが、「時期尚早」ということで見送られました。しかしNTTも最近、「今年秋にIPへの全面移行の計画を発表する」と表明しました。これを徐々に赤字補填しながら進めるのではなく、電話網を切り離して迅速にIP化を進めてはどうでしょうか。アメリカでは、Verizonが電話網を地方の電話会社に売却しました。
通信業界で大事なのは、インフラ整備ではなくサービス競争です。特に成熟した国内市場の競争よりも、アジアの新興国でのグローバル展開が重要です。政府がNTTのサービスをいちいち認可し、競合他社がその料金をめぐってロビー活動を展開するような状態では、日本の通信キャリアもメーカーも中国に負けます(すでにファーウェイに大きく遅れています)。グローバル競争に勝ち抜くために、通信業界を規制から解放し、競争を促進することが重要です。
コメント
NTTの時価総額が約6兆円とすると、その1/3は2兆円。
それと引き換えに国が手にするのは、お荷物のユニバーサル会社というのは、あんまりといえばあんまりでは。NTTの他の株主は大賛成でしょうけど。
ほんとにこんな内容で提案しちゃったんですか?
交換機と一緒に、電話局の固定資産(不動産)も譲渡するので、ユニバーサル会社は利益が出る可能性があります。NTT本体は局舎をリースバックするだけなので、資産価値は大きく減ります。関係者にきいてみると「外資系ファンドがユニバーサル会社を買うだろう」という人もいました。
池田先生と松本先生の光の道に関するやりとり、いつも楽しませていただいています。
ところで、Twitter上で
>@matsumotot68 私はソフトバンク案を頭から否定する気はありませんが、現在の案には穴が多すぎます。17日までに、少なくとも「構造分離」を行なう法的な手続きと新会社の議決権、そしてNTT法の改正内容について具体的に明らかにしてください。
というツイートを拝見致しました。
求めているのは以下3つ。
1.「構造分離」を行なう法的な手続き
2.新会社の議決権
3.NTT法の改正内容
自分の頭が悪いせいかもしれませんが、確かにソフトバンクの求めている将来の姿やNTTの組織形態でよくわからないところは色々とあります。
したがって、2については、目的とする会社形態の話であり、お聞きしたいというのもわかります。
ただ、1と3について一民間企業がどうこういうことじゃないと思うのですが。
こういうものは方向性が決まったら官僚や内閣法制局が汗水たらして作っていくものかと思っています。
せめて、委員会なり専門家が集まって検討をしていくものなのではないでしょうか?
この図で言うと、SBの提案はインフラの銅線部分を強制的に光にして、全国敷設を義務付ける公社を設立するということですね。そしてコストは銅線を廃止して浮いたお金でまかなう。
サービス各社はその光土管を借りてサービスを行うと言うことになるのでしょうが、現状のNTTのやり方は恣意的すぎてよろしくないから公社化して公平性を担保するというのがSBの言い分なのかな。
この場合、強制的に銅線を廃止するのが特に地方において経済的かどうか、また、光インフラ会社が効率的な経営をできるか?単にNTTが公社になるだけで変わらないのでは?電電公社に戻るのはどうかなぁ。かえってひどいことになりそう。
私の実家は九州の山村ですが、光が必要とはとても思えませんね。ましてや70歳代の人たち相手には携帯の方が便利です。PC系のアプリは無理。
都市部に住んでいてもそんなアプリケーションはない。せいぜいP2Pくらいでは。
都市部でも光では足りないと思わせるようなサービス競争、例えば放送だとか、無線の足回りとしての需要拡大を図るのが先のような気がしますね。あるいは種々の公共サービスをIT化するのが先でしょう。それで足りなくなったら光なりを導入すればいい。
そういう解釈も可能ですね。「ループ会社」(LoopCo)という考え方は欧米にもあるので、公正接続のためにドライカッパーを別会社にする「構造分離」はおかしな提案ではありません。
しかしそれをFTTHでやるところがソフトバンク案の特異な点で、しかもそれによって経費が浮くという強い仮定を置いている。これが成り立たないと事業も成り立たないのですが、それを判断するのはソフトバンクではなく新会社の経営陣です。
逆にいうと、それが成り立つのなら構造分離は必要なく、今のNTT経営陣が全世帯にFTTHを敷設すればよいわけです。NTTも昔は「設備更新」として強引に光化を進めていましたが、最近は資本コストに敏感になったので、無茶な光化をやめました。
最近はVDSLでも100Mbps以上出るので、FTTHが圧倒的にすぐれているわけでもない。費用対効果から考えると、無線やDSLとの混在が妥当でしょう。
どれだけの世帯が光回線を必要とするようになるのかが問題になるのは、必要とするサービスに対して、コストが高くなる場合です。もし、固定電話を必要とするだけの世帯で、メタル回線を光回線に変えられても電話料金が同じになるなら勝手にしてもらったらいいことだろうし、安くなるなら、もっと早く変えてくれということになります。問題は、ソフトバンクの計算が正しいのかということと、どの通信会社も公平に利用できるようになるのかということだと思います。
ラガード層へのFTTx導入が、どれ程の営業コストが掛かるか?
説得するのに莫大なコストがかかる事を考慮ください。
仮に全戸FTTH(or FTTx)の方が、メタル線とFTTHの二重コストに
比べてコストが遥かに安く済むとして、今のNTTが、コスト削減の為にメタルを強制的に撤去して全戸FTTH(or FTTx)を推進出来ますか?
出来ません!既存のADSL業者が許さないし、法的根拠を与えなければラガード層を説得出来ません。
一気加勢にやる事に意義があります。また、1次2次の通人事業者へのフェアな解放が担保される事に意義があります。
いくらNTTが、全戸メタルを強制的に撤去してFTTHに置き換えた方が安く上がるとわかっていても、今のNTTでは無理ですね。
そうですね。ソフトバンクは「利用者は料金がFTTHにして安くなるのだから文句ないだろう」というが、ヤフーBB以外のDSL業者はどうするのか。また1400円では廃業するしかない電力系はどうするのか。穴だらけですね。
若干建設的な議論になってきたのでよろこんでいます。
1)池田先生を含め、どなたからでも具体的に「穴」をご指摘していただければ、全部埋められると思いますし、すぐに埋めますから、どんどんご指摘下さい。取りあえずのご指摘に対しては、17日までにお答えします。また、今からでも遅くないので、どなたからでも具体的な「対案」を出していただければ、どちらが国民のためになるかを比較審査してもらえ、大変建設的だと思います
2)「銅線は永久に使える」とおっしゃられますが、それなら、既に償却済みである筈の銅線の多額のコストが、何故我々通信事業者に対する接続料の中に入れられているのでしょうか? また、池田先生は、NTTが現在この銅線の保守費としていくらを請求しているかをご存知ですか? その内訳をご存知ですか? 「銅線をそのままにしておくほうが安くつく」とおっしゃる限りは、その辺の情報を把握されての上と思いますが、本当にそうなのでしょうか?
3) 光回線を必要とするアプリケーションはパソコンを使えないお年寄りには不必要というお考えが未だに多いようですが、これは間違いです。使い勝手とCPUの処理能力や情報の伝送能力とは全く関係がありません。使い勝手をよくするためには、むしろより強力な処理能力、伝送能力が必要となります。
>どなたからでも具体的に「穴」をご指摘していただければ
僭越ながら2つほど「穴」を指摘させて頂きます。
<1つ目の「穴」– 取り組み優先順位の穴>
光の道はブロードバンドの利活用100%がテーマです。
大分すれば利活用とインフラの2つになります。
利活用を論じず、インフラから論じることが果たして生産的なのか疑問に感じています。サービスプラットフォームを論じずに、要素技術から論じているように感じています。
前提や制約の議論なく、インフラから議論する合理性についてご見解を頂けないでしょうか。
<2つ目の「穴」– 失われる機会費用の穴>
固定回線環境の経営管理と技術を統合する案により失われる機会費用について、考慮された案なのか疑問に感じています。ここで言う機会費用とは、競争によって創出が期待される付加価値を費用換算したものとお考えください。私はこの機会費用を算出することができないと考えますが、歴史から影響を無視できないとも考えます。
失われる機会費用についてご見解を頂けないでしょうか。
もしも、この機会費用を算出できず、また、影響を無視できないとすれば、固定回線環境の経営管理と技術を統合する案は適当ではないように思いますが、いかがでしょうか。
建設的な議論の一助になれば幸いです。よろしくお願いいたします。
>2
池田先生、その方は外資ファンドがいくらなら買うだろう、とおっしゃったのですか?まさか2兆円で買う訳ではないですよね?
2兆円あれば、ドコモ以外のNTTグループぜんぶ買えるくらいの額なので、そんなお荷物会社一つと引き換えにしないで下さいな。
それはさておき、池田先生もNTT再編成にあたって国策会社を作ること自体は否定しないのですから、松本先生との主要な論点は国策として全国光化を進めることの是非、具体的には4でsudokuさんがまとめているような内容に集約されたと理解してよいのですかね。
なお光化が国策として妥当であるなら、ADSL会社に配慮する必要はないでしょう。既存業者に配慮しないと国策が決められないというなら、戦後のエネルギー政策転換はできなかったし、最近だってまだ使えるアナログテレビを放棄させる訳ですし。
私はIT/通信業界とは縁のない人間ですし、松本さんほどのITに関する経験もありませんので、こういうことを申し上げるのははなはだ恐縮なのですが、
>3) 使い勝手をよくするためには、むしろより強力な処理能力、伝送能力が必要となります。
これはいささか、Bill Gates的と申しましょうか、stepを飛ばしすぎではないでしょうか。
確かに動画でのやり取りなどでは速度と処理能力は効果的ではありますが、それは使い勝手と関係ないのではないでしょうか。
ハードの能力比較であれば日本のブロードバンド環境はすでに世界一ですから、世界一のサービスがあるはずですが、現状はそうでもありませんよね。種々の規制や容量制限、行政側の無理解にのために、低速なインフラのアメリカのほうがよっぽど進んでいます。
携帯においても御社のiPhoneやNTTのらくらくホンが強く支持されているのは、処理能力ではなく使いやすさという別の軸を提示しているからですよね。
問題はサービスを供給するのに不要な規制は何か、必要なバンド幅を安価に提供する方法は何であるかということで、「最初に光あれ」ではないのではないかなと思います。
2)の銅線コストについて、池田さんも松本さんも詳細なデータをお持ちではないのではないでしょうか。NTT内部の資料でしょうし、こういった場にそれが出てくること自体、経営情報の漏洩になるのではないでしょうか。このままでは、この部分は水掛け論では?
以前、自宅マンションに光回線を導入したときの印象として、(建物まで光、各戸にはVDSLです)物理的な配線よりもその末端の交換器のコストが主ではないかと思いますが、どうでしょうね。
VDSLのため50Mしかでませんが、たいていのサービスはサーバー側の容量不足で宝の持ち腐れですけどね。
都市部は銅であれ光であれ、有線を電灯線と共架し続けるでしょうが、過疎地はどうでしょう?10年後・20年後には電力源を各戸に置くようになるんじゃないでしょうか?電力会社所有の過疎地の電柱が撤去されるようなことは、有り得ないんですかね。(景観的なメリットも大きいですし)
もしそうなると、銅であれ光であれ、最も効率の悪い過疎地の採算が致命的に悪化すると思うのですが。
もっと言えば、線を引いたら廃村になって全部ムダとか。そんなことは通信業者は知ったことじゃないんですかね。
ある程度は将来動向も考慮しておかないと、中継局とUHF帯域を無駄遣いした挙句に衛星を使うことになった地上デジタル放送と同じ愚を繰り返すことになります。
銅線の保守費用については、元NTT社員の海部美知氏が「光のほうが安いが、大部分は人件費なので、物理的な素材を変えれば劇的に下がるわけではない」と書いています:
http://d.hatena.ne.jp/michikaifu/20100501/1272739415
今の電話の基本料金は異常に高く、特に加入者線のドライカッパーが月1400円というのはおかしい。これはNTTの余剰人員のコストを「銅線の保守費用」として計上しているためだと思われます。
他方、光の料金は異常に安く、1mあたり年間50円というダークファイバー料金は、外人にいうと「桁が違うんじゃないか」と驚きます。NTTの内部でも、どこまでが銅線の保守でどこまでが光の保守かはわからないのを、意図的に切り分けて銅線を高く見せている疑いが強い。
ソフトバンクのいう「銅線と光の差額」は、このようにNTTが政治的にゆがめたコスト計算をもとにしているので信用できない。実際に工事をしてみると大赤字になる可能性は否定できません。
問題は机上のコスト計算ではなく、誰が採算性に責任をもつのか、そして赤字が出たら誰が補填するのか(あるいは事業を中止するのか)という経営責任の所在です。それが松本さんのおっしゃるように政府だとすれば、「税金は1円も投入しない」というソフトバンクの約束は嘘だということになり、FTTH会社は史上空前の浪費プロジェクトになるリスクが大きい。
「インフラ整備による需要創出」と云うアイデアは、これまでの数々の政府の失敗を見る限り全く信用出来ません。
ただ、「NTTが政治的にゆがめたコスト計算をもとにしているので信用できない」と云う点に関しては、松本さんも再三指摘されているように、NTT側が正しい情報の提示するべきだと思います。
松本さんにご質問ですが、政府はNTTの1/3株主でしかなく、過半数は個人を含めた一般株主が持っています。新会社設立後、その2/3の株主が政府の意向に反して当該投資の中止を求めた場合(それに応じた取締役選任を求めたた場合)、どうなるのでしょうか?
結局のところ、確実に100%化を実現するためには、やはり新会社は政府100%子会社化せざるを得ないのではないでしょうか。全体に、松本さんの論調は、一般株主の存在を軽視し過ぎている気がします。
また、幾つかプロセス上の疑問点を挙げさせて頂きます。
?会社分割(仮定)時のNTT持株会社での株主総会の必要性:特別決議が必要になりませんか?これを通さないことにはNTTグループとして意思決定できない気がします。
?新会社の上場について:松本さんの仰るレベルまで政府意向に縛られるような特殊会社の場合、果たして上場可能なのでしょうか?また、上場しないとすると、多数のNTT既存株主に流動性の低い株が交付されることになりますが、現実的では無いような気がします
ソフトバンクにとっては、多様なサービスを安定的に提供するためには、全世帯をつなぐ光回線網が必要だという考えだと思いますが、それと、利用者側の個々の現状を付き合わせる必要はないと思います。
「メタル」を「光」に替える理由は、安くなるからで十分です。高速通信は、超お得なおまけです。
問題は、ソフトバンクの計算が正しいかであり、政財官でどれだけ強い味方ができるかだと思います。
こういった事業は、談合的に進められていくのが普通だと思うのですが、逆に、談合勢力に対抗するためのやり方なのかもしれません。公開されて様々な批判に鍛えられた案なら、市場的に出される最適解と同等になるのではないかと思います。
インフラと利活用は車の両輪で、どちらが欠けても何にもなりません。しかし、インフラが十分に整備されていれば、利活用は自由競争の中から生まれます。逆も真で、インフラが十分でなければ利活用は進みません。ですから、鶏が先か卵が先かという議論では、インフラが先と言わざるを得ないのです。
しかし、インフラは自由競争の中だけでは整備できません。だからNTTも当初の3000万回線計画を次々に縮小しており、値段も一向に下げられずにいるのです。国の政策による後押しがどうしても必要です。
光インフラは90%整備されているというのは嘘で、すぐに使えるところは現時点では30%です。70%の場所では、先ず回線を契約せねばならないので、よほど切羽詰った欲求がないと、なかなか利活用も進みません。電気のコンセントのようにどこにでもあり、何時でも使えるということになって、初めて利活用も進むのが現実です。
また、電子政府、教育、医療などの関係で、国としての利活用を進めることは、現状では不可能です。光回線の敷設に地域格差がある現状では、国としては、光回線を利用して初めて実現出来るようなサービスの実施には踏み切れないからです。
私はそんなにひどいことにはなっていないと思っていますが、池田先生のご指摘はもしかしたら当たっているかもしれません。NTTが実際の数字を開示してくれれば、全てがはっきりすることなのですし、沈黙を守れば、池田先生の推測を認めたことになりかねないのですから、NTTは名誉をかけてでも開示するべきでしょう。
かつて菅首相の名声を一気に高めたのは、厚生大臣時代に官僚が「ない」と突っぱねていた資料を「ないはずはない」とつき返して、ついに提出させたことです。今回は、原口大臣が提唱した「国策」を遂行できるかどうかに、NTTのメタルと光の回線の建設コスト、保守コストの如何が影響してくるのですから、総務省は、大臣の指示を待つまでもなく、NTTに直ちにその開示を求めるべきでしょう。
ベースになっているのがゆがめられた政治的計算であれば、「嘘」という言い方もいかがなものかと思います。公表された数字を鵜呑みにすれば光にした方が安い、ということなのでしょうから。
ただ、コストの大半が人件費でしかも余剰人員のコストならば、光だろうが銅線だろうがトータルとして見たコストは安くなりそうにありませんね。
それに加えて工事費の高い過疎地が今後の工事になるのでしょうから高い維持コストが加わる可能性が高いように思います。
確か松本さんは、以前の投稿でこの余剰人員の失業対策に、と言うようなことを提案なさっていたような気がしますが、そのために
仕事を作るのはいわゆる「サンクコスト」問題ではないですかね。
NTTの余剰人員の失業対策に国レベルの金をつぎ込んで向こう30年のネット環境を作るというのは、良いアイディアのように見えて、実は日本中のダム/高速道路問題と同じじゃないかな。
始まったら止められなくて永遠に続く事業になりそう。
余剰人員を他に移して全体のコストを下げるのが先では?
そうすれば良いサービスを安価に提供できる可能性があるように思いますし、そのサービス部門で余剰人員を吸収していくしかないでしょう。
13の worldcomwさんの仰るように今後急激な人口減にあわせて都市化が進むでしょうから、「配線したら廃村」てのはありそうですね。そのとき「やめる」と言う判断ができるかどうかだと思います。公社では無理でないかな。
過疎化対策としての情報網を整備、と言うご意見もあるかもしれませんが、そもそもそういった過疎地域では就業の機会すら減りますから、情報だけ供給しても意味がないのでは。
こういった無駄な工事を減らすためにもハブを光にしてスポークは銅線のVDSLあるいは無線のハイブリッドで効果的なネット環境、
と言うことでいいのではないでしょうかね。
imadoki64さんはよい点を突いておられますが、実際には簡単に解決できます。
第一に、メタルから光に変わってもメタル時代同様に仕事が出来ることを保証してくれるなら、ADSL業者は反対せず、むしろ積極的に賛成します。(ソフトバンク自身がその好例ですが、他の事業者も同じだと思います。)
ユーザーは、「今までの使い方を変えないのであれば一銭も余分な金はかからない。将来必要が生じて使うときには、新しい機能に見合う分だけ払ってもらえばよい」という事にすれば、反対の理由は全く生まれません。水道管を新しいものに変えるのと同じことですから、工事の為の作業員が仕事をすることを忌避することもないと思います。
ソフトバンクが提出したたたき台はこの2点を前提にしていますから、この案を採用する限りは、抵抗は生じようがありません。
webvolunteerさんのご質問の第一点については別途お答えしました。利活用は官僚や有識者が頭で考えるものではなく、新しいサービスを導入して儲けたいと考える民間の会社が次々に考え出すものです。「インターネット回線とグーグル、アマゾンなどのウェブサービス業者」「道路と自動車」「電力線と家電製品」の関係を考えてみてください。(これは、sodokuさんへの回答も兼ねています。)
第二の質問については、「経営管理と技術を統合する」という意味がよくわかりません。申し訳ありませんが、分かりやすくご説明いただけますか?
17日の議論でも、あまり細かいところに入りたくないので、繰り返しコメントしておきますが、FTTHがメタルよりどれぐらい安いかという計算には大した意味がありません。こんな巨大プロジェクトがソフトバンクの想定どおり実施されるはずがないので、想定より高くつくこともあるし、事業化が不可能だと判明することもあるでしょう。
問題は、そういう予測できないcontingencyに対して、新会社の経営陣がどう対応するのかという「ガバナンス」の問題です。特に新会社の資本構成と議決権が重要です。われわれの「ユニバーサル会社」のように、NTT東西の光ファイバーを政府に譲渡して、政府のNTT持株をすべて減資するのも一案ですが、これでは完全な国営企業になります。
そうではなく現在の政府が1/3もつ資本構成のまま分割する場合は、取締役会の構成が問題です。NTTの社長は「社外取締役」だとすれば、誰が社長になるのか。彼が「赤字だから事業は成り立たない」と判断した場合、取締役会がクビにしてでも強行するのか。現実に赤字になった場合に政府が補填するのか――といった問題を事前に明確化する必要があります。これらをすべてNTT法で規定すると、結果的には政府のコントロールする国営企業になります。
要するに、民営にすると全面FTTH化は保証できず、それを保証するには国営にするしかないのです。この点を曖昧にすると、議論が混乱します。前にソフトバンクの出した「光ファイバー公社」案のほうが論理的に一貫していました。
松本様
ご回答頂きましてありがとうございます。
松本様とatoman0様はほぼ同様のご意見と察します。
機会費用とそのための制度設計について理解が異なることに対立する原因がありそうです。
前提知識の違いの問題ですから、もう、質問は差し控えたいと思います。
池田様のブログに全てが述べられております。
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51432590.html
加えて、批判するなら対案が必要だと思いますので、申し上げたいと思います。
ただ、その対案は、批判の対象と同じレベルで述べる必要はないと理解しています。
こうした前提知識の違いも、対立する原因ではないかと思います。
先の2つの穴と対案について
1つ目は、利活用(事業)は市場が決めるものとし、そのための制度設計の見直しが国の仕事ということです。
(優先して利活用促進のための制度設計を議論する点が大きく異なる点だと思います)
2つ目は、1つ目の議論で出た制度設計に則したインフラ事業のための制度設計の見直しが国の仕事ということです。
(現状で最適化せずにインフラの競争環境を残すことは大きく異なる点だと思います)
最後に、もし競争環境として不備があるというのであれば、国際環境の観点から政府の介入も議論するのが国の仕事ということを付け加えておきます。
ソフトバンク案は、一企業の活動として批判されるような活動ではないと思いますが、国も関与するとなると、機会費用とそのための制度設計の観点で物事を評価する必要が生じますから、一企業の活動とは違う目線から批判を受けているのではないでしょうか。
一般には、今回記載しましたような、1つ目、2つ目、最後に、の順番で計画すると理解しておりますが、一企業であるソフトバンク様にそれを求めるよりは、国や世論が判断する問題ですから、これ以上の質問は差し控えたいと思います。
議題が整理されない段階で、個人的には17日の議論に期待はもてませんが、池田様、是非頑張ってください。応援しております。
”問題は、そういう予測できないcontingencyに対して、新会社の経営陣がどう対応するのかという「ガバナンス」の問題です。”
に深く同意します。
今回の議論は日本が抱える一番の課題のように感じています。
また、対面する会議とは異なり、ウェブでは説得できない自身の未熟さも痛感し、改めて勉強したいと感じています。
機会費用で考えると、2.5兆円も出して山間部や離島までFTTHにする資金があれば、LTEの基地局を全国に10万局ぐらい建てて光で結べるでしょう。Wi-Fiなら100万局ぐらい可能です。無線の帯域の問題を解決するなら、こっちのほうがはるかに効率的。
メタルを100%光に入替えるのが経済的・実務的に実現可能か否かをNTT経営陣が理解していないとは思えません(やれるならNTT自身がやっていると思います)。
それと同じくらい、孫社長や松本氏が池田先生の「企業ガバナンス論」を理解していないとも思えません。
孫社長や松本氏の真意は「光の道」では無いように思います。
「光の道」は単なる方便で、NTTのアクセス網をNTT本体から経営的に分離して、SBが同じ土俵で勝負できるようにすることではないでしょうか?
池田先生の「企業ガバナンス論」を理解できない振りをするのは、彼らにとって、アクセス網にメタルが残っても、税金が投入されても問題はなく、彼らの主眼が「アクセス網のホワイトボックス化」にあるからではないでしょうか?
17日の討論は楽しみにしてますが、池田先生が孫社長に「ガバナンス論」を展開しても平行線になると思います。孫社長は大変頭が良く、池田先生の主張は理解したうえで、論点を外されると思うので。
>これは間違いです。使い勝手とCPUの処理能力や情報の伝送能力とは全く関係がありません。使い勝手をよくするためには、むしろより強力な処理能力、伝送能力が必要となります。
iPhoneやiPadを使ってみれば明らかですが、使い勝手は帯域とは関係ありません。それはUIの設計と実装に依存しています。
不審に想うのは、こんな当たり前の事を、松本氏がわざと的を外して答えている事です。これはどういう意味をもっているのでしょうか?
>どなたからでも具体的に「穴」をご指摘していただければ、全部埋められると思いますし、すぐに埋めますから、どんどんご指摘下さい。
17日は民営ループ会社について議論されるのですね。企業で新規事業の企画立案をやる場合には常識ですが、新規事業の採算計画(収入、コスト、経費、損益の概算計画を1年あるいは数年のスパンで作成)をエクセル表で作成します。松本氏は17日の討論の数日前までに、ソフトバンクが作成した事業計画のエクセル表を公開し、池田氏がループ会社の損益について検討する時間を与えるべきではないでしょうか?
>逆も真で、インフラが十分でなければ利活用は進みません。ですから、鶏が先か卵が先かという議論では、インフラが先と言わざるを得ないのです。
松本さん
日本に比べてインフラの遅れている米国で、YoutubeやiTunesなどが生まれ、利活用が進んでいるのはなぜでしょうか?
ネット上のサービスは、FTTH、ADSL、モバイルなどの様々なインフラに柔軟に対応したものがユーザにとって便利と思います。ユーザは自分にあったインフラを選択できますから。
サービスを提供する側にとっても、たとえ日本だけが国策で100%FTTH化したとしても、世界的に見れば少数派ですから、モチベーションが上がらないように思います。また日本ベンダーがそのようなサービスを開発しても、世界には受け入れられないガラパゴスサービスになってしまう気がします。
やはり、インフラ整備も含め、基本的に民間の競争に委ねたほうが、よいように思います。
松本様、ご回答ありがとうございます。
「道路と自動車」のアナロジーで言うと、私が疑問に思うのは「果たしてすべて高速道路を建設する必要があるのか?」ということです。SBの提案は「国としてのサービスにはすべて高速道路が必要である」ということですよね。
私にはそうは思えません。需要のないところには必要最低限で良いではないですか。郵便だって、宅急便だって遠い田舎に送れば高くつきます。でも確実に届きます。例は悪いですが交通量の少ない田舎には対面2車線でいいでしょう?なぜ4車線の高規格高速道路を通す必要があるのでしょう。車の通れる道があると言うことが重要なことです。
しかも、都市部ですら現在30%しか活用されていない、という時点で有効なサービスがないと言うことですから、のこり60%-70%をまず埋めるようなサービス競争を誘導するのが先でしょう。ハード的にはreadyなんですから契約さえ済ませればすぐ使えるのですし。
それこそ、越境規制とか医療の対面制限とかくだらない規制を解除すれば済む話です。光化の住んだ都市部においてそういったサービスが活発化すれば「これは地方にも導入しましょう」というモチベーションが働きますよね?
なぜ先に100%の設備導入を前提としなくてはならないのか?パイロットでも何でもいいから部分的に始めて広げていけばいいではないですか?
長くなったので連投失礼します。
サービス部分についても、
電子政府、教育、医療などの関係で、国としての利活用を進めることは、現状では不可能です。光回線の敷設に地域格差がある現状では、国としては、光回線を利用して初めて実現出来るようなサービスの実施には踏み切れないからです。
と、国主導のサービスの必要性を訴えながら、一方で
利活用は官僚や有識者が頭で考えるものではなく、新しいサービスを導入して儲
けたいと考える民間の会社が次々に考え出すものです。
と、国主導のサービスを否定なさっているのはよくわかりません。
私自身、「国としての直接サービス」を想像できません。たとえ公共サービスであっても地域行政組織がやる話で、国はそれを監督するだけでしょう?
amazonもgoogleも国家レベルのインフラとは関係なく活動してますよね。
現状でも地域によって公共サービスには差があります。なぜご提案のサービスのみ全国一律の光回線が必要なのでしょう?しかも文面だと、光回線が100%にならないとスタートしないようですね。そんなの無駄でしょう。
ましてやご自身で官僚にそういったサービスは無理と否定なさっていると、この「国の役割」にいったいなにを望んでおられるのか、理解できません。
いまどき、「国が号令して供給するサービス」とはいったいなんでしょう。
医療にしろ教育にしろ自治体なり、各機関がやる話で、しかもそれを全国一律にしなくてはいけない、というのは何だか時代錯誤な印象をうけます。
現状でも日本の公共サービスはアメリカに比べると惨憺たる状況です。光になるから良くなるなんてあり得ません。ITを使ってサービスを向上させるという動機付けが公共部門にはまず必要です。