議論がなかなか収束せず、ついに6回連続の投稿になりますが、これは大きい問題なので、止むを得ないのかもしれません。同じ議論の繰り返しのところもありますので、既にご理解いただいている方は飛ばし読みをしてください。双方向メディアの有難さで、回を重ねるに従い段々と論点が絞られてきているような気はしていますので、「堂々巡り」という事でもないでしょう。
今回は、「国の役割」と「民間の役割」という事に焦点を絞って議論します。(NTTは現状では純粋な「民間」とは言えないので、ちょっと複雑ではありますが…。)
何人かの人達が若干の違和感を持っているのは、「光の道」構想と「NTTの構造分離問題」がパッケージで語られていること。そして、この議論をソフトバンクという一民間企業の孫正義社長がリードしていることでしょう。(私自身は、アゴラ発足以前のもう二年以上前からこの問題を議論していますが、今となっては「孫社長の考えと自分の考えは全面的に一致している」と考えており、孫社長の議論の「脇を固めている」観があります。)
「光の道」は、「ICT立国(ICTによる経済の活性化、国際競争力の強化)」と、「地域格差の是正、国民生活の質の向上」を目標とした「国の政策提案」です。このことが先ず明確に認識されなければなりません。
「全国民へ」というスローガンは、利益を追求する民間の事業会社の立場からみれば、外してもらいたいのが本音でしょうが、国がそれを推進するという意志を固めた限りは、それに協力する義務があります。「そんなことに税金を使うべきではない」という議論も当然国民の一部にはあるでしょうが、「税負担がゼロ、またはきわめて小さい」ということになれば、反対論が勢いを増すことにはならないでしょう。
問題は、「光の道」の実現を考えていけば、嫌でも「NTTの組織は今のままでよいのか」という疑問に突き当たり、NTTの構造分離問題が「避けては通れない」問題となってくるという事です。この二つの問題はパッケージにならざるを得ない宿命にあるのです。
NTTの構造分離問題は、「第二臨調」以来「後送り」を繰り返してきた問題であり、原口総務大臣が就任早々に言われたように、米国などに比べれば、確かに「二週遅れ」の観すらあります。しかし、これは、いつかは決着をつけなければならない問題なのです。この問題に絞って執念を燃やしてきた人達にすれば、今回この問題が「光の道」とパッケージになったことは、不意打ちを食らったような感じでもあり、それ故に違和感もあるでしょう。しかし、私は、同じ立場にはあったものの、懸案のNTT問題が「国の将来を決める国家事業」の具体案の中で論じられることは、健全なことでもあるし、早期決着のために望ましいことでもあると考えています。
さて、「光の道」ですが、本来ならば、大臣の指示を受けた総務省やタスクフォースが鋭意「具体案」を検討すべきなのですが、「難しい」「時間がかかる」という議論が多く、タスクフォースの会議の席上に招かれたソフトバンクの孫社長の提案のみが、現状では
「唯一の具体案」となっています。
勿論、ソフトバンクの「具体案」が早々と出されたのには、ソフトバンクが以前からこの事を考えてきたという背景もあります。
少なくともソフトバンクには、「NTTのメタル回線を借り受けてADSL回線事業に進出し、大胆な低価格路線を打ち出して、日本のインターネットビジネスを一変させた」という実績があり、その過程で、NTTのインフラのコストについての相当の知識も得ています。また、光回線時代になると、NTTが一方的に決めたルールでは自ら回線事業は出来ない事が分かり、「迫り来る『圧倒的なトラフィック処理能力拡大の要請』にも手を拱いているしかないのか」という焦燥感も持って来ました。そういう事情が、今回の「具体案」の早期提出の背景であることは事実です。
しかし、ここで私が強く感じたのは、日本の社会全体を覆っている「保守的な体質」、つまり「抜本的な改革を恐れる体質」です。現在日本の産業・経済をリードしている人達、中でも「通信産業」を実質的に支配している人達には、未来に対する想像力が欠如しているというか、「未知の可能性に対して少年のように目を輝かす」ところが、最早見られません。少なくとも、若き日の松下幸之助のように、「水道哲学」に目覚め、自らそれを実践しようとするような人物は見当たらないのです。これが日本の社会が今直面している「閉塞感」の一つの原因なのかもしれません。
NTTが当初「光3000万回線構想」を打ち出したときには、そこには大きな夢と希望があったはずです。しかし、この構想は、現実には次々に縮小されてきています。「利活用が進まず、経済合理性が見られなくなってきた」というのがその理由でしょうが、更に深読みすれば、「この構想を本気で進めようと思えば、メタル回線の保守との二重構造を早期に解消せねばならず、その為には膨大な保守要員の雇用問題に手を付けなければならず、そんなことはとても出来ない」というのが本当の理由かもしれません。
池田先生は、「NTTですら計画を縮小しなければならなかった」とよく言われますが、私に言わせれば、「NTTだからこそ計画を縮小しなければならなかった」ということです。「国の将来を決める『国策』を遂行する為には、最早『組織防衛』を優先させるNTTのみに任せているわけにはいかない」ということが明らかになったと言ってもよいでしょう。「大胆な発想の転換を行い、これを国の力で強力に推進していく」ことが、どうしても必要であると。少なくとも私は強く考えるに至っています。
現在の日本では、何事によらず「国のやること」に対する不信感が強いことも事実です。利権と結びついた過去の「土建政策」に対するアレルギーが相当に強いからでしょう。しかし、「ミソもクソも一緒」では困ります。当然のことながら、「公共事業」には、「良い公共事業」「悪い公共事業」「普通の公共事業」があるのです。
ソフトバンクが提唱している「光の道」実現の具体案は、必ずしも「公共事業」にする必要はありません。本来なら、NTT自身が提唱して、自ら実現するのが理想的なのです。そうすれば、全ての手続き論は簡略化される一方で、現在のNTTの株主や従業員も恩恵を受けるはずなのです。
何故それが出来ないのか? ソフトバンクが投じた一石に対してNTTが沈黙を守っている現状では、これは「謎」というしかありません。恐らくは、「あまりに大胆な発想の転換に当惑している」というのが偽らざるところではないかと、私は考えています。「そんなこと言ったって、まさかなあ」という気持ちが強く、「具体的に可能性を検討してみようか」というところまでは、なかなか行かないのでしょう。誰だって、今のままで済むのなら、それが一番楽なのですから…。
しかし、一つだけ間違いない事は、NTTが何時までたっても自発的に代案を出さず、国(政府及び政権党)が一旦方針を決めたら、NTTはそれに従わざるを得ないという事です。英国には「男を女に変えること以外は、国会は如何なることも決めることが出来る」という言葉があるそうですが、国会でNTT法が改正されたら、NTTはそれに従わざるを得ないのです。
「どのような手順でそれを行うか」「分離された0種部門は、どういう会社形態によって運営されるべきか」といった問題については、そういうことに長けた官僚諸氏や法律家が考えてくれるでしょうが、或る程度の素案を提言することは、さして難しい問題ではありません。(別の機会に披露します。)
「NTTは憲法で保障された『財産権の侵害』を理由に国を提訴できる」という議論が一時ありましたが、これはまあ「見当外れなジョーク」の類でしょう。どなたかからのコメントにもありましたが、憲法上、「財産権」は当然「公共の利益」と天秤にかけられます。そうでなければ、早い話が、道路建設の為の土地収用等は一切不可能になってしまいます。かつて、アルジェリアの大統領が「一人でもそれに反対するものがいたら、橋はかけない」ということを言い、それが「民意重視」の象徴的な言葉になったことがありましたが、現実には誰もこのような考えをサポートしませんでした。
土地収用の場合は、「先祖代々の土地から離れたくない」とか、「ここから見る富士山が私の心の支えであり、これが見られなくなるのなら死んだほうがマシ」などという、個人的、心情的な要素を考えなければならないので、若干問題が複雑になります。しかし、NTTの場合は、NTTの存立自体がNTT法で律せられているのでから、純粋に「国民レベルでの経済的なメリットとデメリット」を天秤にかけるだけで済み、話は簡単です。そもそも、国民に経済的なメリットを与えないような政策を国は遂行しようとする筈はないので、裁判にまで進む可能性は限りなくゼロに近いでしょう。
最後に、枝葉末節の話になりますが、その時に話題になった米国のUNE訴訟のことについても、この際若干触れておきます。長くなりますので、ご興味のない方はスキップしてください。
この話は、米国FCCによる「アンバンドル提供義務ルール」に関する話であり、「NTTの構造分離」といった類の話とは全く別次元の話です。(米国ではAT&Tの構造分離はとっくの昔に行われています。)提訴したIELC側が「財産権」という言葉を使ったので、それがたまたま池田先生の想像力を掻き立てたのだと思いますが、後述するように、米国におけるIELC(既存地域通信事業者)と、アンバンドリングの恩恵を受けるCLEC(1990年代に入ってから新規参入した「競争的地域通信事業者」)との関係は、NTTと新規事業者との関係とは比べるべくもなく、「財産権」と天秤にかけられるべき「公共の利益」も、全く異なった次元のものになっています。
そもそも、大方の日本人にとっては、IELCとかCLECとかいう言葉自体が耳慣れないものでしょうから、先ずこの解説からやらねばなりません。
IELCはIncumbent Local Exchange Carrierの略で、AT&Tから分離・分割されたRBOC(Regional Bell Operating Company-当初は7社あったが、この時点では、Verizon、SBC、Bell South、Qwestの4社、その後、SBCとBell SouthはAT&Tと合併)と、1500社程度にも及ぶ従来からの零細な独立系地域電話会社の総称です。これに対しCLECは、「自前でアクセス回線や交換機を保有し、ILECとの相互接続によってエンド・ツー・エンドの通信サービスを行う」新規参入の事業者であり、US LEC Corp、XO、ICG等がその代表格ですが、日本人でこれらの会社を知っている人は殆どいないでしょう。
重要なことは、これ以外に、AT&T やSprintなどのXC(長距離通信事業者)や、Comcast、 Time Warner Cable、Cox CommunicationなどのCATV事業者があり、これらは、今回の議論の対象になったている連邦通信法第251条のアンバンドリング提供義務の対象外(他の条文で規制)だという事です。
確かに、この第251条のアンバンドリング提供義務については、1999年の第一次訴訟においてはFCCのほぼ全面的な勝訴になったものの、全体で二十数項目にも及ぶ提供義務の対象のうち、「オペレーター及び番号案内」についての提供義務が1999年の第二次訴訟で解除されたのを皮切りに、2003年の第三次訴訟では「ビジネス市場向けのタンデム交換機」、「大容量の局間中継伝送路や加入者回線」の提供義務が解除され、そして2004年の第4次訴訟では、マス市場向けの「市内交換網」や「FTTH」「FTTC」「ラインシェアリング」「ダークファイバー」「引き込み装置」が提供義務から外されました。(池田先生が参照されたのは、実はこの事だったのだということが今回分かりました。)
2004年と言えば今からもう6年前のことですが、そう言えば、この時点で、NTTは鬼の首を取ったようにこのことを喧伝したという記憶があります。しかし、これに対しては、KDDI総研の「米国のアンバンドル義務見直しの動向」と題する2005年1月付けの報告書が、完膚なきまでに反論しています。
http://www.kddi-rijp/pdf/KDDI-RA-200501-01.pdf
この報告書が指摘しているように、旧AT&T系のRBOCについては、今回の議論の対象となった連邦通信法第251条だけではなく、同法第271条(長距離サービス参入の認可条件の規定)の定める「競争チェックリスト」に適合する義務が適用される構造になっています。ということは、例え第251条の定めるILECに対する義務が解除されたとしても、第271条に定める義務は引き続き負わねばならず、従って、アンバンドル義務そのものについては、何ら変わることはないのです。
また、第四次訴訟の判決文を読んでみると、FTTH やFTTCに対する義務の解除の理由としては、「敷設のコストがILEC(RBOCを除く)と CLECとの間では差がない事」、「光ケーブルの敷設は黎明期にあり、特別の配慮が必要である事」などが謳われており、日本の事情とは全く異なることが分かります。
事実関係は以上の如くですから、「全く異次元の問題に対する、全く異なる環境下での法解釈の事例」を、「財産権が国策の遂行に優先することが認められた事例」であるかの如く語り、ましてや、「この事は、米国での判例に倣う傾向のある日本にも影響を与え、NTTの分割論議は、NTTの『財産権』の壁に阻まれるだろう」という趣旨の池田先生の発言は、やはり撤回された方がよいかと思います。
コメント
私がNTTの昔を懐かしむ余剰人員なら、こう考えます。
しめしめ、SBが提案してくれたおかげで俺の仕事は向う30年は保証されそうだぞ。なにしろ国がバックについてるからコストとか利益と考えなくていいし、予算を執行するだけでいいんだから一生安泰だ。昔の公社時代に戻れてラッキーだな。あのめんどくさいADSLは法律で取り外してよいというお墨付きも得たし、うっとおしいYahooBBとかも
相手にしなくていいんだからこれほど楽な商売はないね。SB様々だ。のんびり仕事しよう。どうせ工事現場は山の中、いくらか時間と金がかかっても「難しいから」で済んじゃうぜ。
ADSLのユーザー?俺は今日から光の担当だよ。誰かが何とかするんじゃない?売ったのも彼らなんだから切り替え料金は彼らの負担だろうさ。あぁ、そうか、国が負担するんだっけ。
NTTの経営陣なら
やれやれ、余剰設備と人員を国に丸投げできそうだ。
基幹系を持っていかれるのは売り上げとしては痛いが、どうせ安売りしてたんだから利益は出ないし、ケータイとデータに特化して身軽になれそうだ。なんか、コストの詳細を出せとか言ってるやつがいるが、見せたらみんな手を引いてしまうからな。わかってない政治家が勝手な案を作って決まるまで黙っていよう。都合が悪くなったらほんとのことを言ってひっくり返せばいい。この話、ウチに損はなさそうだ。
NTTの組合に支持された民主党議員は
おお、これなら、NTTの余剰人員をみんな準国家公務員扱いにできて雇用も確保できるし、新規の予算無しに公共事業ができて実績もできる。地方向けにもアピールするし一挙両得だね。まぁ、実際にもっと金がかかったら次の政権が予算を付けるだろ。始めてしまえばこっちの物だ。
悪意が多すぎますかね?
松本様、いつも興味深く読ませていただいています。
論理的におかしい点は他の皆さんがすぐに指摘していただけると思いますのですこし違う視点で。
ソフトバンク案が支持されない理由のひとつは、「ソフトバンクが信用されていない」からだと思います。
今までしてきたことの積み重ねがそうさせてしまったいるのだと思います。
松本様は「NTTのメタル回線を借り受けてADSL回線事業に進出し、大胆な低価格路線を打ち出して、日本のインターネットビジネスを一変させた」と言いますが、その裏で、モデムばら撒き商法やサポートの劣悪さだと信頼を失う行為をしてきた事実があります。
モバイルにおいても公式サイトのトップページをこっそり有料化しようとしたり、100機種以上の端末にセキュリティホールの不具合が見つかっても半年以上放置し、今でもセキュリティ対策をしていません。
こうした積み重ねが「ソフトバンクの言うことは信用ならん」に繋がっているかと思います。
今、ソフトバンクに必要なのは信頼を勝ち取ることではないでしょうか。
これは地道で遠回りなことですが、「光の道」にも近づく一歩になると思います。
あと、話が堂々めぐりになっているようです。
関連記事のコメントなどで皆さんがするどい指摘をしています。
松本様にはその回答をしていただきたいです。
光100%に固執する理由やなぜインフラ後進国のアメリカで最先端のサービスが産まれるのか、疑問は尽きないままです。
sudoku_smithさんへ
とりあえずはそう考えてもらうのも悪くないですね。そうでないとなかなか現状を変えようとしてくれませんから。しかし、現実にはそうは行きません。新NTT法で「経理の完全ガラス張り原則」「社外取締役の選任方法」「業務監査制度」をきっちり決めておけば、手抜き、さぼり、内輪のナアナアは撲滅できるからです。
競争できる分野では、競争原理が働いてこういうものは自然に淘汰されますが、自然独占に近い分野では、「コストプラスフィー」方式を徹底し、外部から徹底的に経営を監視するしかありません。現在のNTTは「公益的な会社」なのか、「利益追求の普通の株式会社(従って経営情報の開示を拒める)」なのかが判然としないところが問題です。きっちりこの両部門を分けて、全く違う経営理念をそれぞれに徹底すべきです。
shuu0522さんへ、
ソフトバンクの過去については反省すべきところも多々あるでしょう。しかし、一部には誤解もあるでしょうし、「お前は信用できない」と決め付けて、全てを忌避するのは建設的ではありません。「ソフトバンクは常に反省を重ねる、外部の方々は是々非々で対応する」というのが、建設的ではありませんか?
「光の道」についてのソフトバンク案については、「これまで色々な人が鋭い指摘をしている」とおっしゃいますが、私にはあまり鋭い指摘はなかったように思いますし、すべて洩れなく答えたように思います。「財産権」のような稚拙な議論に対してさえ、「具体的に答えろ」と言われたので、米国の訴訟の現実までちゃんと調べて、今回きちんとお答えしました。まだ答えていない点があれば具体的にご指摘下さい。
今までの一連の議論の噛み合わなさっぷりと、本筋とかけはなれた反論は多分、
そのインフラが整った後に、世の中がどう変わるのか?が伝わっていなからだと思います。
それを松本さんが説明する前に、NTTの分離や技術的、コスト、国等、手段の問題ばかりが先行している気がします。
今現在分かっている事だけでしか突っ込まれないのは、見ていてつまらないですね。
この件で例えSBが多少の得をしようとも(労力の割りには得られるものはそれほどでも無さそうですが)、
それ以上に世の中にメリットがあれは、全くかまわないと思います。
光の道が完成された後に、あまり制限無く大量のトラフィックを個人がつかえるようになった時に、
その上で構築されるサービスが、遥かに上回る利益を出せる可能性がある事の方が重要なのでは無いのでしょうか。
現に、電話回線、ISDN、DSLと変化してい度に、サービスで得られる利益も上がってきたと思います。
イノベーションを起こすのは事業家であって、評論家では無いので、
ぜひとも松本さんには頑張ってもらいたいです。
>ソフトバンク案が支持されない理由のひとつは、「ソフトバンクが信用されていない」からだと思います。
理由のひとつどころか、ほぼ9割方がこれではないかと個人的には感じています。
もし松本さんがソフトバンクではなく違う会社を肩書きでの提案だったらとしたら反応はどうだったでしょうか。
私は松本さんの提案を日本の未来を想う一国民としての提案と理解します。
しかしいろいろ通信会社はあれどソフトバンクしか具体案を出していないっていうのはなんとも情けない・・。
松本様。
私の書いたような悪意あるシナリオでもかまわないと仰るのは正直驚きです。それでは無駄な公共工事になってもかまわないとっしゃるのと同義ではありませんか。間違っても止められない公共工事を今新たに開始するという発想は同意できません。たとえそれが「光を得るための方便」としてもツケを払うのはSBやユーザーですよ。
わたしは、失礼ながら「あまりに大胆な発想の転換に当惑している」という松本さんの御意見は
少々誇大な発想ではないかと思うのです。
だって、こんな話アメリカも含めるともう10年以上してるじゃないですか。
それに、一連の投稿を拝見させていただいた中で
「なぜ今利用率が低いのか」「なぜ、今すぐでもサービス開始できないのか」についてははっきりとした御意見は開示なさっていないようですね。
「国は全国一律でサービスを始めなくてはならない」とおっしゃるならそれもありですが、そんなサービスいつになったら始めるのやら。第一、全国一律サービスなんて魅力ありますかね?
地域ごと、会社ごとの多彩なサービスこそが魅力的なのでは?
私は国レベルだろうが民間だろうが何でも良いからまず、すでに光の敷設された地域でSBの提案する先進的なサービスを実験して見ることが必要と思います。そのために規制解除することが国の役割と思います。
それはそのまま5. hotokemobtbさんの御意見に関する回答になるのではないでしょうか。
光100%というインフラが将来的に見ても優れている事を現時点で理解できていないと厳しい。無駄な議論が多数生まれる。
アメリカと比較し日本は国土が小さいので光100%インフラが現実的な解として上げられる。このインフラは日本にとって大きなアドバンテージになる可能性がある。
クラウドやIPv6、ユビキタスな将来を考えると、光100%のインフラは必要だ。現時点で本当に光100%インフラは日本に不要と考えているならば、その人たちと理解を共有する必要はないかもしれない。不勉強なだけかもしれないので。そこは独学でがんばって欲しい。
批判家がインフラを創るのではないし、どんな素晴らしい案も批判はつきものなのだから、実業家は批判には適当に付き合って実業をされたら良いと思う(私には松本さんのように寛容な姿勢は無理)。
「光100%というインフラが将来的に見ても優れている」ことを具体的に証明してみろ。山間部や離島も、すべてFTTHにするのかね。小笠原の光ファイバーは100億円かかるそうだが、どうやって民間企業で採算をとるのか、教えてほしいもんだね。
>ソフトバンクの過去については反省すべきところも多々あるでしょう。
>しかし、一部には誤解もあるでしょうし、「お前は信用できない」と
>決め付けて、全てを忌避するのは建設的ではありません。
残念ながら過去だけではありません。現在も多々あります。
携帯端末100機種以上にセキュリティホールが発覚しても現在も放置したままですし、先日はISPとの合意もなく勝手にフェムトセルの受付を開始して問題になってますよね。
信用されない行為をしながら、「信用できないと決めつけるな」と言うよりも、まずは信用されることをしてゆくことが「建設的」ではないでしょうか。
信頼とは行動の結果で勝ち取るものです。
>まだ答えていない点があれば具体的にご指摘下さい。
皆さんの指摘はたくさんあり、全ては網羅できませんが、ぱっと目についたものだけでよろしければ。
(1)民営の新会社は赤字になってもFTTH100%化を進めなればならないのか?赤字は誰が補てんするのか?
(2)日本に比べてインフラの遅れている米国で、YoutubeやiTunesなどが生まれ、利活用が進んでいるのはなぜか?
(3)固定回線環境の経営管理と技術を統合する案により失われる機会費用について、どのような見解か? (ここで言う機会費用とは、競争によって創出が期待される付加価値を費用換算したもの)
(4)使い勝手をよくするためには、むしろより強力な処理能力、伝送能力が必要となると言うが、iPhoneやiPadを使ってみれば明らかですが、使い勝手は帯域とは関係ない。
他にも多々あるようです。
物理的な情報の伝達方法として光が技術的に優れていることは事実です。問題は、それが経済的に敷設できるかどうかということです。光ファイバーは多重化によって情報の伝達量を大きく上げることができます。じゃあそれを個別配線に使って効果があるか?多重化する情報は1軒分だけです。
だから、10軒とか100軒分の基点まで光を使って後は無線なりVDSLで足りませんか?その方がコストは安く済みますよね。それでも転送速度はそれなりには出ますよ。離島なんかこのパターンにぴったりでしょう。
後は繰り返しになっちゃいますけど、なぜ全国100%を光にしなくてはいけないか、ということです。既に90%の人口はカバーされています。残り10%は距離の割に人口の少ない過疎地や離島が中心です。それもおそらくハブ&スポーク式にやっていけばまぁまぁの速度が提供できるでしょう。その10%を完全光化するのはROIが取れないと思いますよ。そこにいくらでも金かけていいって話じゃないよね。
加えて上記90%のうち30%しか光を契約してないそうです。残り60%のひとは必要と思っていない。
それは魅力的なサービスがないか、あっても規制で供給できないか、どちらかでしょう。だったら、そっちが先じゃないの。
SBがやりたいのは「高速な光回線を使ったリッチなサービス」じゃないの?だったらなぜそれを今の30%に向けてやらないの?NTTが協力しない?だったら裁判でも政治に訴えるでもNTT分割でもいいんじゃない。でもそれ、光100%と関係ないと思うけど。
地デジが衛星でやれば100億くらいで済んだのに地上波でやったもんだから電波塔を建てまくって何十倍のお金がかかったことは池田さんが再三指摘したとおりです。あげくの果てに、難視聴対策で衛星も使っている。同じことをネットでもやるの?
何に使うかを考えないで「とにかく帯域があったほうがいい」と考えるのが間違いのもと。FTTHの用途は、世界的にみても圧倒的にテレビなので、比較の対象はDSLではなく、CSやケーブルなのです。これはCSのほうが2桁以上安い。
NTTのFTTHでも、商売になっているのはRFベースの「スカパー光」だけだし、アメリカでも最大のVerizonのFiOSはRF。それも都市部だけ(500万世帯)でやめ、FTTHは業務用です。赤字営業でがんばっていたNTTも、最近は戦線を縮小しました。それを今ごろソフトバンクが「FTTHで黒字になる」といっても、NTTは「お前がやれ」というでしょう。
>池田さん
コメントありがとうございます。
>小笠原の光ファイバーは100億円かかるそうだが、どうやって民間企業で採算をとるのか、教えてほしいもんだね。
なるほど。私の考えでは光100%というには語弊があります。光99%とするべきでしょうね。採算的に合わない無駄なモノはおっしゃる通り、無線にすれば良いと思います。ただ、携帯電話網と同じで、限りなく100%に近づけることによる恩恵はあると思います。
そして、それをソフトバンク(でも誰でも良い)が国からの金を使わずにできるのであれば、やって欲しいと思うのみです。
ソフトバンクは採算が取れる、FTTHで黒字になる、と言っているのだと思うのですが、違いましたか?
ネット上でのコメントは、たいていネガティヴな意見が多数を占めるので、今回もこれで正常なんでしょう。
だってわざわざ自分でアカウントを取って、ログインして、書き込むなんて、「まぁ、大体同意」的な人は敢えてしないと思います。
僕も書き込んだ動機は、松本さんへというよりも、どちらかというと、
書き込まれたコメントに対する反論からです。
SBが信用されて無いというのも、今回の件からは特に関係ない事柄ではありませんか?
では逆に、NTTとAUは信用されている会社なのでしょうか?
AppleやGoogleも同様に、信用されています?
Youtubeも含め、どこも会社を大きくする途中経過で、結構グレーな事をしています。
どもどれも大きなサービスを行っており、支持されていますよね。
shuu0522さんの、
iPhoneやiPadを使ってみれば明らかですが、使い勝手は帯域とは関係ない。
これは、単純にiPhoneの完成度が高いという事もありますが、現状のリソースに合わせて作っているからそうなているだけです。
例えば3Gから3GSになってメモリが倍になっただけで、使い心地は格段に進化しました。
仕事でiPhone用のアプリを作っていますが、もっとメモリが使えれば機能をより良く出来ると思う時がありますが、その時は機能よりも使い心地を優先させます。
特にiPhoneでは使い心地がデザインする時の最優先事項で、そのためなら機能の方を省きます。
帯域についても、ほぼ同様です。
もし大量かつ高速にデータをやり取りできるのであれば、例えばiTuneの曲が本体の中に一切無く、しかも使い心地は全く同様とかでしたら(上手い例えが思い浮かびませんでした)、
ストレージが不要になる等の利点の他に、新しいサービスが生まれるかもしれません。
keishirotajさん、横からすいません。
>ソフトバンクは採算が取れる、FTTHで黒字になる、と言っているのだと思うのですが、違いましたか?
そういってますね。だったらなぜ自分でやらないで国あるいは国策会社にやらせようとするのでしょう。国がやるということは赤字だったら税金を投入するということです。あるいは中止できないで都市部の利益を過疎地に突っ込んで都市部の利益は失われる。第二の道路公団です。
それが我々が過去の失敗で学んだことだと思います。
SB構想で疑問に思う点があります。
全世帯に光回線を、現状のメタルと同じ金額で、電話しか使わない人も現状のまま使えるように、と言ってます。現実問題として、「うちは工事なんてしてくれなくて結構だ!」という人もたくさんいるでしょうし、家に伺っても人がいない家だってたくさんあるでしょう。勝手に工事して光にしちゃうんでしょうか?それともそういう家は電話は使えなくても仕方がないと置去りにしてしまうのでしょうか?
移行期間をどのように想定しているかわかりませんでしたが、移行期間順守で国の意向に背く人たちは置去りにしてしまえば現状の回線契約者は激減するでしょう。変更するなという人達を諭して光化を進めていけば当然移行期間は延びコストも増大するでしょう。この辺の移行に対するリスクも考慮した提案をされているのでしょうか?
以下質問ではないですが、
水道哲学を出されてますが、水道哲学で言うところの安い物資にあたるのは、光回線では無くコンテンツでしょう。
電気をたくさん使う家庭は契約アンペアを大きくし様々なサービス(家電)を使い、必要ない家庭は契約アンペアを低くし安く電気を使います。欲しい情報量が増えてくれば自ら契約して光回線にしますし、情報量が必要無い家庭はADSLでOKと考えます。皆が欲しくなるコンテンツが出てくれば光にしてみようという人も増え、価格も安くなるんじゃないでしょうか。これまでの松本さんの記事等をどれだけ見ても、この考えを変えるほどの説得力が無いです。
消費者が欲しい物資を安く手に入れることができるようにするために一企業で努力された松下幸之助の名前を出すなら、ソフトバンクが一企業として安くて皆が欲しがるコンテンツを提供する方法を、国策ではなく一企業で努力されたらいかがですか。
>電気をたくさん使う家庭は契約アンペアを大きくし様々なサービス(家電)を使い、必要ない家庭は契約アンペアを低くし安く電気を使います。欲しい情報量が増えてくれば自ら契約して光回線にしますし、情報量が必要無い家庭はADSLでOKと考えます。
正にその通りですね。
解かりやすい例えでした。
>sudoku_smith
コメントありがとうございます。
>国がやるということは赤字だったら税金を投入するということです。
孫さんは先日の佐々木さんとのお話の中で「国の金は一切使わない」旨のコメントをされていたので、それは信じたらいかがでしょうか。
仮に、金が足りないするような事態になり、ソフトバンクが国に金を無心してくる事実が一つでもあれば、それは受け入れなければいいだけではないでしょうか。約束の期日までに自身の金のみで完了して頂くのみです。
今回のソフトバンクが提示したプラン(金)に関しては、ソフトバンクとNTTくらいしか算出根拠が妥当か否か判断できない。もどかしいですね。
何度も同じことを言わなければならないのは本当に疲れますが、もう一度だけ申し上げます。
1)離島まで光を引くことが如何にも大変なことのようにおっしゃいますが、電話線は引けているではないですか。昭和の人には銅線は引けたが、平成の人には光は引けない理由を教えてください。費用の大部分は工事費で、光ケーブルと銅線のコストの差は微々たるものです。
(しかし、どなたかの指摘にもあったように、実際には100%の必要はなく、99%が良いですね。電話だって線が引けずに無線でやっているところがあると聞いています。)
2)「そんなことをして赤字になったらどうするのか?国に尻を持っていくのではないか」とおっしゃっている方は、ソフトバンクの作った資産のどこに問題があるかを指摘してください。どんな事業でも、あらかじめつくられた事業計画の「実現性」(穴がないか)を検討して決定するものです。「なんだか知らないが、赤字になったら大変だからやめよう」などという事業家は見たことがありません。国とて同じことです。
3)光インフラがが90%出来ていると言うのは嘘です。「実際につながっている30%」をベースに議論しなければなりません。
(続く)
(続きです)
4)「先ず利活用を進めて、その上で必要ならインフラ投資をすれば良い」といっておられる方は、恐らく事業というものを経験したこともなく、鶏と卵のジレンマに苦労したこともない人でしょう。ニーズが誰の目にも見えてきた時に初めて腰を上げるようでは手遅れですし、そもそも「利用者の決定を容易にすることによって、ニーズ自体を作り出す」というビジネスの基本にもとります。家電製品を買う人は、家にコンセントがありすぐに使えるから買うのです。「先ず電力会社に線を敷いてもらってください」と言われた途端に購買意欲は萎えます。
5)ソフトバンクのような私企業で出来ることなら、こんなところでくだくだ議論するまでもなく、さっさと自分でやっています。しかし、このようなプロジェクトになると、NTTでさえ無理で、国の力が必要です。国の仕事となると、多くの人の賛同を得なければなりませんから、こうして雑巾がけをやっているのです。(ソフトバンクよりも信用があると言われているNTTやKDDIも、是非天下国家のために議論に参加して下さい。大人ぶってばかりいないで、将来の人達の夢の実現に一緒に取り組みましょうよ。)
6)iPadのような端末で将来の新聞を読むことを想像された事がありますか? 記事の中に出ている写真をタップすると、それがそのまま動画に変わります。興味のあることについては、リンクに導かれてどんどん深く入っていき、色々な立場の人の考え方も学べます。ここから中高年の人達の交流も始まります。
7)子供達の知識と思考力を格段に上げるることが期待できる「将来の電子教科書」に思いを馳せたことがありますか? それとも、どうせ早晩中国に負けるのだから、そんなことを考える必要はないとお考えですか? (教科書は国家プロジェクトですから、そうしても「全国一斉」でなければ、不公平となって実現できません。)
松本さま
(6)は今、普通にインターネットで出来ることですね。ヤフーで好きなだけニュースを読んで関連動画を観ればよいではないですか。なにを今更と言ってよいでしょう。
(7)が本気なら今すぐ学校のパソコンを増加すればできませんか?そもそも電子教科書はソフトをインストールすれば実現できるもので強力なインフラは必要ありません。動画を見る環境も学校にストレージサーバーを置けば良いだけ。電子教科書を普及させたければ今すぐにやれば良いのです。
自宅で使用するために、簡単に壊れたり、盗まれたりするiPadの類が入ったランドセルを振り回して歩く小学生を想像するよりよほど現実的です。
>ソフトバンクの作った資産
「試算」のTYPOですね。
資産についてはisoさんのメルマガで分析が
されていました。
>ニーズが誰の目にも見えてきた時に初めて腰を上げるようでは手遅れですし、そもそも「利用者の決定を容易にすることによって、ニーズ自体を作り出す」というビジネスの基本にもとります。家電製品を買う人は、家にコンセントがありすぐに使えるから買うのです。
それは仰る通りだと思います。
私は意見述べましたので特にこれ以上の話は
しませんが、
他の利害関係者の方も議論に参加して頂きたく思うのは
私も同意します。
なぜ何度も同じことを言わなければならないのか考えてみればいかがでしょうか。
2)数字の根拠に対する反論として、異なる場所にあるメタル撤去費用が考慮されていないという指摘があります。その費用を考慮すると6兆以上の投資が必要になるとの試算もあります。
3)地下光回線のカバー率が90%。そこから家まで引き込みされているのは30%。どちらも真実です。ご自分の意に沿うように定義を置き換えて嘘よわばりは、議論として適切ではないですね。
4)まずはニーズがどこにあるかをマーケティングするというビジネスの基本は実践されないのでしょうか? ニーズがないというマーケティング結果がでているから会社、投資を控えていると思われないのでしょうか。
5)池田氏を始め多くの反論があります。賛同者が少ないのはそれが理由でしょう。
天下国家のためとおっしゃるならば、NTTばっかりに注目しないで、平等にDSL・CATV・電気系FTTHのことも考慮して欲しいものです。
ソフトバンクの信用という点については、
・基地局数にまつわる論争、つながりやすさ
・緊急地震速報のあいつぐ延期(始まりました?)
・公式サイトの有料化
・ISPに対するフェムトセルの一方的な通知
といった過去の行動があるからでしょう。信用は、過去の行動によるものですよ。
他の方も言われているところも含みますが、
『国の金は一切使わないといっているのに国はいっこうにやらない。なら自分がやる!』
という意気込みをもって、FTTHの引き込み率を1%でもあげた上で批判をするなら理解もできますが、残念ながら、現状ではけしかけるだけけしかけてNTTのFTTHを奪うようにしか見えません。
>1)離島まで光を引くことが如何にも大変なことのようにおっしゃいますが、
>電話線は引けているではないですか。昭和の人には銅線は引けたが、
>平成の人には光は引けない理由を教えてください。
昭和と平成の違いは技術の進歩だとおもいます。
>費用の大部分は工事費で、光ケーブルと銅線のコストの差は微々たるものです。
誰にとって「微々たるもの」なのでしょうか。
100億円もかかるなら、別の方法を検討してもいいのではないでしょうか。
私企業のかたなら、費用対効果をもっと真剣に考えると思うんですよね。
「オレのカネじゃない」と思うから気が大きくなるような気がします。
そもそも離島の人が光ケーブルを望んでいるかどうかもわかりません。
僕は都内に住んでいますが、いまだにADSLです。
現在の光回線の価格は高すぎます。
国内の通信会社で率先して価格破壊できる会社はソフトバンク以外に見当たりません。
現在の半額、将来的には他サービスとの組み合わせにより更に安価で提供してくれるだろうと思いますので是非とも実現して欲しいです。
また、それによって新たなサービスやデバイスが登場してくることに期待します。
「離島まで光を引くことが如何にも大変なことのようにおっしゃいますが、電話線は引けているではないですか」
電電公社の時代には、全国一律の料金で引くことが義務づけられていたので、採算を考えなかったから引けたのです。光ファイバーで同じことをやったらどうなるかは、小笠原の例(2500人に100億円)でよくわかります。「アクセス回線会社」は、同じような事業を全国の離島で月1400円でやるんですね?
ソフトバンクの事業なら、採算性が怪しくても誰も問題にしない。失敗したら、ソフトバンクがつぶれるだけだからです。FTTH会社はNTT(あるいは政府)がやるんだから、そうはいかない。ソフトバンクの試算が間違っていたらどうするのか、赤字が出たら誰が補填するのかという制度設計を明らかにしないで「私の数字は正しい」と言い張っても、誰も説得できない。
17日は、試算の内容は議論しません。この根本的な疑問に答えない限り、政府もNTTも認めていない(ある役員は「めちゃくちゃだ」といっていました)ソフトバンクの数字をベースに議論してもしょうがないからです。
「離島まで光を引くことが如何にも大変なことのようにおっしゃいますが、電話線は引けているではないですか」
採算無視で引いたでしょうし、その費用の多くは5万円~10万円の電話債券じゃなかったでしょうか。というか、1%は光じゃなくても良いかもしれないのなら、30%が光じゃなくても良いと思います。その間のどこで線引きするかは、最終的には政府が決めるのでしょうが、こうなると「全世帯に光」は単なる客寄せパンダに思えます。
ソフトバンク : 耳目を集めてNTTにデータ開示圧力を掛けるのが主目的で、「全世帯に光」は見せ球
経済学者 : 「全世帯に光」に反対し潰した実績を作りたい
この出来レースのように思えますが、ちゃんとこのプロセスを経ないと「全世帯に光」が決まってしまうことが往々にして有るので、双方頑張ってください。
別件ですが、銅線撤去の場合ユニバーサルサービス料100億?/年は継続するんでしょうか。少し遡っても見つからなかったので・・・
ナショナルミニマムとして、最低限度の通信手段の提供を義務づけることはありえます。特に今後、電話網がなくなったとき、代替的な通信網として何をユニバーサルサービスとするかは、総務省でも議論されています。FTTHだと3兆円ですが、DSLだと600億円。
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/2005/pdf/050715_8_04_s07.pdf
「電話網を撤去してDSLに替えろ」という提言なら、NTTも乗ってくれると思いますよ。実効速度は8分岐のB-PONとほとんど違わないのにコストは50倍違う。
>離島まで光を引くことが如何にも大変なことのようにおっしゃいますが、電話線は引けているではないですか
これは、松本氏の表現がまずく、周囲に誤解を与えてしまっていることはないでしょうか?
島内に電話局あるところまでは光ファイバないし衛星を含む無線で本土とつなぎ(この区間は基幹網)、電話局から電話機があるところまで区間は銅線(そして電話線とは、この部分では?)なのではないでしょうか?離島といわれてイメージするほどの離れ島まで本土から電話線を引いていることはないのではないでしょうか。
また、池田教授が例示されている小笠原諸島の場合にかかるという100億円の大部分は、(本土)から電話局までの区間にかかった投資ではないでしょうか?(八丈島から父島までの区間に海底光ファイバーケーブル敷設する工事を都が100億円で発注。そしてその保守・運用をNTTグループの資本が入った事業体が請けうことに、公募によって決まったと公示有。)本格的な離島で採算性が本当に厳しいところは、今でも施策として政府援助(固定電話に関する部分に関してはユニバーサルサービス制度による支援も)が入ることをご存知であるにも関わらず、触れずに指摘のための例示に使われていることはありませんでしょうか。また小笠原諸島は今からみたいですが、沖縄などは既に海底光ケーブルは敷設済で、『光の道』で海底ケーブルを新たに引いてということはないのでは?離島といっても基本は島内の電話線の光化が論点では。教授のご持論のひとつであるDSL推奨についても、PON相当実行速度が出るのは電話局から数百メートル以内でかつ周囲にノイズ源がない、電話線の品質がよいなど厳条件がつくことも存じられているにも関わらず、触れずに例示されていることはないでしょうか。教授は著名な方だけに読者の影響が大きく気になりました。
松本様
FTTHを100%にしたい情熱をほんのすこしでも良いですからソフトバンクの無線インフラに向けてください。
FTTH100%に固執するのになぜか、ソフトバンク自身がするべき無線のエリアは他社より狭いままですし、高速回線エリアがまともに使用できるのは都市部だけです。
光の道より先にご自身で出来ることをちゃんとしていただきたいです。口だけでなく手を動かすことが大事です。
高速でエリア100%でなければサービスをスタートできないというなら携帯電話の進歩はなかったでしょう。iPhoneも産まれていません。
よく引き合いに出す電子教科書も今できる形でスタートすればよいですよね。ニーズがあればFTTH100%にもなり、サービスも進化するでしょう。
松本さんのご意見に対して少しだけ感想をば。
4)について
確かに仰るとおりです。また何度も松本さんもおっしゃる通りインフラとサービスは車の両輪です。両方が大切です。
ただし、現状では光ユーザもエリアは都市部に限られるものの2000万近いユーザがおります。また潜在的なユーザはさらにそれより多くいます。
むろん、デジタルデバイドの解決は日本の課題ですが、同時にその潜在ユーザが実際に光を使いたくなる環境の整備も同時に進められる段階に来ているのではないでしょうか?
少なくとも2000万の実際のユーザとそれよりもまだ多い利用可能なユーザがいるわけですから。
そここそがまさにソフトバンクグループの得意領域では?
2000万と言う数字ではまだコンテンツ事業者やサービス事業者が事業に乗り出すには物足りない数字と言うことでしょうか?(むろん多いに越したことはありません)
よりよい日本のために頑張っていきましょう!!!
仕方がないので、また一つ一つコメントします。
shuu0522さんへ
「インターネットで出来るから光の高速回線はいらない」というのは、「食べ物があるから牛肉はいらない」と言っているのと同じです。低速回線でネットをがんがん使ってみてください。苛々しますから。こういう方は、昔のダイアルアップの時でも、「ちゃんとメールが出来るのに、何でADSLがいるの?」と言っていたのだと思います。それから、学校でパソコンを使うかiPadを使うかは、高速回線が必要かどうかの議論とは全く関係がありません。私が「給食はどうしても必要」と言ったら、「何故パンでなければならないの?ご飯でもいいでしょう?」とコメントされているようなものです。ちなみに学校でみんながパソコンを使ったら、1Gbps程度じゃあとても足りませんよ。
Quiさんへ
2)の指摘がNTTさんのご指摘なのなら、そのように公の場でまとめてどんどん指摘していただけばよいと思います。見えないところでコソコソ言うのでは議論になりません。
3)については、みんながその通りに正確に言ってくれれば問題はないのです。「90%カバーされているからもう十分だ」と繰り返して言われる人があるので、そういう言い方は「嘘」と一緒になるからやめてくださいと申し上げているのです。
4)については、将来のニーズを読めないようなマーケティングは一流のマーケティングでないと申し上げたいのです。
5)賛同者は沢山いますよ。いちいちコメントされないだけです。hottokemobtbさんがご指摘されたとおりです。反対者には失礼ながら、通信の基本が分かっていない方が多いですね。それから、「一民間会社では出来ないから国がやるべき」と何度も申し上げているのですから、同じことをこれ以上言わせないで下さい。FTTHの加入率は上げられません。ADSL時代とは異なり、光では回線サービス業が営めない状態にされているからです。
nttpi23さんへ
現実には普通の家庭では、アンペアのことなど気にしないで家電製品を買っていますよね。何事によらず、普通の人が普通の感覚でどんどん使えるようにしていくのが普及の道です。普通の人は七面倒くさいことはしません。
池田先生へ
NTTの役員さんのどなたかが「ソフトバンクの試算はめちゃくちゃだ。だから議論しない」と言っているのですか? それはひどいですね。大変失礼でもあります。めちゃくちゃなのなら、「ここが違っている。ここも違っている」と言って、公の場で具体的に指摘されたらよいでではないですか? これでは他流試合に来た剣士に、道場主が「見たところおぬしの剣術は滅茶苦茶なので立会いはしない」と言っているのと同じです。そんな滅茶苦茶な剣法なのなら、立ち会って打ち負かせば良いではないですか?
それから、「政府も認めていない」ともおっしゃっておられますが、具体的にはどなたですか? 首相? 大臣? XX局長? XX課長? これは大臣から指示が出されていることに対して、ソフトバンクが一つの提案をしているのですから、「政府」が認めないのなら、理由と共にそのことを公表されるべきです。それとも、池田先生は「政府」のスポークスマンを任せられているのですか?
それから「電話線を撤去してDSLをいれろ」はありえません。DSLは電話線の上で動いているのですから。 「8分岐の光回線はDSLと実行速度が同じなのにコストは50倍」というのも驚くべきご発言です。それでは人口の30%はNTTに騙されてフレッツを入れたというのでしょうか? NTTさんはこんなことを言われていても、放っておいてよいのですか? それとも、ネット上のたわごとなどは初めから相手にしていない?
DSLの方が安い。しかし、光99%は必要だ。
仮に日本が10年かけてゆっくりとFTTHをやったとして、その10年間で、韓国、台湾は光100%をやらないのか。
国土も資源も人口も少ない日本はテクノロジーで勝負して行くしかないが、その根幹にあたるインフラが最先端とならない。
教育やテクノロジーに投資をしないで他国に勝つことはできない。
ITも「1位でなくても良いのではないか」という問いかけに、私はそれではダメだと答える。
光99%が成されなければ、日本は益々パッシングされる。1位でない国はモデルケースとならない。
光敷設に10年という年月は、ITの世界では2世代交代する速度感覚だと思うが、通用するのだろうか。
>33. 松本徹三さま
>そんな滅茶苦茶な剣法なのなら、立ち会って打ち負かせば良いではないですか?
そこまで大見得を切るなら「もしソフトバンク案で赤字が出たら喜んでソフトバンクが補てんする」とおっしゃればいいではないですか。
私は「電話線を撤去する」なんて書いてませんよ。「交換機を撤去して電話網を廃止する」と書いたのです。
私がリンク先で示した「FTTHとDSLで50倍違う」というのはNTTの出した数字で、総務省の資料に出ているものです。これは「FTTHでユニバーサルサービスをすることはありえない」という総務省の方針の根拠です。それも認めないというのなら、もう議論は成り立ちませんね。
松本様
ご回答ありがとうございます。
>学校でパソコンを使うかiPadを使うかは、高速回線が必要かどうかの議論とは全く関係がありません。
では、電子教科書の提案ってなんだったのでしょうか?
FTTH100%化の理由に電子教科書を持ち出したのは、全世帯で高速回線を強制的に利用可能とし、小学生に壊れやすく高価で盗まれやすいiPadの類を持ち歩かせ、教科書の代わりにしようというものではないのですか?
そんなリアリティのない提案より「電子教科書を活用する」ことが目的であるなら学校にパソコンを大量に置けばよいと言っているのです。
松本様のご指摘の通りで、電子教科書の話と高速回線が必要かどうかの議論は全く関係ありません。
>ちなみに学校でみんながパソコンを使ったら、1Gbps程度じゃあとても足りませんよ。
教育に必要な電子教科書やその教材となる情報は限られています。当然学校にサーバを配置し、生徒は学校内のネットワークにアクセスするだけでしょう。
1Gbpsじゃ足りない?校内サーバの情報を更新するのに使用するだけですから十分でしょう。
まさか、ソフトバンクは生徒一人一人をインターネットに接続して勉強をさせようとでも思っているのですか?
そんな素人みたいなソリューションを想定して「光の道」が必要だと言っているならITビジネスを一から勉強し直したほうが良いです。
公の場で指摘するまでもなく滅茶苦茶なんでしょう。
そもそも、試算したといっても、それが失敗した場合の担保が何も提示されていない提案程度で滅茶苦茶じゃないと言い切れるほうがおかしいですけど。
民間でそんな論理は通らないと思いますが?
「御社で○○サービスをやれば、ほらプラスですよ。どうですか?」と提案して、「じゃ失敗したら?」と聞かれた答えが「それはそっちで決める事です」じゃ、話になりません。
しかも、そんなレベルの提案で「きちんと回答しろ!」とは、ヤクザですか?
それとも、SBは他社がどんな提案も持って行っても、懇切丁寧にご対応してくれて、その問題点や実現性等もすべて事細かに対応してくれるのでしょうか?
もしそのようでしたら、ぜひお持ちしますよ。今回の提案をそっくりそのまま、失敗した場合の担保をSBが取る形で。多分採用していただけるのでしょう。
34. keishirotajさん
光100%になればITで1位ですか?
そんな単純なものなら国費を投入して光100%にすべきです。
米国は光100%に程遠いインフラ後進国ですが、GoogleやYoutubeなどが産まれ、iPhoneを世界に広めました。
米国レベルのインフラで出来るサービスを日本で産み出せない原因を解決せねば光100%にしたところで意味がありません。
仮に光100%を享受するすごいサービスが日本で生まれたとします。
そのサービスは世界に受け入れられるでしょうか?
また「日本はガラパゴス」となるだけでしょう。
「海外でこのサービスを活用されないのはインフラが弱いせいだ」と言い訳しても意味はありません。
松本さま
> 家電製品を買う人は、家にコンセントがありすぐに使えるから買うのです。
家電製品は、必要不可欠でみんなが欲しいと思うから買うんです。
契約が15Aで2つ以上の家電製品を同時に使えなくても、欲しいと思えば買います。
コンテンツで、家庭の奥様に欲しいと思わせるものが、近未来を想像して思いつきますか?
そもそも家庭の奥様達が使いそうもない iPadで云々なんてことを言ってては、皆に分かってもらえないと思いますよ。
> 現実には普通の家庭では、アンペアのことなど気にしないで家電製品を買っていますよね。
そうです。ですから普通の家庭で回線の速度など気にしないでコンテンツを買ってくるというのが理想でしょうけど、現状、普通の家庭で欲しいコンテンツもなければ、将来も欲しくなるような夢のあるコンテンツが想像できない。
少なくとも現時点で15A程度ののコンセントにあたるぐらいの通信はできているでしょう。
家電が復旧した背景には、皆が欲しくなるような夢があったと思います。
コンテンツでも、万人が欲しくなるような夢のあるものを1つでもよいので提案してみてください。そういうコンテンツが1つでも出てくれば光回線の契約は徐々に延びると思いますよ。
松本様
>4)「先ず利活用を進めて、その上で必要ならインフラ投資をすれば良い」といっておられる方は、恐らく事業というものを経験したこともなく、鶏と卵のジレンマに苦労したこともない人でしょう。・・・
このご意見は非常に残念です、私は小さいながらも事業をしており、鶏と卵のジレンマにはしょっちゅう遭遇していますが、このジレンマは時として正解が異なります。 ニーズを作り出す主な原動力は何でしょうか? それは不満です。 それこそマーケティングの基本中の基本です。 現状で不満が噴出しているわけではないのに、社会主義国家ならまだしも、資本主義国家において、国策で水道哲学を述べるのは、もう止めにしませんか? それより現状の各省庁/自治体が縦割りで実施している中途半端なIT化ではなく、本当に利活用されるユニバーサルサービスのためのアプリケーション・プラットフォーム実現を標準化含めて官民の叡智を集めて実現に向けた方がよっぽど現実的です。
サービスや製品は真似できるが、インフラは真似できないということを言いたいですね。
1年もあれば模倣されるサービス、製品はあるが、インフラは池田さんが言われるように、普通は10年とかの期間が必要となる。
ごく近い未来、ITの進歩のスピードに、インフラ(通信回線)がついて行けなくなる。インフラがボトルネックになる可能性を危惧しています。
※先日のInterop2010の講演「街角に入り込むインターネットとデジタルサイネージの挑戦」で 村井 純氏がプレゼンされましたが、データ通信料がビデオを中心に累乗するように増えていることに触れられていました。どなたかその時のグラフを提示できませんか?一目瞭然だと思います。
ここに更に、クラウド、M2M(車、家電、ペットなども含む)等で、頻繁に通信をする個体が人口以上に増えたら、と考えてみて欲しいと思います。
1位になる為には、ITにおける全ての分野で最先端を行く必要があります。インフラの部分でアメリカは光99%の展望は現在は不可能です。
日本は光99%が現実的な解としてある。これはアドバンテージです。みすみす逃すのは惜しいと思っています。
また、仮にこの先10年の内、最初の5年以内に、韓国、台湾が光100%をやればどうなるのか。
日本は完全に置いて行かれる。
松本様
ご回答ありがとうございます。順番に記載いたします。
2)について。私は『141文字以上の考察』というサイトで知りました。試算についてはNTT側の言い分もあるのでしょうが、聡明な松本様のことでしょうから、NTTが公の場で応じる義務がないこともご理解なさっていることかと思います。ソフトバンクが主導で各社社長を呼び集めて公開討論でも開いたらよいのではないでしょうか。
3)について。了解しました。言い方の違いだけのようですね。
たとえば、携帯電話の人口カバー率が99.97%であってもそのうち20%の人が自宅圏外だ、という内容だとすれば、どちらの言い分も間違っていないことになります。
4)について。なるほど。一流のマーケティングで将来のニーズを読んだ結果がNTTの構造分割というわけですね。理解しました。
5)について。確かに私は通信の基本がわかっていないかもしれません。しかし、反対者には電力系FTTH事業者6社もいます。彼らが通信の基本がわかっていないのであれば、日本で通信の基本がわかっているのは松本様だけではないでしょうか。また、彼らは一民間企業でありながらFTTHの加入率を上げていると思うのですが、私の認識が間違っていましたら申し訳ありません。
なお、私個人の意見としては、池田様がおっしゃるように、利用用途に応じて有線・無線を含めて幅広いラインナップの接続形態・値段設定があればよいと考えています。そのため、日本全国に空港や新幹線を作るかのような行為には賛同できかねるのです。
孫社長との討論はきょうになりましたが、いまだにFTTH会社は「民営」なのか「国営」なのかがはっきりしません。
前者であれば、誰が経営者として事業に責任をもち、赤字になったとき誰が補填するのか(あるいは撤退するのか)というガバナンス(議決権)が明確でないと、経営が破綻します。(松本さんの説明のように)後者であれば、新会社が「民営」だというソフトバンクの総務省への説明と矛盾します。どうなってるんでしょうか。