農家不在の議論はやめませんか。-中山星児

アゴラ編集部

現在、日本ではTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)へ参加すべきかどうか議論が白熱している。ここイギリスでは、太平洋に面さないせいかあまりこのニュースはあまり見かけないが、日本のウェブサイトで、特に農業に対しての議論を見かけるたび、農業従事者の存在が忘れ去られているのが残念でならない。


経済的メリットが大きい関税撤廃に日本の態度は固まらないのはやはり農業を守るためであろう。守る、と書いたが、守らないと死んでしまうと書いた方が正確かもしれない。その中でも最も手厚い保護を受けるのがお米である。

米の輸入関税率は何と778%。この関税のお陰で海外の米は日本で流通せず、日本の稲作農家は何とか農業を続けられるのである。そんな守られている農業人口は減少の一途で、その数288万人。これは全人口の3%以下。GDPの1.5%。そんな背景が「そんな産業のために、輸出大国日本が高い関税を払い続けるのか。」や、「この過保護のせいで日本の農業が自助努力を怠り競争力がなくなったのだ。」といった論調に繋がっていると認識している。

経済的な観点で日本の利益を考えた時これらの考えは理解できる。しかし、農業従事者不在の中でのこの論調には疑問を感じざるを得ない。目覚しい経済発展を背景に、相対的に弱者となってしまった農業従事者。それは彼らが努力を怠ってきたからだとする論調がもしあるなら、私は怒りを覚える。

少し私の家族の話をしたい。実は私の実家は稲作農家を営んでいる。祖父が主に田の面倒を見ているが収入は私の両親の給与所得の方が多い、いわゆる第二種兼業農家。田植えと稲刈りは家族総出で行い、私もよく帰省して手伝った。先日、父から「うちの米が近畿で一番になった!」と連絡があった。農機具メーカー主催の展示会があり、米のおいしさコンテストなるものが開かれた。

そこである機械(米の糖度や水分などを計測して点数を付ける)が、父の持ち込んだ米に最高得点を付けたとの事。たくさん祝福を受け、とても誇らしい気持ちで帰ったそうだ。これまでも「どこの米よりも美味しい」と言ってもらう事をとても誇りにしていた家族は、それが数値として評価された事をとても嬉しく思い、また来年からさらなる工夫と努力をしようと決意した、との事。家族の苦労を知る私は、遠いイギリスの地で涙が出そうになった。これまでも試行錯誤の連続で、農薬を有機肥料に変え、品種改良を行い、今年は最高の米が出来るぞ、と期待しても台風に倒される。それほどまでに努力と工夫をしてみても農業から得られる収入は公務員である父の収入の半分くらいにしかならない。自慢ではないが、私の家族は周りの農家の何倍もの田を所有している。なので私の家族が得ている農業収入は他の農家に比べかなり多いと言える。しかし設備投資等にかかる費用はバカにならず、、、と、これが日本の農家の現状だ。

話を元に戻す。「自由貿易はすべての国々に利益をもたらす」200年以上前の経済学者デヴィッド・リカードの言葉。規制を撤廃し、自由に貿易が行える世の中には賛成だ。それが資本主義の原則であり、工夫、努力を怠る者が淘汰されていくのは市場原理だからだ。しかし農業、特に日本の主食である米の関税を撤廃し、安い米が日本に入ってきて、第一次産業である農業が淘汰される。それで日本が豊かになったと言えるのか。

農協主導の時代が長く、価格と品質のコントロールを農協に任せてしまった結果が今であることは事実。しかし効率化のみを考えた場合、いかに技術や品種を改良しても、平らな土地の少ない日本が大陸諸国に勝てないのは火を見るより明らかである。それでも農家一軒一軒は時に理不尽な天候と戦い、後継者不足の中で何とか消費者に喜んでもらおうと米を作り続けてきた。現在のお米の品質と供給の安定は、農家の人達の努力の結果に他ならない。そんな産業を切り捨てる事が国の進むべき道だとは思いたくない。

日本人の主食であるお米。日本人ひとりひとりに愛される、日本でしか作れない日本のお米は、もはや伝統工芸品ならぬ、伝統農作物と言える。日本の文化、伝統を守るために幾多の保護がなされているのと同様、稲作も守られるべきである。少なくとも、農家不在の中で安直に農家を切り捨てるような論調にはならないことを願う。残念ながら現段階では、関税、補助金等の方法しか無く、具体的な解決策は示せない。そしてここは感情論を述べる場所でもないのかもしれない。しかしTPPへの参加是非の議論をきっかけに保護、切り捨てと言った議論ではなく、共存共栄の議論を進めて欲しい。

私の願いは一つ。日本の農家のみなさんに、これからも世界に誇れる米を作り続けてもらいたい。
(中山星児 ヘンリービジネススクール(イギリス)MBA履修中 twitter@tonekikaku

コメント

  1. toshihisa_nagai より:

    美味しいお米は外国で高く売れますよ!

  2. agora_inoue より:

     稲作が伝統工芸だから保護されるべきという意見なら、以下のようにすればよい。
    ・いくつかの代表的農村を国立公園として指定し、農地は国有地とする。
    ・農民は国立公園職員として、伝統工芸としての稲作をやっていただく。
    ・食料生産を目的としない。農業という行為自体が目的である。好きなだけ、有機農法、自然農法に取り組んでもらう。その結果として、病虫害で収穫できなくなっても、何も問題ない。
    ・田植えと収穫の際には、天皇陛下にもご臨席していただく。

     この程度の事業なら、300万人どころか3万人くらいで十分じゃないでしょうか。農業保護の財政支出は、今の100分の一くらいで済む。
     米は東南アジアとカリフォルニアから今の10分の1で輸入できて、エンゲル係数の高い家庭は大喜びだ。

  3. mekashin1 より:

    本当に価値のあるものならば
    別に保護しなくても売れるでしょう。
    TPPに参加したら輸出もできてさらに農業も発展するでしょう。

    農業が全滅しても農家の子供や孫の仕事が増えれば豊かになったといえます。
    米農家の平均年齢は60歳を超えています、子や孫の仕事がなくたってまで続けたいなんて考えれいる人はいませんよ。
    イギリスに言って何を勉強しているのかわかりませんが、たまに行く観光地の景色を守ってほしいといっているようなものです。
    海外脱出できた人はのんきなことを言えていいですね。

  4. zloty_koruna より:

    >それほどまでに努力と工夫をしてみても農業から得られる収入は公務員である父の収入の半分くらいにしかならない。

    単に公務員の給与水準が高すぎるということだけなのでは?民間が平均年収400万なのに対し、地方公務員が700万円というのが異常なだけでは?

    >日本人ひとりひとりに愛される、日本でしか作れない日本のお米は、もはや伝統工芸品ならぬ、伝統農作物と言える。

    日本米は、カリフォルニアでもフィリピンでも作ろうと思えば日本より安く作れるのでは?

  5. iws55 より:

    >経済的な観点で日本の利益を考えた時これらの考えは理解できる。しかし、農業従事者不在の中でのこの論調には疑問を感じざるを得ない。

    この記事ここで破綻してますよ。
    そりゃ農業従事者からすれば日本全体の利益よりも農業従事者の利益が優先されますよね。

  6. jerusalem2000 より:

    普段は、安価な輸入米を食べる。
    でも、ちょっと贅沢したいときは、国産の米を食べる。
    ・・・
    これが理想です。

    選択肢は、多いほうがいい。

    だから、日本の米は、無くならないでしょう。需要があるのだから。
    TPPが導入された後も、放っておいても、「伝統」は守られるでしょう。

  7. harappa5 より:

     私の立場から言わせれば、都市住民と消費者不在の議論を止めて欲しいと思います。
     企業が、外国との競争に負けて、首になり、潰れて無くなっても、何もしてくれません。「努力と工夫」をしたから、農業・農家を残せと言われるなら、中小企業も製造業もありとあらゆる業種も、外国との競争から隔離され、高い所得を守るために政府が所得補償をしてもらい、数倍の値段で製品を売りつけても構いませんか?同意して頂けますか?「怒りを感じる」そうですが、収めてもらえますか?
     いつでも、都市住民は、お荷物(農業と地方経済)を養わなければいけないのでしょうか?都市住民から言えば、穀潰しなんですよ、農民は。

  8. worldcomw より:

    伝統なら、弥生時代の農業を再現して1000人くらいの一子相伝で守ればいいでしょう。能や狂言のような伝統芸能のイメージです。
    あとは「違いの分かる人」が買う伝統工芸品のイメージですね。一般家庭はニトリやIKEAで家具を買い、一部の人は佐渡の箪笥とかを10倍以上の値段で買う。これも市場規模としては今の稲作の1/100くらいでよいでしょう。
    あとは「成果物としてのコメ」を重視して、伝統なんて無視して構わないので、安くておいしいものを作って下さい。

    なお、個人的にはコメは大好きです。多分、年間100kg以上は食べています。でも、無いなら無いで何とかなると思います。その他パンでも牛肉でも卵でも麺類でも、無いなら無いで何とかなるのは同じです。

  9. ねこのまんさく より:

    厳しい意見が付いている中、追い打ちをかけるようですが…。

    農作物輸入の議論は昔からあり、「ほぼ農家の要望通り」高関税が維持されてきたわけです。

    日米貿易摩擦でオレンジだ加州米だと騒いでいた頃からまるまる1世代!

    エントリーのタイトルをかりるならば、そろそろ「農家以外不在の議論はやめませんか。」が正しいと思います。

  10. lark55s より:

    寧ろ、国産米にもっと自信を持つべき。

    いくら安い外国産米が入ってこようと、米だけは不味い外国産米を主食にしようとは思う人は少ないでしょう。

  11. odbpp より:

    さすがにここはTPP賛成派の方が多いですね。私もTPPには参加したほうが良いのかな、と感じています。
    (それを分かってて、あえて農家よりの発言をされるのは立派だと感じました。)
    ところで、TPPに参加すると安い外国産のお米がたくさん輸入されると思いますが、国産米は今までどおりの価格で買えるのでしょうか?
    外国産の食品はまだあまり信用できないですし、今の国産米が家計を圧迫するほど高価だとも思ってないので、今のままの価格であれば国産米を買いたいと思っています。
    松坂牛や黒豚のように高品質・高価な国産米しか残らないのであれば、ちょっと困るのですが・・・。(自分ちの食卓のことばかり考えてしまう)

  12. iseeker より:

    日本の農政は、農協を守って、農家を生かし、農業を殺すといったものです。生産性の低い農家を生かし続けたために、努力している農家の足を引っ張ることになっています。自努力をしている農家は、TPPをチャンスととらえていますが、保護と補助金をあてにしたぶら下がり農家は、農業の危機と騒いでます。農地も先祖代々と言ってますが、多くは農地解放で手に入れたものが多いはず。だったら全ての農地は国に返納して、入札式で本気に農業をやりたい人に貸し出せば、生産性は急上昇するはずです。兼業農家なんて中途半端なことをやっている農家を保護するぐらいなら、農業に人生をかけようとしている若者に農地を解放した方がよっぽどいい。

  13. kimukimui より:

    中山さんのようなTPP反対派の議論がもっとweb上で出てきてもいいと思います。反対派の方の投稿が増えれば農家不在の議論にはなりません。アゴラは言論の場なのですから。

    個人的な印象ですが、品種改良等の努力を懸命にしている農家の人を直接批判する人はそれほど多くないと思います。いるとすれば、それは批判する相手を間違っている。大阪に住む私などは「近畿一の米」と言われれば是非食してみたいものです。どこで買えるのかは分かりませんが…そして個別所得保障制度がきちんと機能してもっと大規模化できれば、中山さんの実家のお米がより多くの人のお腹に入り、結果としてお米もお父様の思いも後世に受け継がれる可能性も出てくるのではないでしょうか。

    ただ日本の中にも、味は程々でも安い米がいいという人もいれば、日本の米よりも東南アジアの米のほうが美味しいと感じる人もいるでしょう。日本人であれ在日外国人であれ。私もたまに本場ナシゴレンを食べたくなります。料理によっては日本の米以外の米のほうが合う場合もあります。

    世界に誇れる中山家のような美味しい米を、それを欲する人にどのようにして届けるか。味は程ほどでいいから安い米を、それを欲する人にどのようにして届けるか。外国の米を、それを愛する人にどのようにして届けるか。このことを皆で知恵を出し合って議論して頂ければと素人的には思います。

  14. jajamata より:

    思うに食料生産単体で家計を支えるのはもう無理でしょう。これからは生産と流通を一括してトータルでの利益を上げるやり方について議論すべきではないでしょうか。
    ところで米の国際市場価格はいくら?
    手元の2008年のタイ米の価格は1トンあたり730ドル、1ドル83円として1キロあたり60円か。何かの間違いに違いない。

  15. nnnhhhkkk より:

    日本のお米を特別視している時点で感覚が麻痺していませんか?
    海外産も日本産に負けないぐらいおいしいですよ。というか、目隠しで食べたらどちらが日本米でどちらが外国産米かは区別なんてつきません。厳しいことを書くようですが、勘違いも甚だしいでしょう。
    日本の伝統を守れなんて書いていることは、つまり農家のあなたも外国産米は日本米と味に差がないことを知っているからでしょう。みんなの党の代表が日本のブランド米は高くても売れると言ってましたが、まあ有り得ないでしょうね。
    ほんの一部の既得権を守るために日本人は糞高い食物を買わされ続け、農家は弱者を気取って利権にありつくのはもうおしまいにしてもらいたいと思います。弱者を自称して税金を食い物にする生活保護と大差はありません。

  16. jazzo より:

    お祖父様は、それだけ土地もノウハウもあるという恵まれた環境でありながら、なぜ収入が少ないのでしょう?
    一方で、土地も資産もなく、働いても働いても生活が楽にならない多くの若者を東京で知っています。
    正直、今の日本ではお祖父様の方が恵まれている状況かもしれません。

    それぐらい誇らしい仕事であるならば、日本の農業を補助金なしでこのような若者を雇用できるぐらいの自立した産業にしなければならないように思います。

  17. ノッチ より:

    >安い米が日本に入ってきて、第一次産業である農業が淘汰される。それで日本が豊かになったと言えるのか。

    言えるでしょう。

    >農家一軒一軒は時に理不尽な天候と戦い、後継者不足の中で何とか消費者に喜んでもらおうと米を作り続けてきた。現在のお米の品質と供給の安定は、農家の人達の努力の結果に他ならない。そんな産業を切り捨てる事が国の進むべき道だとは思いたくない。

    ずいぶん農家の人は驕った考え方をするものなんですね。 私、10代の頃楽器やってて、1日8時間とか10時間とか練習して、それを10年ぐらい続けました。それなりにうまくなりましたがプロにはなれませんでした。なぜ国は私に補助金を出さないのでしょうか?農家を保護するのなら、私も保護されるのが当然でしょうね。 私はやめましたが、それでもあきらめられない方はバイトしながら貧乏暮らしで音楽やってますよ。それが当たり前。何を言ってんですかね。

  18. hogeihantai より:

    今日の朝日新聞朝刊の「所得補償どこへ」の記事で明治学院大の神門善久の意見が中山氏に対する回答に最も相応しい。要約すると:

    稲作農家200万戸のうち、米のみで生計をたてる専業は8万戸。大半の小規模農家は年金その他の安定収入がある。

    多くの小規模農家は農地転用を期待しつつ片手間の米作りで農家の体面を保って農地を維持する「偽装農家」である。

    稲作は省力技術が発達しており、偽装農家に最も好都合な作物。米の生産額は2兆円。戸別所得補償は今年5600億。大盤振る舞いである。所得補償はWTOに違反する可能性もあり、日本は孤立する。

    平均すれば農家の方が都市住民より所得は多い。農業停滞の原因は農地転用、節税目的の農地保有が横行してるからだ。偽装農家の相続人も親に片手間の農業をして貰った方が節税となる。

    偽装農家は真剣に農業に取り組む新たな担い手が現れるのを恐れる。スーパー進出計画など農地転用の機会が訪れた時、専業農家が反対するので高値で売り抜ける障害となるからだ。

    中山氏の実家も兼業農家とのことだが、ポジショントークとしか思えない。そうでなければ中山氏の反論を望みたい。

  19. taquonoss より:

     生産者とか消費者とかそれぞれの立場も大事ですが、より美味しく安全で健康的な食を日常的に獲得するという立場なら同じ土俵で考えることも出来ましょう。一級とか二級に区分されていた日本酒が酒税法の改正で一気に美味しく文化として花開いた事例もあります。規制や保護がすべてではありませんが、所得が無ければ人は生きてゆけません。TPPに関わる議論がよりよい食のためになればと願わずにはいられません。

  20. 農業などの一次産業は、特別の才能を持たない庶民にとって自分の労働力を提供してお金を得る手段である雇用のキャパシティーが大きいのです。その産業で就労して家族を養えて幸福になれる人口が大きいということが長所です。そんな労働集約型の産業で生産性を高めるということは、大規模化して労働力を機械に置き換えるということですが、そうして食料を多量に生産しても、人間の一日に食べる食料の総量は一定で、需要は限られていますから、余った分はブルドーザーで潰すだけのことになります(減反ですね)。で、余った労働力が都会に出て、その雇用を吸収できる人海戦術の産業が今の日本にありますか?その人達が都会のデスクで毎日端末叩いて数字上のお金を奪い合う図というのはほとんどジョークです。それともフィリピンみたいに、安価な労働力としてBRICSあたりの新興富豪の召使にでも雇ってもらえばグローバリズムでいいですか。
    一方、大企業が海外に逃げ出すから法人税減税(税による補助の一種)の流れですが、既に輸出産業(大企業)では生産性を上げるために生産拠点を海外に移し、国内の雇用を切って外国人にシフトしています。円高で輸出産業が困るから瞬間的に何兆円も出して為替介入(税による補助)しました。そんな日本の優秀な輸出産業ですら苦しい円高で、農業が日本人の雇用を守りつつ最高品質の作物を生産しても海外市場で競争できるはずはありません。円高分を税から補助してもらって、やっとこさ同じ土俵でしょう。

  21. TPPで関税を撤廃して自由貿易するのなら、いっそのことEUみたいに通貨統合しちゃえばどうですか?そうすれば円高なる不利益も無くなり、全ての国の全ての産業が同じ土俵でフェアに勝負できるというものです。自由貿易信奉者はどうしてそうしないのですか?TPPの参加国じゃ心もとないなら、いっそのこと中国や韓国、北朝鮮と日本で通貨統合して“元”を使えば、大東亜共栄圏みたいで、極東の不安も一掃されて、一石二鳥ですよ。日本の米なんて、ブランド米として、中国の富裕層あたりの御用達になるかもしれません。

  22. kenta_f0219 より:

    狭い土地に無理矢理、資本の論理を無視して農業を個人事業主にさせる意味が分からない。しかも多額の税金を投入して高いコストで作って、それを買わされる消費者は、税金も負担している。ならばいっそのこと国営にしてしまえ。そして、近代以降で国営農場が失敗しているように、徹底的に失敗してしまえ。

    農家が努力をしていないとは言わない。だが、これだけ国から保護されても価格競争力が出ないなら、たぶんその産業は日本には不向きなのだ。それを覆すには本当の意味で“産業化”をしなければいけない。

    TPPで農家が“死ぬ”からというが、この不景気が町工場が倒産するからと保護されることはない。いい加減、“国民不在の農家保護議論はやめませんか”

  23. 未来 より:

    じっちゃんがメインで米作り。年に何日かは家族で手伝い。
    それも、他の農家より何倍もある農地で。
    じっちゃんは、米作りの為に毎日何をしているのかな?
    消毒?草取り?
    米作りって意外と簡単なのかも。

    お国が車も通らない道をあちこち作った。
    隅々まで区画整理した。
    本当に必要なの?
    作った米は、絶対に買い上げてくれる。補助金付きで。
    ここまでしてもらっても外国にかないませんってか?
    農家の皆さんは甘えん坊さんなのね。

    日本人は毎年、3万人以上死んでいるのよ。
    職業別にその割合をだしてごらん。

  24. 故郷求めて より:

    まあ、批判は出尽くしてますけど・・・

    農家の方々が被害者でないとはいいませんよ。でも、加害者は誰でしょう?都会の消費者ですか?そうじゃないですよね。

    農業をダメにしたのは農地を特別扱いにし、コメ農家を特別扱いにし、自民党と農協が農家を搾取してきたからでしょう?これを正そうと思ったら、TPPでも何でもいいから国際環境にさらして徹底的に市場で揉まれるしかないのでは?これまで、内輪の論理で改革をしようとしても一向に進まなかったではないですか。

    さらに言えば、農家はコメだけじゃない。野菜・果物・花き・畜産、(過保護がないとは言わないが)いずれも厳しい競争環境でやってらっしゃる。筆者はご存じないかも知れないが、牛肉・オレンジ交渉の時もそれぞれの生産者は殺されると言ってましたが、今どうですか?

    ところどころに感情論も見受けられますが、なるほど利害関係者だからそうなるのだなと思わずにはいられません。これだから、農業は「農家」の利害を慮ってはいけないのだという結論になりそうです。ちょうど、原発立地や自衛隊基地を地元の住民投票で決めてはいけないというのと同じです。

  25. cuique4 より:

    >日本人の主食であるお米。日本人ひとりひとりに愛される、日本でしか作れない日本のお米は、もはや伝統工芸品ならぬ、伝統農作物と言える。

    故に,

    >日本の文化、伝統を守るために幾多の保護がなされているのと同様、稲作も守られるべきである。

    伝統から規範命題を導出する典型的な論理的誤謬のいい例だ.

    参照:伝統に訴える論証(Appeal to tradition)

    筆者が議論における基本的な作法を身につけていないことを証左しているな.

    イギリスまでいって何を勉強しているのやら.

  26. kotodama137 より:

    米は食料でありそれ以上でもそれ以下でもありません。それに多くの伝統農作物を滅ぼしておいて、米が伝統農作物にとは虫のいい話です。それに高額で高品質の米は生き残るでしょう、でもそれは主食なんですか?貧乏人は麦を食えですか?その麦さえあまり市場にない。また糖尿病患者が食べらない果物を作り出すのは異常です。もう食品でなく嗜好品です。
    農協による計画的な指導は、価格安定につながりましたが、食品としての多様性を失いました。それに販売ルートは農協に握られ、自由な販売は直販やネット販売でしかなく。肥料や農機具販売を独占し農家に貸付けで農家を縛り、コスト高にして消費者に負担させている。休墾地を農協が集めて貸し出している。経済学いぜんの問題です。TPPで農協が解体さればいい。農業生産者の多くは高齢者です。年金で暮せる年です。困るのは農協職員だろうとひそかに思っています。

  27. minourat より:

    おじいさんまで含めて、ご家族いっしょに協力して暮らしておられる様子でうらやましいかぎりです。 

    農地解放は在村地主には適用されなかったので、 私のうちは戦後も小作でした。 さらに父親は、体があまり丈夫でなかったので、母親を中心に小学生の低学年のときから農作業にかりだされました。 当時は、どうして他の農家の子供より働かせられるのだろうと思ったのですが、 今は、姉も私もこうして働かせられたことを感謝しております。 何しろ働く事が苦痛でないのですから。

    それから、農協から配達される「家の光」という雑誌とその付録をいつも心待ちにしておりました。 漢字にはかながふってありましたので (避妊の仕方をふくめて)すべての記事を読むことができました。 そこで、 漢字は意識的に読み方を勉強しなくても、 読めるようになりました。

    映画監督の新藤兼人が「自分は百姓である」いっているのを読んだことがあります。 中学卒業以後は農作業をしておりませんが、 私の精神構造は今も百姓です。

    これは、なつかしい昔の思い出で、 いまはギスギスした生活をしております。

    ご家族のみなさんのご多幸をいのります。

  28. maltcask より:

    コメントへの中山星児さんの反論期待していたのですが無いようですね。
    18. hogeihantaiさんの指摘などへの反論がまったくないのが不思議です。
    Twitterで「いかなる意見であっても、自分の考えに反応が返ってくるのは悪く無いですね。」とつぶやいてますが何のための投稿だったのでしょうか?
    勘ぐれば、いちいち反論するまでも無く農家の利権は確保されるという確信があるのかなと疑ってしまいます。一票の格差などかんがえるとそのような確信をいだくのももっともかとは思いますが、、、

  29. kotodama137 より:

    感情的になってすまない。冷静に考えて見ます。
    確かに18. hogeihantaiさんの指摘の面があるのも確かだと思いますが、規制区域と関係ない山間の専業米農家は、やっていけなくなっています。一番の問題は農機具や肥料のコスト高さです。また規格の厳しさです。ブドウ農家の話では、今年は天候のせいで小粒で色のりが悪かったため、規格外が多発したそうです。それで収入減です。小規模農家には厳しい経営が続きそうです。
    自由化に対しての対応策としては、地産地消や伝統農作物の普及。地区の農協を中心した農園化等が考えれますが。
    コスト減と流通の自由化が前提だと思います。
    農業は、人間にとって基本的な産業なので多くの食品関係以外との結びつきあり、食生活、環境等のかかわりもあります。癒着や独占も多くいわば日本の諸問題がパックになっているパンドラの箱です。自由化による、(自分も含めて)賛否両論の意見通りになるか誰も予測はできません。
    消費者にとって恩恵になるとも言い切れません。また廃村が出るかもしれません。

  30. kotodama137 より:

    それでも自由化は推進すべきです。それはくるべき時が来たということだけです。滅びるものは滅びるそれは農家もわかっていることです。滅びないようにどうすかだけの問題です。

    イギリスで新しい農園経営を学んで帰ってきてください。

  31. ksmo2011 より:

    800%の関税をかけても、採算点を維持できない時点で既に米作りは破綻しています。
      今米作りをしているのは採算を度外視して、、農家自らが、自らの食糧を確保するという安心感を得るためだけです。
     補助金を無くしても、減反を無くしても、米価が下がっても、そんな農家は米作りを止めないでしょう。
     逆に、規模を拡大して、直販したり、輸出したりして利益を上げようとする企業意欲のある農家は、元々何の支援も補助も期待していませんから自由化しても何も困りません。
     困るのは、米を食い物にしている農協関係者と、農林省の役人だけです。

  32. hirokame2009 より:

     農業は納税者に支援される道を模索しなくてはいけない。TTPがなくては、日本はやりくりができなくなっている。しかし、コメ農業はなりたたなく、だからといって、コメ農業を現状と同じように補助はできない。
     どうするのか、企業的なコメ農業はどうしても無理だとすれば、目標所得を落としてでもコメ作りをする農家に任せればよい。つまり、当方のコメどころは米を作れなくなっても、四国などのあまりうまくないといわれる産地に任せばよいでしょう。でも、それはありえない。定年後に水田を守りたいという農家に任せば済むことでしょう。しかし、5年後ぐらいに定年を待っている次の世代は、コスト的に見合わなければ、それすらもしない。
     どうするのか。それほどに、水田が必要だというのだろうか納税者は。