AV Watchで、ウォークマンのシェアが50%突破という記事が出ていた。先月カセット型ウォークマン販売終了のお知らせで涙したオッサンとしては、うれしいような残念のような、そんな複雑なニュースである。
なぜそうなのかというと、オッサン世代にとってウォークマンが首位なのはもはやデフォルトだったのに、50%超えた、やったー! オメデトウ! というスタンスになんかビミョーな違和感というか、出井・安藤体制での歴史的敗北から半分まで取り返すのに時間かかったなー、という感覚である。
グラフではAppleのiPodに対して、綺麗にシンメトリックになっているのがご覧いただけるだろう。すなわち今日本においてポータブルオーディオというのは、iPodとウォークマンのほぼ二択しか存在しないこともわかる。05年頃までは韓国製MP3プレーヤーも市場を賑わせていたことを考えると、この市場もかなり淘汰が進んだものである。
高校生の娘には、クリスマスプレゼントとしてウォークマンをねだられている。今年の初めには自分の小遣いでiPod nanoを買い、僕からはいらなくなったiPod Touchをもらったはずなのに、ウォークマンが欲しいという。その理由は、歌詞の表示機能があるからだ。音楽販売がダウンロードとなり、またCDレンタルで済ませるようになってくると、歌詞カードがないので一緒に歌えないというデメリットが発生してくる。そこを救うサービスで、日本特有のニーズだ。
また最近はウォークマンと組み合わせるコンパクトスピーカーも好調だ。音を外に出して音楽を聴くという文化を破壊したのがウォークマンの罪だが、それをまた自分で取り返す羽目になるとは、当時は考えられなかったことだろう。
iPodの進化は、最近iPod nanoがiPod Touch的なGUIを搭載したことからも、音楽プレーヤーだけではないのものになっていくという夢を見させてくれる。ただ日本の高校生の女の子のニーズは掴めていないが。
ウォークマンはこれから、どういうビジョンを見せてくれるのだろうか。今はまだ、長期的な方向性が見えていないのがちょっと心配である。
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コメント
iPodも手動で歌詞を埋め込んで、iPodで歌詞表示はできます。
ソニーみたいに歌詞を曲とシンクロさせるような効率の悪い労働集約的なサービスはやっていませんが。
あとAppleが大躍進を続けているのに、ウォークマンのシェアが増えたというのも、単機能のMP3プレイヤーという製品カテゴリそのものが成長が鈍化して成熟しているからです。
AppleはiPhoneやiPod touchに移行したのに、ソニーは未だに音楽プレイヤーに取り残されているため、徐々に安いコモディティへと落ちていくでしょうね。安い商品ほどソニーのシェアが高いというグラフもそれを物語っています。
いつになったら日本企業はシェアという前時代的な指標を捨てられるのか。
iTunes text で普通に歌詞の「自動」埋め込み・歌詞表示できます。それだけではウォークマンに変える理由にならないと思います。
magnu、wat6713両氏の主張はもっともであるが、小寺氏としてはiPodのような海外メーカーでは日本国内向けのサービス(歌詞など)の宣伝が甘いと言いたいのではないだろうか?
もっとも、たまたま小寺氏の娘(日本人の女子高生)がiPodの操作を習熟せず、ウォークマンの宣伝の一部に取り上げられていた歌詞表示機能の搭載を見かけただけかもしれないので、これだけでは「ソニー」が「日本人」のニーズに合わせた製品を作って上手く宣伝しているとは言い難いのだが。