東日本復興開発銀行

小幡 績

Voice5月号でもより包括的な提言をしているが、この銀行に関して、こちらでは詳しく述べたい。

その概要は以下のとおりである。


東日本復興開発銀行

本社:仙台市
資本金:5兆円
出資者:日本国政府:3兆円
日本政策投資銀行:1兆円
そのほか国内民間金融機関および東京電力、東北電力:合計1兆円
Jパワー、JR東日本、全日空:任意
投融資規模:50兆円
融資対象:東日本の地方自治体などによるプロジェクトに対するファイナンス。プロジェクトには民間企業も参加可能。
プロジェクトのタイプ:地方自治体プロジェクト、公共的プロジェクト、民間プロジェクト
資金調達手法:成長基盤強化融資に準じる日本銀行による資金供給
日本銀行による資金供給:成長基盤強化融資に準じるが、満期1年でロールオーバー9回。実質10年融資だが、毎年チェックあり。10年後に個別プロジェクト抜本見直しで、改めて融資。これも1年融資でロールオーバー9回。
融資利子率:自治体プロジェクトおよび公共的プロジェクトは日本国債および財政投融資に準じて決定。これらの利子支払い額は国庫負担。民間プロジェクトは民間ベース。
組織の期限:20年。まず20年間の時限立法で10年後に見直し条項。20年目以降は2つに分離し、公的部門は大幅縮小して管理機構化、民間プロジェクトは入札で完全民間資本化、完全民間金融機関に。
タイムスケジュール:
当初10年:投融資審査、実行
11年目から20年目:投融資プロジェクトに対するガバナンス
20年目以降:公的部門と民間部門に分離。民間プロジェクト債権の入札、残りを完全民営化組織に引き次ぎ、完全民間金融機関化。
返済方法:民間プロジェクトは民間ベース。自治体プロジェクトは元本を自治体が50年返済。
人材:幅広く民間を中心に公的セクターからも集める。出向でもいいが、任期は5年。リニューあり。給与水準は民間金融機関に準ずる。国際的にも人材を集める。東北出身者は優先する。
政府からの独立性:
スタッフ:出身者も積極採用。地方自治体も。任期は最低5年で、一旦退職。政府、自治体へ復帰は可能。
幹部人事や予算の独立性:日銀や日本政策投資銀行などに準ずる。

コメント

  1. yamaguchiiwao より:

    実に良い企画と思います。日本の戦後復興に果たした世銀の功績は大きく、東北復興に同様の貢献が期待出来ます。政府による公共投資との最適組み合わせが望ましく、この様な高度に専門的な業務には筆者の如き優秀な方の抜擢を希望します。
    山口 巌

  2. greetree より:

    朝日新聞の声欄にも似た意見が出ていましたね。津波が来ても大丈夫なように、25階ぐらいの超高層ビルをたくさん作る、という計画。

    田舎に超高層ビルをたくさん作って、ガラガラ状態にして、バベルの塔にするわけですね。膨大な赤字はすべて国民が尻ぬぐいですか。

    いやはや。石原銀行は1000億円の赤字で済んだが、5兆円の赤字を垂れ流すとは。無駄遣いのスケールが違いますね。これで確実に日本は没落するでしょう。

  3. bellydancefan より:

    反対です。これこそが日本が抱える最大の癌で、最大の膿であるツケ回しの典型だからです。パンドラボックスは確実にアメーバのように形を変えて出現するでしょう。

    日本の恥です。これを抱えてる限り、日本国債のグレードは下がり続ける一方だと思います。

    手始めに、石油公団から手を付けるべきだと考えてましたが、外資も同様に考えていたようで、ゴールドマンサックスに債権をスクラップされるのが関の山です。

    なぜなら、国内では売りさばけないからです。それほどまでにこの資本主義の信用の創造は体を成していないのです。

  4. hogeihantai より:

    これは賛成できません。政府が主体では全くプロジェクトに対する審査能力が期待できない。地方自治体のプロジェクトそのものが大部分失敗であった。失敗した場合の責任の所在が不明で、結局税金で尻拭いする事になる。山口氏は戦後の世銀の役割を挙げられたが、戦後は決定的にインフラが不足していたので、融資対象となったプロジェクトは優先度が高く、例えば名神高速道路、東海道新幹線に経済的合理性があった、しかも高度成長期で返済にも不安がなかった。

    東北の場合は経済のインフラは高速道路や新幹線、空港など既に過剰で企業活動は数ヶ月で元に復帰できる。生活のインフラは破壊されたが税金で全て面倒みるのは問題だ。例えば田老町にあった10mの防潮堤は無駄の象徴。今回の様な大災害の後は千歳一遇のチャンスとばかり土建屋と利権政治家が暗躍するに決まっている。復興開発銀行もこのような魑魅魍魎を勇気づけるだけだ。

  5. agora_inoue より:

     公共財の性質が強くて、民間では供給不可能な財については、政府が整備すべきですが、そのために建設国債という仕組みがあるのです。
     また、公共財ではない財については、民間企業が勝手に投資をして整備するでしょう。これは通常の民間金融の問題。

    結論:復興銀行なんかいらない。屋上屋を架すようなことをなぜするんですか?

  6. kotodama137 より:

    良いと思いますが、他の方が心配しているように、政治家と地元の建築会社の癒着の温床にならないか心配です。郷土再建という、誰も逆らえない名目がありますから。青写真ができてから、復興銀行ができても遅くないと。それより高齢者が紡いでいた伝統工芸や技術は無くなってしまうでしょう。高齢なので一般の銀行が融資するとは思えない。災害で文化が無くなるはさびしいですね。

  7. bellydancefan より:

    流行を知るストリートチルドレンと伝統工芸品との軋轢は凄まじいものがあると思います。それを言うなら文化服装学園の授業とアパレルメーカーの生産ラインとの軋轢もかなりのものがあります。

    寧ろ行かないで、留学した方がいいのではないかと思うほどです。何事も本場で学び、肌で感じるのが一番です!