堀江貴文さんの裁判で最高裁判所が上告を退ける決定をして、懲役2年6か月の実刑が確定したことについては、ネット上ではほぼ検察司法を批判する声一色だと思います。私も同じく検察司法の暴走以外の何物でもなく、刑事事件になるようなことではないと思います。この判決からもわかるように優秀な起業家やベンチャー企業を海外に追い出すのは日本社会の得意技だと思います。そこでその方法についてまとめてみました。
1.法人税を高くする
日本の法人税率は世界的に見てかなり高く、収益が高い企業ほど海外の法人税率が低い国に移りたくなります。
2.所得税と住民税の最高税率を高くする
日本の所得税と住民税の最高税率も世界的に見てかなり高く、高額所得者なら半分は税金で取られます。高額所得の起業家は海外の所得税率の低いところに移住したくなります。
3.企業の人件費を高くする
解雇規制を厳しくして、会社が倒産しそうにでもならない限り従業員を解雇できなくしたり、従業員の社会保障費を企業に負担させることによって、企業の人件費が高くなり、起業家が海外で従業員を雇いたくなります。
4.たくさんの規制を作って新規参入を妨害
役所がたくさんの規制を作って、役所と仲の良い既存企業を保護して、新規参入を妨害します。起業家は規制の少ない国でビジネスを始めることを考えます。
5.電波の割り当ては電波オークションではなく役所の独断と偏見で
新規参入業者が携帯電話事業に参入するには電波の割り当てを受ける必要があります。その電波の割り当ての方法は公平な制度である電波オークションではなく、役所の独断と偏見によって決まります。その独断と偏見では既存の携帯電話会社が優遇されて、新規参入業者はなかなか割り当ててもらえません。
たとえ割り当ててもらえたとしても、総務省の言う事には逆らわず、総務省の決めた方針や技術に従わなくてはなりません。そもそも総務省は日本の企業に割り当てたがるので外資系の携帯電話事業の新規参入はとても難しくなります。新規参入業者は日本で携帯電話事業に参入することを諦めるでしょう。
6.事業に成功してメディアを騒がせた起業家は検察司法が叩き潰す
堀江貴文さんや村上世彰さんのようにビジネスで大成功してかつメディアにたくさん登場した人物は、検察司法が黙っていません。検察と司法が一体となり「額に汗して働かずに巨万の富を得るのはけしからん」という価値観のもと、検察が悪いと決めた時点でほとんど有罪が確定して、社会的に抹殺されます。起業家は恐ろしくて事業なんかできません。当然海外で事業をしたくなります。
7.その検察司法をマスコミが応援
その検察司法をテレビ新聞などのマスコミが一生懸命応援します。堀江さんの事件にしても、ライブドアの会計が本当に粉飾決算に相当するかといった議論はほとんどしないで、検察が流して欲しい情報をそのまま報道します。世間の人はマスコミの報道を鵜呑みにして、堀江貴文さんや村上世彰さんを犯罪者だと決めつけます。そういう風に報道されたり、それを世間の人が真に受けたりすると、日本にいるのが嫌になるでしょう。
8.既得権を犯す新しい技術やビジネスは既得権者と司法が叩き潰す
まねきTVやWinnyなどの裁判を見ればわかる通り、司法はとにかく既得権者に優しく、新規参入者に対して厳しいです。既得権者が気にくわないと思って裁判を起こせば、司法は大抵既得権者の言い分を認めてくれます。Winnyというプログラムを作成しただけだったり、まねきTVというユーザーが自分で買った機器を使って自分だけがTVをみるだけのサービスでも、著作権を建前にして叩き潰します。起業家が海外に行かないことが考えられなくなります。
9.赤字国債をたくさん発行
赤字国債を1000兆円ほど発行して、いつ財政破綻が起きてもおかしくない状況にして、円で資産を持つことをリスクにします。起業家は海外に資産を移したくなります。
というように優秀な起業家やベンチャー企業を海外へ追い出すシステムが実によく出来上がっています。
堀江さんも実刑確定を受けた記者会見で「今回の事件が、若者が萎縮してしまう原因だとも懸念している。若者に向けてメッセージがあるとすれば、どのようにコメントするか。」という質問に「ずっと日本にいると、よくない気がする。若い人は特に、絶対世界へ行ったほうがいい。」と答えています。
このまま現在の制度が続き、優秀な起業家やベンチャー企業の海外移転がどんどん続くと、日本で国際競争力のある優良企業が産まれず、日本人はみんなで仲良く貧しくなっていくことになるでしょう。
でも日本は自らその道を選んでいるとしか思えません。
最後にもし堀江貴文さんの記者会見の全文をまだ読んでいない方はこちらにあるので、ぜひ読んで頂きたいと思います。
http://news.nicovideo.jp/watch/nw56797
平成の龍馬(多田光宏)
blog http://heisei-no-ryouma.ldblog.jp/
twitter http://twitter.com/heisei_no_ryoum
コメント
国家の制度や社会のルールは国民を守り豊かにし幸福にするために存在します。
では法人税を下げると国民(国(GDP)では無い)は豊かになるでしょうか?
企業業績が向上しても、そこで働く人(正社員だけでは無い)の給与には必ずしも反映されません。会社の業績と国民の幸福は一致しないのです。
村上ファンドやライブドアのやり方は国民の幸福に寄与したでしょうか?
バラエティとしては寄与したかもしれません。
みんな貧しくなる、もっと貧しくなる、などと言っても既に貧しい人達の心には響きませんし、みんな貧しくなるのも、大多数が貧しくなるのも、大多数の人からみれば同じことです。
国民の幸福に寄与する(したい)のならば、そう国民に訴えればいい。きっと多くの人が真剣に応援し力になるでしょう。
国民の幸福なんて関係ないと言うのなら、既得者と変わらないので、勝手に戦って勝つなり負けるなり出てくなり好きにすれば良い。
今必要なのは徹底しては国民の幸福という視野に立った制度ルールだと思います。
海外で成功している日本人の優秀な起業家やベンチャー企業というのはあまりききません。
いっぽう、 米国で起業して成功している台湾とかインドの人達は多くいます。 彼らは、 設計は米国で、 製造やプログラミングは本国でといったように比較優位性をうまくつかっています。 台湾の半導体・PC産業やインドのソフトウエア産業はこれによって大きくのびました。
日本の優秀な起業家やベンチャー企業にもどんどん海外に雄飛してもらいたいものです。