増税も国債も必要ない復興財源

池田 信夫

きょう私も周波数オークションの提案募集に提案を出しました。主要な論点は、700/900MHz帯でオークションをやるべきだということです。


電波法改正のときも指摘したように、来年900MHz帯のオークションをやらないと、その後の700MHz帯のオークションもできなくなり、合計130MHzの帯域が美人投票で割り当てられることになります。電波部は「時間がない」という理由で電波法改正を強行しましたが、来年割り当てるのは900MHz帯の30MHzだけ。本命は、2015年に100MHzが空く予定の700MHz帯です。

しかもその期限は免許期間の問題だけなので、オークションを導入して立ち退き料を払えば、900MHz帯と一緒に2013年にもオークションが可能です。電波部の心配している「価格の高騰」も、130MHzを一挙に競売にかければ、まず起こりえない。5スロット以上とれるので、既存業者の既得権も守れます。

逆にここでやらないと、もっとも貴重なプラチナバンドをすべて無料で割り当てることになり、オークションの意味はほとんどなくなります。3GHzより上の帯域のオークションなんて、ほとんど応札者がいないでしょう。「周波数オークションに関する懇談会」は有名無実になり、オークションをやらないという結論が出るおそれもあります。

民主党では、復興財源としてオークションが再検討されているようです。法技術的には、先の電波法改正でも「オークションをやらない」と決めたわけではなく、政治主導で決めればオークションは可能です。700/900MHz帯の時価は約1兆7000億円。復興財源が増税か国債かでもめているとき、そのどちらでもなく競争促進にもなる財源ができるのです。

コメント

  1. 故郷求めて より:

    タイトルに思わず釣られました、みんなの党の人が投稿したのかと思っちゃいまして(笑)

    本音を言うと電波とか周波数とかって、手にとることもできないしイメージすることもすごく難しい。毎日お世話になっていながら、これほど理解も説明も難しいものはない気がします。

    ネットでは何度も目にするのですが、電波利権や周波数オークションの話題だけは身近な人と話したことがほとんどない。大手マスコミが避けていることも原因の一つでしょうが、巷の人に問題意識がほとんど感じられないのがヤバいですね。

  2. gatturi_kanno より:

    災害復興時の増税を唱える、偽学者、偽教授そして、なにも行動しないで、彼らの言うことを鵜呑みにして、迎合する、無能な首相と落ち目の党の幹事長、かれらの災害に対する対応は、国民を愚弄するにもほどがある。今こそ国民の英知を使って、増税なき災害復興を考えるときである。増税を唱えるだけの人種や首相、幹事長以外の国民はすばらしい英知を持っているのだから。

  3. mshino3523 より:

    日本には幸か不幸か、NTT株や郵政株や外貨準備など、『霞が関の埋蔵金』
    と言われる巨大な独占資本が東京に集中している。外貨準備だけで90兆円、
    円高是正というがそのような政治的な為替介入は市場を歪めるものでしかない。
    ケインズ経済学と称するやり方は、市場よりも政治が優先されることになる。
    巨大な埋蔵金があるにも関わらず、もったいぶって使わないのでは、
    いつまで経っても内需は増えず復興は進まない。内需が乏しいまま
    で消費税上げしても税収アップにつながるとも思えない。
    霞が関や永田町は巨大な埋蔵金を抱えて宮廷で華やかな暮らしをしているが、
    これでは外界の厳しい現実が見えない。堺屋太一のいう『ベルサイユ化』。

  4. mshino3523 より:

    円高対策と称して巨大な為替介入を続けてきた結果、外貨準備は1兆ドルに達した。

    日本の外貨準備は、この10年の間に急増した。理由は政府が為替市場に介入して円売り、
    ドル買いの操作を繰り返してきたからだ。この1年だけでも昨年9月15日に2兆円、
    さらに東日本大震災直後の3月18日に7000億円の介入を行っている。それ以前に遡れば
    2003年から2004年にかけては合計33兆円の円売り、ドル買介入をしている。こうして
    2003年以降合計40兆円にも上るドル買い操作を行った。その結果、日本の外貨準備は
    2003年3月の5000億ドルから現在の1兆ドルに倍増した。この間、経済全体は4%減少
    したにもかかわらずである。
    http://jp.fujitsu.com/group/fri/column/opinion/201104/2011-4-7.html

    こうした巨額の『霞が関の埋蔵金』は、多くの民間企業が自活できないことに起因する。
    円高で中小企業が苦しいから政府は為替介入してくれ、雇用調整助成金を支給してくれ、
    公共事業をやってくれ、金融緩和してくれ、租税特別措置を発動してくれ、
    中小企業には無担保でかつ低金利で融資してしかも返済は猶予にしてくれ、と。
    経団連までも法人減税は止めてもいいからそれを東電救済に充てろ、と。

    その結果、雇用は増えず最低賃金は上がらず生産性は上がらずで、日本停滞が続く。