国民にフラストレーションとストレスを与え続けた菅政権も、いよいよ最後の時を迎える様だ。幕を引くのは自民党である。
ロイターが昨日伝える所では自民党を中核とする野党が、がれき処理をはじめとした当面必要な財源確保の為の、2011年度第1次補正予算に就いては賛成に回る事はほぼ既定事実の様である。しかしながら、赤字国債発行を認める特例公債法の与野党間協議は暗礁に乗り上げている。
[東京 28日 ロイター] 11年度の赤字国債発行を認める特例公債法の成立の見通しがたたない。政府・民主党は1次補正予算案と合わせての採決を目指したが、与野党協議が不調に終わり、それぞれの採決を切り離した結果、展望が開けなくなった。
自民党の林芳正政調会長代理(自民党シャドー・キャビネット財務大臣)は2月のロイターのインタビューで、11年度特例公債法案が10年度内に成立しない場合でも、当面は税収や政府短期証券でつなぐことが可能なため、「7月ごろまでは資金がなくなることはない」と述べ、バラマキ予算である民主党マニフェストの破たんを質すことこそ「本筋」の政策論だとしていた
政策通の自民党林調会長代理が指摘する通り、当面の5月、6月の遣り繰りはつくとしても、7月以降は菅首相が辞任するか、歳入欠陥により政府が機能不全に陥るかの2者択一であり、如何に保身を身上とする菅首相であっても辞任は止む無しであろう。
阪神淡路大震災で実績のある、政令で設置できる復興委員会を設置せず、法律がないと設置できない復興庁なるものに拘泥し、結果墓穴を掘ったのではないか?
結局の所、保身に拘る余り、政府主導での復興委員会設置を忌避し、野党を巻き込む事でのリスク分散を図り、来年設置予定と聞く復興庁なるものを規定事実化する事で政権の延命を図ったのではないか?
以前、記事に纏めたが、こんな組織が稼働する筈かない。
看過出来ないのは、被災地で苦しむ避難民が置き去りにされている点である。
twitter上での、東大、玉井克哉教授の呟きが辛辣である。断っておくが玉井先生はバランス感覚に優れた極めて温厚な方であり、最初読んだ時は別人かと疑った程である。
政令で設置できる阪神淡路復興委員会という前例が目の前にありながら、法律がないと設置できない復興庁なるものにこだわるのは、純粋に政府の問題であり、国会の構成とは無関係です。
東京にいるとどうしても原発に目が向きがちですが、それと震災被害は別です。原発に目を奪われ、震災の復興が滞ってきたのは否定できないし、それについては全責任が現政権にあると思います。
小政党から出た村山連立政権でできたことが、なぜ衆議院単独過半数の政権にできないのか。政令と予算は意のままなのに、なぜ法律でやろうとするのか。しかもそのための与野党協議をなぜ四月に始めるのか。すべて、現政権の問題です。なお繰り返しになりますが、これらは専ら震災復興の問題です。
端的に無能なんですよ。政治学的には内閣と別に各省が権力を持っているわけで、権限を奪おうとすれば抵抗するのが当然。それがわかってるのに強行を図る。無能の一語
。
もちろんそうです。だから野党も党内野党も協力しない。RT @myikegami: …復興にかこつけて、自分の政治生命の延命を図っていると言われてもしょうがない状態かも
http://twitter.com/#!/tamai1961
玉井先生にここまで言われる様では、菅政権の余命は持って1~2ヶ月と言う所ではないだろうか。立つ鳥跡を濁さずで、是非とも菅首相には潔く辞任して戴きたいものである。
所で、菅政権最後の仕事となるであろう1次補正予算案の中身は如何なるものであろうか?
東大、岩本教授のブログが実に判り易く説明してくれている。
今回の補正予算には,既存経費の削減による財源確保が不十分,基礎年金国庫負担の停止は適切ではない,という2つの重大な問題がある。
国会公務員人件費の削減も取り沙汰されていたが,盛り込まれなかった。もともと民主党のマニフェストは,国家公務員人件費の2割削減をうたっていたのだが。
菅政権の特徴の一つは徹底したマニュフェストの軽視、無視であるが、国家公務員人件費の2割削減も無視しているのであろうか?看過出来ない事実である。
財務省公表資料によれば国家公務員数は56.4万人、人件費は5.2兆円との事である。国家公務員人件費の2割削減が実行されれば1兆円程度の財源創出となるが、何もやっていないと言う事であろうか?政府は国民に対しこの事を説明すべき強く思う。
予備費8100億円を使用する他は既存経費を削減して国債を発行しないこととしているが,これはまやかしである。経費削減の大部分を占めるのは,基礎年金国庫負担のための年金特別会計への繰入の2.5兆円減額である。年金特別会計の方では,国庫負担が入らないことになり,その分,積立金が減少する。
そこから生じる重大な問題は2つ。第1は,国債が発行されなくても,公的年金積立金が減るため政府全体では資産が減少している。つまり,純債務が増加しており,財政赤字が発生している。国債を発行しないことを強調することでこの事実が隠されてしまう。
第2は,復興経費を公的年金で負担することになるが,このままでは将来の世代がどこかの時点でそのつけを払わされることになるだろう。復興財源を誰が負担するのか,を議論することなく,国債を発行しないという名目だけで将来の世代が負担することを決めてしまうのは正当な政策決定だろうか。
深く共鳴する。不測の支出に対し、銀行借り入れを増やしたくないという理由で来月学校に支払わねばならない子供の給食費を流用する親が何処の世界にいるだろうか?
国債残高抑制は重要だが、財政規律の順守が最優先事項の筈である。
「世代間の公平性を確保しなければならないが、先述した若い世代のボランティア活動に対する返礼、さらに若い世代が災害後の日本経済・日本社会の復興の主体となるはずであることから、高齢世代が若年世代の活動を少しでも支援する方向性をもった貢献方法に重きを置くべきであろう。」
これにも深く共鳴する。現政権は余りに若者世代を食い物にしている。怒りすら覚える。
日本の老人は金持ちである。それは、日本の金融資産の60%以上が60才以上の世代に保有されている事実から明らかである。
家計の金融資産と種類別構成比(2009年、出典:金融広報中央委員会)
財務省公表資料によれば92兆円の歳出総額に対し、社会保障費は27兆円、約30%にも達する。
批判を恐れず露骨に言ってしまえば、金持ちの老人を社会保障費で手厚く遇し、それにより生じた借金を若い世代に付け回しているだけではないか?
政権交代が起こり、菅内閣に於いてこの歪な仕組みを是正すべく本来何らかの方向性が示されるべきであった。しかしながら、何も出来ていない。
1次補正予算案の焙り出すものは、お粗末で破廉恥極まりない菅政権の実態、本質であると思う。
これでは、野党による内閣不信任案の提出も致し方ない。
山口 巌
コメント
日本の老人は金持ちですか?
リタイア後の生活費を月平均277千円とし30年間生きているとすれば、1億円の蓄えが必要です。(年間333万円x30年=1億円)こんなに持っている人はほとんどいないでしょうね。実際には年金で賄い、不足分は預貯金を取り崩しているのではないかと思います。老後のために貯金してきた結果、60歳代の高齢者の金融資産が多くなるのは当然ではないでしょうか。
年金医療介護などの社会保障費が高齢者への配分が多くなるのは自然の摂理です。これを大幅に削減すると、高齢世代は今更所得を増やす手段を持たないので社会不安を起こし、若年世代では老後資金蓄積のために消費マインドが冷え込む可能性があるでしょう。
私自身が退職者で年金生活しておりますので、実感を述べました。小生の知らない他の老人はもっともっと裕福なのかもしれません。いずれにせよ、単に世代別金融資産などといった大まかな統計のみで結論づけるのは困難であり、より精緻な実態把握が必要では無いでしょうか。
>seanjpさん
確かにおっしゃる通りだと思います。最近どちらかというと、若者側の意見を聞くこと、目にすることが多いので勉強になる点がありました。
ただ「年金医療介護などの社会保障費が高齢者への配分が多くなるのは自然の摂理です」
この部分に関して意見があるのですが、日本の長寿国という事実が単純に長生きという意味で100%肯定されることが違うのではないか?感じています
自分の母親は医療、介護、看護に長年勤めていますが、その母から
「人工透析を受けるような方々の大半は、若いころの暴飲暴食という自己責任による部分が多い、なのに病気になってから国のお金でずっと延命処置をすることがはたしてどうなのか?」というような話を聞きました。
また生きるということを改めて考え直すことも必要だと感じます。自分の力で生きるのか?機械の力を借りて生かされるのか?そういった命についての議論も、今の財政状況を考えるとこれから必要なのではないか?と感じます
話が多少それましたが、国庫負担が多い社会保障費という点への若者からの意見を申し上げますと、老後資金蓄積のために消費マインドが冷え込むと仰っていますが、正直今の若者は老後のことを考え貯蓄しなければ、と考えているものはあまり見受けられません。それでも消費が少ないのは、今の雇用体系による、若いときに時間と、仕事内容という点で会社に貸しを作り、年を重ねるにつれてそれが返ってくるというシステム自体も見直さなければいけないと考えます。でなければお金を使う時間も余裕も若者にはないのです
消費をしたい、する時期にお金、時間がなく、消費をしない世代になってお金を沢山持ち、貯蓄に回っていくというこのサイクルを社会保障費問題含め抜本的な改革が必要だと考えます
> yonaoshikさん
丁寧な返信ありがとうございます。より精緻な分析を期待して、追加コメントさせてください。
1973年に老人の窓口負担はゼロになり、病院は老人のサロンと化し飲みきれないほどの薬が出たそうです。その後400円/月の定額制となり、紆余曲折を経て2002年に自己負担1割となりました。ずいぶん歪みは解消されたのですが、過剰医療(?)が指摘される様になりました。人工透析患者の大半は自業自得と言われてしまうとやるせないですし、機械によって生かされているといった例も生命の尊厳などもあり難しい問題です。(無理な延命治療は今後減少していくと思います)いずれにせよ、具体的な分析データを共有して議論する必要があるでしょう。
> 正直今の若者は老後のことを考え貯蓄しなければ、と考えているものはあまり見受けられません。
これは大変です。生活保護を受ける高齢者が段々増えます。
> 消費をしたい、する時期にお金、時間がなく、
若いときにお金や時間がないのは、今も昔も変わらないのではないでしょうか。今はダブルインカムが普通なので所得は多いかもしれませんが、家電情報機器マイカーなど、最低消費生活の水準が上がっています。でも、最近の『地味ブーム』で変化が出てきているような気もします。
> 消費をしない世代になってお金を沢山持ち、貯蓄に回っていく
この高齢者イメージが全く私の実感と異なるのです。貯蓄の取り崩しを過度に行うと将来が不安だから、適度な消費水準に押さえています。使い切れないほど沢山年金や配当や家賃収入があって貯蓄がどんどん増えている人なんてごくごくわずかでは。。。さて、実態はどうでしょう?
結局「若者も年寄りも収入が少ないので消費しない」のですが、「どちらがより可哀想か」という議論になっていませんか。むしろ、パイを大きくすれば、現役に大半が回る訳ですから、その方がよいのではないでしょうか。
>seanjpさん
現役/子育て世代です。
あなた方の世代の言い分は自分勝手すぎる。
はっきり言ってあなた方(世代)にお金があるか、どんな暮らしをしたいとかは他人にとっては「どうでも良い」ことなのです。
問題はそのお金の出所が他人の財布、特に子供や孫のものでありそれを、「人口が高齢化しているのだから」という理由だけで際限なく社会保障費を拡大させていくのはおかしいということです。
>パイを大きくすれば、現役に大半が回る訳ですから、その方がよいのではないでしょうか。
問題はパイを大きくするのにつかわれるべき財源(=将来のための資金)を「今」食いつぶして良いのか、という議論だと思いますが。
人の財布を当てにする前に、身の丈にあった生活を考えるのが大人でないでしょうか。
seanjpさん
格差はありますよ 1分も働いてないのに若者の給与より年金がもらえる人がいること自体が変でしょ?格差はありますよね?じゃあどうすれな良いかがスタートです。
277千円→27万7千円ですよね、そんなに要るんですか!?生活水準が違うんでしょうね・・・
しかも持家でローンは終わっていたりして
ストックの資産も考えれば1億円以上の安定資産を持つ人はかなりの人数になるんじゃないかな?
家賃がなければ月10万もあれば生活できますよね・・・
有り余る時間を趣味に浪費するのに年金で払うべきでしょうか?
最低限の生活を保障するのが年金制度であるべきで5000万現金資産があるなら使い切った後でストック資産も勘案して年金を支給するべきです。15万基本で持家なら10万とか
固定資産は年金支給中は容赦するとかいろいろできるでしょ?
>wataru033さん
反論です
>はっきり言ってあなた方(世代)にお金があるか・・・は他人にとっては「どうでも良い」
山口さんの「日本の金融資産の60%以上が60才以上の世代に保有されている」「金持ちの老人を社会保障費で手厚く優遇し、」との主張に対し、「老後に蓄えているのだから60歳代の金融資産が多くなるのは当然で、金持ちの老人と言うのはこのデータだけで判断できない。」と主張しています。ですから、「どうでも良い」とのお考えは文脈からずれているように思います。
その上で
>問題はそのお金の出所が他人の財布、特に子供や孫のものであり・・・
>人の財布を当てにする前に、身の丈にあった生活を考えるのが大人
wataru033さんのご両親はそろそろ年金受給世代ではないですか?もし年金がなければ親御さんの面倒は誰が見るのですか?それとも十分蓄えがあり年金が無くてもやっていけるのでしょうか?
昔は、子供(長男)が老親の面倒を見ていました。それを社会的に制度化したのが公的年金制度です。親は子供の死亡などのリスク要因が排除され、子供も親の扶養のための経済的負担が軽減されました。特に学齢期の孫がおれば、祖父母に年金収入があることはとてもありがたいことです。つまり、隠居者が「他人の財布、特に子供や孫のもの」に依存するのは昔からのことで、直接扶養するか社会保障制度を介して扶養するかの違いです。
年金制度を廃止すれば、「子供が老親を扶養する」社会に戻らざるを得ないと思います。wataru0033さんの主張される「年老いても後の世代の財布を当てにしないでやっていける社会」といった有史以来の大革命が実現可能でしょうか。感情論抜きに、制度設計と成立条件の検討が必要です。大まかなイメージを示していただけませんでしょうか。
>wataru033さん
反論の続きです
>「人口が高齢化しているのだから」という理由だけで際限なく社会保障費を拡大させていくのはおかしいということです。
私は今の社会保障のままでよいとは一言も言ってません。前のコメントにも述べていますが、過剰な医療費は改善されてきましたし、年金受給額についても、大盤振る舞いからは改善されています。財政上の重要課題として、社会保障費は今後も改善し続けなければいけませんが、「高齢者の雇用機会は極端に少ないし、健康に問題を抱えることも多い」と言うことを共通認識にしないと話しがすれ違うだけです。その上で、具体的な課題を一つずつ潰していく以外に方法は思いつきません。例えば、yonaoshikiさんが指摘されたような腎臓透析の問題が事実とするならば、どのような解決策があるのか検討し合意を得て実行する。等々の具体的な問題解決のプロセスを踏むしかありません。
>問題はパイを大きくするのにつかわれるべき財源(=将来のための資金)を「今」食いつぶして良いのか
国家財政に問題があるのは事実ですが、パイを大きくするのは主として民間の力です。こんな低金利なのに資金需要が乏しいのは残念です。若い現役世代の活躍とリスクテイクに期待しています。
私の言い分は自分勝手でしょうか?再反論をお待ちします。
>zghjkolさん
私へのコメントの趣旨がよく分からないのですが
>277千円→27万7千円ですよね、そんなに要るんですか!?
>家賃がなければ月10万もあれば生活できますよね・・・
生命保険文化センターが行った意識調査によると、夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考える最低日常生活費は平均22.3万円、「ゆとりのための上乗せ額」を合計した「ゆとりある老後生活費」は平均で36.6万円、となっています。最低日常生活費だけでは、親戚の冠婚葬祭にも出ることが出来ないし、地デジ対応も出来ないので、上乗せは必要です。277千円としたのは、30年で1億円という巨額の蓄えが必要と言うことを示すためのラフな金額ですが、当たらずとも遠からず。いずれにせよ10万円では無理です。
>1分も働いてないのに若者の給与より年金がもらえる人がいること自体が変でしょ?
>最低限の生活を保障するのが年金制度であるべきで
年金は生活保護ではありませんし、現在働いているかどうかには関係ありません。年金制度の意味については、wataru033さんへのコメントをご覧ください。
>ストックの資産も考えれば1億円以上の安定資産を持つ人はかなりの人数になるんじゃないかな?
>5000万現金資産があるなら使い切った後で
こんなに蓄えがあるのですか!?サラリーマンの平均年収は600万円を切りました。43年働いたとしても、生涯収入は2億5千万円。その40%に相当する1億円の資産形成が出来ている人がかなりの人数になるとは信じられません。統計データがあれば示してください。