今日、総務省で、平岡総務副大臣が主催する「周波数オークションに関する懇談会」の第5回会合が開催された。第3回から、3回連続して公開ヒアリングが実施されてきたが、今まで意見を表明した団体はオークション反対派ばかりで、今日、やっと賛成派の僕や在日米国商工会議所が発言する機会を得た。
そのためか、懇談会構成員や副大臣・政務官からの質問は、ほとんど全部、僕らに集中した。会合に提出した資料は、近々、総務省のサイトで公開されるので、それを参照してほしい。それに加えて、僕が今日強調したのは次のポイントである。
--発言のポイントはじまり--
オークション反対派は「周波数オークションは落札額が高騰することがあり、通信事業者にとって負担となる。その結果、ネットワークの整備が遅れたり、サービスレベルが低下したり、ひいては利用者の負担増といった悪影響を及ぼす。」と主張している。それには疑問がある。
折しも総務省は、6月14日に『電気通信サービスに係る内外価格差調査』の結果を発表した。これは、東京、ニューヨーク、ロンドン、パリ、デュッセルドルフ、ストックホルム、ソウルの7都市における、通信サービスの価格を調査したものである。それによると、携帯電話(音声およびデータ)で、一般的な利用者にとって東京は「高い水準」であり、ヘビーユーザにとって「最も高い水準」にあるという。
くわしく見ると、東京のヘビーユーザが月に11011円を支払っているのに対して、ニューヨークでは6823円、ロンドンでは4484円で済み、ドイツ・デュッセルドルフですら8335円だそうだ。
なぜ、未だかつてオークションが実施されたことがない、したがって消費者に落札額を転嫁したこともない、日本の利用者が世界で最も高い料金で携帯電話を利用しなければならないのか。逆に、オークションで疲弊しているはずの、米国、英国、ドイツは低料金なのか。オークション反対を唱える通信事業者の主張には無理がある。総務省は携帯電話利用料を引き下げる政策に乗り出すべきだ。
--発言のポイントおわり--
僕は「平岡副大臣は、料金引き下げに乗り出すべきだ」と、あえて副大臣の名前を出した。これは、まさに政治的に判断すべき事項だと思うからだ。反対派が強くてオークションが実施できず、今まで通り、消費者が高い携帯電話利用料を払い続けるとしたら、民主党は消費者ではなく業界を守る政党だ、ということになる。それでは自民党時代と何も変わらない。
山田肇 - 東洋大学経済学部