中国ビジネスをする際の姿勢

小谷 まなぶ

 中国ビジネスについて、今日は、ある会社社長から相談された。『小谷さん、今、中国の委託工場で作っている商品を、中国人の代理商に売らせてみたいのですが・・・』という内容で相談を受けた。


 その社長は、中国の委託工場で、ある商品を製造して、日本に輸出していて日本国内販売している。日本だけでなく、せっかく、中国で作っているのだから、中国で販売してみたいと、考えているということだった。 話の内容を伺って、思ったことがあった。『御社の商品を中国人の代理商にうってもらいたいという考えですが、御社の立場として製造メーカーでもなく、直接クライアントに販売するのでもなく、中間に入ってシステムだけで利益を上げようと考えているとおもうのですが、それだったら、うまく事業を進めるのは難しいと思います。』
 と答えた。
 私は、中国ビジネスの基本をこのように考えている。『私たち日本人は、中国では、外国人です。外国人のオーダーで、中国人が商品を売ってきて、外国人に利益を渡すだけの仕事をするか?といえば、ほぼ不可能だと思う。結局、外国人が、中国で商売するには、2つの立場が成立すると思う。一つは、商品を作るサプライヤーとして存在するか、若しくは、商品の販売先を見つけて(エンドユーザー)、中国の工場に発注する立場になるかの2つの存在になることが条件だと考えている。
 外国人は、中国で商売する上で、中国人から見て、利益をもたらす存在にならない限り、協力はしてもらえないと思うのである。
 私が、中国に来て、長年、商売を続けられているのも、日本の企業からオーダーを取ってきて、作業は、中国の企業、中国のスタッフに依頼して行っているからです。すなわち、私は、中国では、お金を中国人に払う立場の存在として、中国で生きているから、長年生きていけると思うのです。
 
 結構、中国で起業をしようとして、失敗する例は、『良い中国人の友達が居て、自分のビジネスを手伝ってくれる。日本のビジネスの考え方を生かせば、商売になる。』と日本の考え方の押し付けと、他力本願的ビジネスになりがちな方は、中国では成功が難しいと思う。
 中国人が、日本人に対して、中国国内ビジネスで利益を上げてくれる仕事してもらおうと思っても、ほぼ不可能である。

 忘れてはならないことは、あくまでも、私たちは、所詮外国人、この国では、完全に『外様』であるということを忘れてはならないのです。
 
 
 結局、日本人は、海外に出てきて、自分が外国に居れば、優遇されているように思い、自分自身を見失うケースが多い。
 中国で、商売していると、中国人の商売人にのせられるケースもよく聞く。『○○さん、中国で商売やったら儲かるから、うちの会社に投資してみて、一緒にビジネスやろう、儲かったら、分けるから・・』と言って、投資したが、結論として、儲かる部分は、投資した日本人側に利益が廻ってこないケースが多く見る。
 理由は、中国人が、集めてきた利益を、日本人に渡すビジネスモデルが成立することが難しいということである。
 私は、思うに、この街で、外国人である貴方が、商売を続けたいなら、お客さんを自分の手で掴んで、中国人の協力者に発注する立場、お金を払う立場として、存在すれば、長くこの街で商売を続けられるということです。
 何れにしろ、友人の中国人が、貴方(日本人)の為になって働いてくれることは、難しいと思ったほうが良い。
 他力本願ではなく、自分の力で仕事を見つけてきて、仕事を依頼する立場になることが、ビジネスを継続するための基本になると思う。

■小谷まなぶの中国ビジネス奮闘記(オフィシャルブログ)