司令塔不在

小幡 績

野田政権は6年継続すると思っている。

2年間解散はしない。

そうなると、野党は苦しく、自民党は、今回、菅から野田という移行をスムースにさせてしまったことに対する非難から混乱し、自滅する可能性がある。

そうなると、2年後の衆参選挙でも民主党はそれなりに過半数を維持し、政権は交代しないのではないか。

そうなると、野田首相の功績だ、ということになり、その後4年継続する。

6年後には、野田氏は60歳。後任に譲る。

後任は50歳。

二匹目のどじょうだ。

***

長期政権を見据えると、政策決定の仕組みの構築をしっかりと行う必要がある。

現状は、いきなり問題多数噴出だ。

円高是正の協調介入要請と「たばこ」だ。

司令塔が必要だ。


G7で財務大臣は、円高協調介入を要請するという。

日本メディアへのリップサービスでなく、本気でG7でそう要請するのなら、今後、彼の在任中には、彼は誰からも相手にされなくなるだろう。

日本経済は停滞中だが、それはずっとそうなのであり、今の喫緊の課題は、欧州だ。米国も悲鳴を上げ始めたが、とりあえず欧州。次に米国だ。

そのときに、欧米が日本を助ける?

そんなことはありえない。

せめて、スイスがやっているんだから、日本も独自にある程度急激な円高防止はさせてくれ、独自に動くことは黙認してほしい、急激な投機的な動きに対してだけやるから。

その程度だ。

しかも、G7の文言に織り込もうものなら、ブラジルなど不満を持っている国に格好の材料。欧米はブラジル通貨高のほうが望ましいから、日本は本当に迷惑な国になる。

まあ、何より相手にされないだろうから、このシナリオは議論しても意味がない。

もう1つは、たばこ。国内問題だから、これは重要だ。

なぜなら、大臣たちが好き勝手に動けるからである。

なぜ最悪か。

安住大臣は復興財源確保のために、JTの株式売却を検討と述べた。

一方で、小宮山厚生労働大臣は1箱700円と言った。

小宮山発言でJT株を暴落させてから、保有している株式を売却するというプランだ。

普通は、売却してから、とことん売却してから、700円に値上げする。

売却で株式を買った人々にはたまらないが、そのリスクは事前には認知されていたこと。自己責任だ。

一事が万事。

6年政権が続くなら、挙党一致、政局にさせない、という最優先課題から、やっと政策の個別の検討が重要になってくる。

だからこそ、うまくやらないといけない。

それには政局の司令塔確立(野田)に続き、政策の司令塔の存在が必要だ。

党の政調ではうまく行かないだろう。

別のものが必要だ。