今世紀、日本は一体何で食って行くのであろう?
モノ(貿易)から金(所得収支)へ転換する事は確実である。従って、日本経済に就いて考える時も貿易から投資への意識転換が何より重要となる。
TPPを議論するにしても、関税が高い低い等余り意味のない事なのである。重要なのは投資関連の規則や法律を一元化する事。それから、紛争処理に就いてもである。
翻って、国内では電波帯域の有効利用がキーになりそうな気がする。帯域毎の生産性を可能な限り高める事により、関連ビジネスが活況となり、結果、経済の成長を達成するのである。
その意味、総務省が政策仕訳の提言に従わずオークションを先送りし、来年の900MHz帯の割り当てを裁量で決めると宣告した事は時代に逆行した暴挙であり、野田首相は川端総務相を更迭すべきと説明済みである。
日本がもたもたしているのを横目に、アメリカは何とオークションを飛び越えて企業間での電波帯域の取引が活発になりそうな様相である。ベライゾン、ケーブルTV事業者の未利用周波数帯を36億ドルで獲得へは成立すれば画期的なデイールになると思う。
使い熟せず持て余されている電波帯域が、欲しくてしょうがない、有効利用確実な企業に引き取られる訳である。帯域毎生産性が飛躍的に向上するはずである。
さて、日本に於いてはどうであろう?
政治主導が必要であるが、やり様によっては可能と考える。
KDDIがケーブルテレビ最大手のJ:COMを買収したのは偶然かもしれないが上手い布石であった。
具体的には、子会社UQコムがWiMAXサービスの為に使っている2595MHz~2625MHz左隣の地域WiMAXサービス様の帯域とガードバンド5MHzを買収し現在の30MHzを45MHzに拡大し、サービスの多様化と顧客拡大を図るのである。
地域WiMAXサービスに就いては、地域サービスの名目で割当てられたはずであるが有効に活用され成功しているという話を聞いた事がない。多分、埃を被って放置されていると思う。
現行システムでは地域WiMAXサービス用として割り当てを受けた業者は、事業が巧く行かなければ電波帯域を総務省に返上し、総務省は再び省益ありきで帯域の生産性を無視して割当てを行い結果堂々巡りとなる。
従って、電波行政喫緊の課題は下記と考える。
1.一日も早い電波帯域オークションの実施
2.割当てを受けた業者間での取引を可能とする事
2、に就いては割当てを受けた経緯であるとか公益性とか検討すべき課題はあると思う。しかしながらアメリカで出来ている取引が日本で出来ないとは思えない。監督官庁である総務省が関与出来ず省益が脅かされると忌避しているだけの話ではないだろうか?
山口巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役