電波部は、ソフトバンクモバイルに900MHz帯の免許を与えることを、昨日決定した。同日開催された電波監理審議会からの、原案を適当とする旨の答申を受けた結果である。ITmediaは「1GHz帯以下のプラチナバンドを持たないイーアクセスとの競り合いになり、ひっ迫度合で勝ったソフトバンクモバイルに軍配が上がった」と報じている。各紙ほぼ共通した評価である。
電波部の決定を受けて、イーアクセスは同日「携帯電話事業者4社のうち、プラチナバンドの割当てがない事業者は、最後発である当社のみの状況となりました」とした上で、「総務省殿における700MHz 帯の認定においても、900MHz 帯の審査を踏襲し、事業者間における周波数のイコールフッティング確保を図っていただくことを要望します」とのコメントを公表した。
要するに「900は貸したから、700で返してくださいね」というわけだ。ドコモとAUも700では免許が得られると待っているに違いない。なにせ700は三者に割り当てると電波部が方針を発表したからだ。こうして、電波部と業界の貸し借りは永遠に続いていく。
今回の比較審査では、競願時審査基準について点数評価が行われ、その合計が9点ともっとも高かったソフトバンクが勝ち、イーアクセスは8点で次点に泣いた。一方で絶対審査基準(満すべき最低限の基準)については、すべての項目で差がなかった。過去の比較審査では、たとえば設備投資額の多寡などについて細かく評価していたのだが、今回は行われなかった。
そうであるならば、絶対審査基準について詳細な書類を求める必要はなかったことになる。いや、比較審査自体不要だったのだ。「電波がひっ迫しているソフトバンクモバイルに免許を与える」の一言で済んだのだ。競願時審査基準なるものを掲げ公正に審査したかのように見せる、電波部による「アリバイ作り」が今回の比較審査である。
山田肇 -東洋大学経済学部-