山田先生のアゴラ記事、900MHz帯事業者選定はアリバイ作りに過ぎなかったを拝読。総務省がこんな恣意的な電波帯域の割当てを何時までも続けていては、あちこちで電波帯域の墓場が出来るのではと危惧する。
差し迫った例として、来月1日にサービスを開始する「NOTTV」を参照する。同じく、山田先生のこの記事を読む限り、どうも生まれる前から失敗が確実な様である。
事業を立ち上げて2年もすれば、事業者には前途の光明がない事は自明となる。赤字が膨らみ、出向者はやる気を喪失する事になる。しかしながら、総務省は失敗の顕在化を忌避し事業継続を強要するであろうから、当然後は阿鼻叫喚の事態しかない。
専用端末を制作する、奇特なメーカーがあるものだと資料を調べたら、何と対応機種は「AQUOS PHONE SH-06D」との事なので、昨日記事にした、一本足打法のシャープが担当する様である。
来期も大赤字の予測であるが、本件参入で更に赤字を膨らます事は確実である。つくづく、一本足打法に取りつかれた会社と驚嘆する。
国民に取っての不幸は、「プラチナ帯域」と言われる、アナログテレビ放送終了後の空き周波数帯域の一部(207.5MHz~222MH)が国民が拘わる事のない「墓場」になってしまう事である。
本来、民間企業に過ぎない地上波の伝送路整備に国費を投入するに就いては、異論もあったと記憶している。総務省は不要となる「アナログ帯域」の有効活用のメリットを訴え、中央突破に成功した筈であるが、これでは話が違い過ぎる。
同様の、携帯端末に向けての有料放送を行うサービスとしては、東芝が2004年10月にサービスを開始し、2009年にすべてのサービスを終了した「モバイル放送」が記憶に新しい。
Sバンド、2630MHz~2655MHzの25MHzを使ってサービスをしていた筈であるが、現在この帯域はどうなってしまったのであろうか?
きっと、「墓場」になっていると思う。
最後は、地域WiMAXを参照して記事を終える。
総務省の意気込みとは裏腹に、成功例は言うまでもなく、何か動きがあったという具体的な話を聞いた事がない。これも、「墓場」になっているのではないか?
●WiMAXが使用する帯域
結果論との批判を恐れず言えば、ウイルコムは後日経営破綻した訳でもあり、2545MHz~2625MHzの80MHzを小口に分割せず、一塊でオークションにかけるべきであったと思う。
オークションに依る巨額の歳入が期待出来、80MHzをフルに活用する事で、キャリアーとして、冗長性とサービス設計をする上で、柔軟性が確保出来たと思うからである。
電波帯域は極めて貴重な国民の共有財産である。
就いては、監査法人が企業の監査を行い、不適切な経理処理の指摘と是正勧告を行う様に、野田政権は専門家を招集した上で、チームを結成し、電波帯域使用状況の監査を実行してはどうだろうか?
山口巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役