一年経っても被災地のがれき処理が進まず、野田内閣の能力を疑わせる状況のなか、ようやく国が受け入れ自治体に財政支援を行い、瓦礫処理を進めるという野田総理の発言がありました。それにしても遅い。全国での分散処理が進まなかったために、まだ5%程度しか処分できていないといいます。
この問題は、内閣のみならず地方の首長の政治の政治手腕が求められる問題であるばかりか、日本が乗り越えなければならない問題で、住民エゴで被災地を見捨てたという最悪の結果はなんとしても避けなければなりません。
もっと早くやってもらいたかった世論調査ですが、ようやく読売新聞やNNNの世論調査結果が報道されています。まず読売新聞が2月25日~26日に行った調査では、自分が住む都道府県で引き受けるべきだと思うかについては、岩手、宮城、福島3県以外で聞くと、「政府が人体に影響がないとする範囲の放射線量であれば引き受けるべきだ」が75%を占め、「人体に影響がないとする範囲内の放射線量でも引き受けるべきではない」は16%という結果です。
NNNの調査結果では、自分が住む自治体で受け入れることに「賛成」は69.4%、「反対」は20.9%。「反対」と答えた人の理由は「放射性物質への不安を感じるから」が60.7%、「行政機関の情報が信じられないから」が20.8%、「現地周辺での処理が原則」が11.6%などとなっています。
やはり一般市民は、がれき処理を地元で受け入れに賛成し、被災地を支援したいと考えている人が多く、ほっとする結果です。これらの調査が物語るように受け入れ反対をしている人は少数です。しかしこれまでの報道で、受け入れを表明した神奈川県での黒岩知事が開催した説明会の様子を見ると反対一色の印象がありましたが、それはメディア報道の危険性ともいえます。集まった人びとにも偏りがあったのでしょう。
思い出すのは昨年の京都の大文字焼きの際、被災地の薪の受け入れを一部の地元住民が反対し、中止されたことです。そのときもほとんどの住民は反対ではなく、声の大きな少数派に従わざるをえなかったわけですが、京都人は身勝手だと非難され、イメージを落としてしまった出来事もありました。
反対だという人をもっと分析しなければなりませんが、なんとなく不安だという人びと、放射線の恐怖を煽られもはやカルト集団化したのかと思わせる人びとだけでなく、こういった問題で党派のシンパを広げるために潜り込み、市民を装って煽っている人たちもいます。
放射線被爆を根拠なく恐れる人びともある意味では被害者かもしれません。政府対応のまずさ、マスコミによる放射線被爆への過剰な報道、低線量被ばくの影響を喧伝するタレント学者を一方的に発現させるなどの無責任さもありました。さらにフリージャーナリストのなかにも、デマを流した人たちがいたことも影響しているかもしれません。それは結果として、フリージャーナリストの存在感や信頼性を弱めることになってしまいましたが。
いくらていねいに説明しても、マインドコントロールにはまってしまった人びとはそれを解かない限り反対しつづけます。知り合いでも、はまってしまった人がいますがツイッターのつぶやきを見るともう病的で気の毒なほどです。政治集団は、恐怖を煽り、反対することが目的なので、理解を得ることはありえません。
石原都知事のように、少数派だから「黙れ」と一喝するのもどうかとは思いますが、丁寧に説明して、粛々とがれき処理を進める能力が試されます。自治体ごとに住民に賛否を問うアンケートを行なってみるのも一手だと思います。
カンパだけでなく、被災地が困っているがれき処理を受け入れてこその支援であり、絆であるはずです。
しかし、地方自治体に対するアンケートでは、放射性物質への懸念や住民の反発を恐れ、がれき受け入れには86%が難色を示しています。結局はもめごとを恐れたことなかれ主義を感じさせます。
河北新報 東北のニュース/全国自治体調査 がれき受け入れ86%難色 放射性物質懸念 :
地方も、いつまでも国におんぶにだっこで指示を待つのではなく、自ら行動し、国を逆リードするぐらいでないと、日本は救われません。それこそ、かつて湾岸戦争で言われた「ショウ・ザ・フラッグ」だと思います。