朝日新聞が伝える所では、企業誘致、実らぬ高額補助 10年内の撤退・縮小23件との事である。
市場主義経済の鉄則は「優勝劣敗」であり、当初の目論みが外れた場合、進出企業が素早く「損切」を決断し、事業の撤退や縮小を決断する事は極めて当然の行為である。
それでは、一体問題は何処にあるのであろうか?
地方行政が、アジア各都市との競合に晒されていると言う自覚の不在と考える。
無理もないだろう。戦後ずっと競合どころか「公務員天国」と言う、ぬるま湯に浸かり続けて来た訳であるから。
日本の製造業は、言うまでもなく、中国や中国に雁行する新興産業国内で台頭する若い企業との競合に晒されている。
従って、生き残りを望むのであれば、より廉価な労働力、コスパに優れた行政サービス、透明性の高い法体系を求め、中国、ベトナム、ミャンマーと言った所に積極的に移転しなければならない。
最早、待ったなしの状況と思う。
日本の地方行政がこの様な「競合」を理解せず、旧態依然、所詮お役所仕事で質が低い割に高価な行政サービスを継続したり、「法」を盾に意味不明な「規制」に無頓着であれば、製造業はさっさと見切りを付けて海外に移転するのは当然である。
極めて残念ではあるが、地方行政に左程の危機感があるとは思えず、この動きは今後一気に加速すると推測する。
企業が出て行けば、当然の事であるが、従業員も一緒に移動する。
後に残されるものは何であろうか?
公務員、高齢の年金受給者、生活保護を受給する失業者と言った「税」に寄生する人々ではないか?そして、問題は「税」を負担する存在の不在である。
今後、国内間であれ、海外との間であれ、「企業誘致」を求めての都市間競合の激化は必至であり、敗北は即、地方都市の「夕張化」を意味すると思う。
山口巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役