小沢一郎判決、今後はどうなるだろうか --- 岡本 裕明

アゴラ編集部

小沢一郎関連のトピは多くの評論家、ブロガーやメルマガライターが取り上げるでしょうし、メディア等でも散々書かれているのですが、やはり私としても思うことを一言書かないわけにはいきませんのであえてこのトピを取り上げさせてもらいます。

あの判決に至った内容については十分過ぎるほど伝わっていると思いますので今後について考えてみたいと思います。


私は根本的に小沢氏が今回無罪となったことで本件から放免されたわけではないと考えております。(もちろん、控訴の可能性も残っています。)取り巻きの議員らは別の意味での喜びがあったと思いますが、数年間にわたり日本の政治が滞留し、不信感が募る原因の一つであったことは言うまでもありません。裁判というプロセスの間、小沢氏も裁判対策に裂かねばならぬ物理的、精神的な時間が必要だったはずで政治家という職業が十分にまっとうできたかどうかという点、また混乱をきたした道義的責任は依然残っています。

小沢派の人からすればよかったと思われますが、この微妙な一件でどれだけ世の中が振り回されたかということを考えれば小沢氏がフリーハンドで元気を取り戻されても国民一般はやや困惑するのではないしょうか。

政局と消費税の流れを予想することはあまり好ましくありませんが、野田政権にとっては厳しい対応が待ち構えているなかである程度のシナリオは必要です。もともと民主党内不一致の状況の中、小沢氏グループは不利な状況から一転して元気を取り戻すことになったわけで少なくとも小沢グループは短期的には元気になるはずです。とすれば党内の亀裂はより進行することになり、党の存在意義すら疑わしくなるのです。

政治家がゲームを楽しむとすれば当然ながら自分の地位の保全。そして出来れば与党に所属したいわけです。小沢派は党幹部からは降りていますからこのままずるずると党内にいても面白いことは起きないでしょう。とするならばどうやったら再起できるかそのタイミングを計ることになります。

ところで消費税は野田首相の政治生命がかかっているわけですから今の雰囲気からすれば自民党と手を組み、通すのがもっともシュアな方法。そしてそれと引き換えに解散となれば小沢グループの民主党内からの離脱の可能性はありえるストーリーです。その選挙の結果、誰が与党になるか、これが正直読みづらいところです。橋下さんのグループは解散総選挙が早い時期になれば国政に打って出るのは間に合わないとされていますので野田さんはその辺をしたたかに計算しているでしょう。ただし、民主も自民も不人気な党であることから解散後の政党選びは消極的選択になるような気がいたします。

いづれにせよ、小沢一郎氏がこのまま民主党に留まることは民主党の問題だけでなく日本の政治そのものの停滞感を強く出すことになります。ですので野田政権が短期的目標をしっかり見据え、ブレのない施策を打ち出し、最終的に解散をした方がかえって日本にはよい結果をもたらすような気がいたします。

政治の話は個人の主義主張、感情が入りやすいのであまり積極的に書きたいネタではありませんが、日本の政治不信はその極みであり、世界の中のニッポンという位置づけで捉えた場合、日本が何処に向かうのか、その方向性を指し示すことが最重要課題であると確信しております。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2012年4月27日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。