今日、東京スカイツリーが開業した。報道で大きく取り上げられているが、内容は東京を一望できる展望台やショッピング・レストランに限られている。そんな中、時事通信は「世界一の電波塔」と題したニュースを配信した。
そうだ。スカイツリーの本来の目的は電波塔だったはずだ。しかし、地上デジタル放送用としての価値は実はない。ずいぶん前に山口巌さんが指摘しているのだが、気付いている人が少ない(大学の講義で言及したら学生が驚いていた)ので、改めて説明する。
関東圏ではアナログは2011年7月24日に停止した。現在は、東京タワーからデジタル送信しているが、ちゃんとエリアはカバーされている。スカイツリーへの移行は2013年の予定で、その後も東京タワーは予備電波塔として維持するという。地上デジタル放送用の電波は東京タワーから出せば十分ということなら、新たに電波塔を建設する必要はなかったのである。
だから、観光塔としてスカイツリーを取り上げる報道は正しいのだ。時事通信の記事によれば、1年目に約540万人の入場者を見込んでいるとのことなので、総事業費約650億円も直ぐに回収できるだろう。東武鉄道の観光ビジネスは成功しそうだ。
山田肇 - 東洋大学経済学部 -