産経新聞の伝える所では、飯田哲也氏、山口県知事選出馬へ 橋下氏「脱原発」ブレーンとの事である。
大阪府市特別顧問で橋下徹大阪市長らの「脱原発依存」路線のブレーンでもあるNPO法人「環境エネルギー政策研究所」所長、飯田哲也(てつなり)氏(53)が、任期満了に伴う7月の山口県知事選に出馬する意向を固めたことが分かった。
「脱原発」や、「再生可能エネルギー」バブルが去った今となっては、橋下氏に取って飯田氏はバブルに伴う「不良債権」に過ぎず、事態が重篤化する前にさっさと処理してしまうと言う事であると理解する。
ビールに泡がつき物の様に、「バブル」に「不良債権」は何時でも付いて回る。迅速に処理すると言うのは賢明な判断と評価したい。
それを裏付けるのが下記コメントである。
大阪維新の会代表でもある橋下氏は10日、飯田氏への応援について「維新が山口県知事選に関与するのは難しい。それこそ選挙屋になってしまい、国民は一気に離れていく」と述べ、関与しない考えを示した。
飯田氏の人物や政策が大阪維新の会の綱領に合致していれば応援して何ら問題ない、いや、寧ろ応援しないのが可笑しい筈である。
橋下氏が煽った、「脱原発」や、「再生可能エネルギー」バブルは終焉に向かいそうであるが、今朝の朝日新聞が伝える所では、次期衆議院選挙に向かい、新たなバブル創出に動いている様である。維新塾、国政候補に915人 受講者2千人から絞り込みとの話である。
大阪維新の会(代表・橋下徹大阪市長)は11日、次の衆院選候補者を養成する維新政治塾の受講者約2千人のうち、915人を塾生候補に選んだことを明らかにした。第2期の入塾式は23日に大阪市であり、石原慎太郎東京都知事が講演する予定。
915人の塾生候補を選出との事であるが、塾生候補はそっくりそのまま大阪維新の会が公認する次期衆院選候補者と言う事である。泡沫候補ばかりではないかと心配になる。
石原都知事関与の背景は不明であるが、余り先に時間がある訳では無いので、最後の花火の打ち上げ場所を探しているのではと推測する。「尖閣」の買い取りだけで国民は既に充分迷惑している訳であるが。
下記を読む限り、大阪維新の会としては、選挙資金は全く面倒を見ないので自前で調達しろと言う事の様である。
事前アンケートで「選挙資金がない」と回答した人は全員落選したという。
大阪維新の会として「看板」を貸してやるから、自分で資金を調達して選挙を勝手に戦えと言う事である。成程、これなら、厄介な「政治と金」の問題とは無縁である。しかしながら、これで選挙に勝てるかと言えば大いに疑問である。
制度設計が、橋下バブルが今後も続くと言う仮説の下になされているからである。
橋下氏は国民の耳目を集める事に長けた政治家である。マスコミも、次から次へと「ネタ」を提供してくれる恩人でもあり、今の所、批判には動いていない。しかしながら、政治家として調子の良い話ばかりで実態が伴わなければ、それこそ、「国民は一気に離れていく」。
三日前のアゴラ記事、橋下バブルの終焉に対し、読者依り下記コメントを頂戴した。実は同様の内容を関西在住の企業経営者の方から複数戴いている。
このままでは関西に工場を置けない、在庫を積み増しして納期に対応するが長期間の計画停電には対応出来無いという声を聞きます。現在、大阪の完全失業率は5.1%、失業者の半数が世帯主、求職活動を「この1カ月全くしなかった」失業者の割合は全国平均より8ポイント高く31%で、求職期間が1年以上の失業者が全体の約4割を占めています。就業者の特徴では、非正規労働者の割合が43%で全国を8ポイント上回り、転職希望者も7ポイント上回17%でした。実は、橋下さんが大阪府知事の時2010年に完全失業率は7%と高水準でしたが、この状況を続けてゆくと10%に極めて近くなると思います。
停電に備え、背に腹は代えられず、在庫を積み増しているのであろうが、当然の事ながら「保管料」や「在庫金利」と言った本来余分の経費がかかり、製造業の企業収益を圧迫する。結果、法人税の納税額が減少する。短期的にはこれで遣り繰りしても、中長期的には「廃業」か「海外移転」の道を選択する筈である。
国民が橋下氏に期待したものは、公務員改革を基軸とした行政改革に依る「コンパクト」で「効率の良い」行政組織の実現と共に、地場産業を活性化させ、失業問題を解決する事であった筈である。
しかしながら、人口に膾炙した話で「橋下バブル」を拡大させ、大阪で重篤化した「不況」と「失業」を全国に拡散すると言われても、首を縦に振る国民は少ない。
橋下氏が求められているのは、これ以上の橋下バブルの拡散ではなく、大阪での目に見える実績である。
山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役