国会はネット文化を再び否定した

山田 肇

著作権法改正案が6月20日の参議院本会議で可決され、成立した。いろいろな形で反対運動してきたが実らなかったのは残念だ。一方、日本レコード協会は歓迎の声明をさっそく発表した。声明には「43.6億ファイルもの音楽や映像が動画共有サイトやP2Pファイル共有ソフト等を介して、不正にダウンロードされている」とある。この推計には多くの疑問があるが、正しいと受け入れると、国民は一人平均36ファイルをダウンロードしている計算になる。30以上とは悪質と言わざるを得ないが、そうなれば全国民が刑事罰の対象だ。捜査機関は全国民を拘束する非常に強い力を得た。


国会も恐れ、「著作権法の運用に当たっては、犯罪構成要件に該当しない者が不当な不利益を被らないようにすることが肝要であり、……警察の捜査権の濫用や、インターネットを利用した行為の不当な制限につながらないよう配慮すること」との付帯決議が付いた。しかし、付帯決議は付帯決議に過ぎない。こうして国会はネット文化を再び否定した。

2009年に、僕らはネット選挙を求めて運動した。与野党合意の寸前に鳩山首相が辞任し国会は混乱し、公職選挙法は改正されなかった。今、「One Voiceキャンペーン」実行委員会が頑張っているが、成立するかまだわからない。なにしろ国会はネットが大嫌いだから。もはや、僕らには海賊党を作る道しかないのかもしれませんね。

山田肇 -東洋大学経済学部-