3日の産経電子版に「マニフェストの表紙を飾ったのは私だ」と、鳩山氏が野田首相を批判したと言う記事が出たが、私はわが目を疑った。
記事を其の侭引用すると :
「民主党の鳩山由紀夫元首相は3日午前、消費税増税をめぐり民主党が分裂したことについて平成21年の衆院選マニフェストの表紙を飾ったのは(代表だった)私だ。その私が『消費税増税はやらない』と宣言し、政権交代が実現できたのはまぎれもない歴史的事実だ。その政策は今でも間違っていない」と述べ、消費税増税を進める野田佳彦首相を批判した。」
とある。
21世紀臨調が「守られない公約」に代わり、具体的で、実行工程も明示したマニフェストを各党に要請し、碌に考えもせずに民主党が作成したのが「政権交代」と言う表題で発表したマニフェストで、その表紙を飾ったのが鳩山氏だ(民主党の政権政策manifesto2009参照)。
「5原則」、「5策」に分かれた「鳩山政権の政権構想」は、工程表付きの13頁に及ぶドキュメントで、その筆頭項目には「国の予算207兆円を全面組組み替え。税金のムダ使いと天下りを根絶します。議員の世襲と企業献金は禁止し、衆院定数を80削減します。」とある。
ちなみに、このマニフェストには55の具体的な約束が書かれているが、「消費税増税はやらない」とは一言も書いてない。
鳩山政権のマニフェスト違反一号は、マニフェストの「政策実行手順」の筆頭に書かれた「家計で使えるお金を増やし、生活不安を解消します」と言う約束で、「税金のムダ使い」をやめて見つかる筈であった「平成25年度のばら撒き所要額16.2兆円」が見つからず、これが実行出来なくなったことだ。
それだけはない、地域を再生させる政策で「揮発油税」等の暫定税率を廃止して、2.5兆円の減税を約束していたが、官邸に乗り込んだ小沢幹事長の圧力を抵抗もなく受け入れて、減税の約束を取り消してしまった。
この様に、鳩山氏が「政策は今でも間違っていない」と強弁しても、約束を反故にしたり、実現出来なかった以上、「絵に描いた、餅」、もっと解り易く言うと「大嘘」と言う。
自分の写真が「虚偽資料」の表紙を飾ったとすれば、普通は恥ずかしくて触れないものだ。恥じるどころか、誇りにする当たりは、流石「鳩山尊師」だけの事はある。鳩山氏に対抗できる無神経振りは、「麻原彰晃尊師」位のものであろう。
鳩山氏は「私が『消費税増税はやらない』と宣言し、政権交代が実現できたのはまぎれもない歴史的事実だ。その政策は今でも間違っていない」と豪語されたそうだが、国民から見れば「貴方の大嘘に国民が騙されたのは、まぎれもない歴史的事実」だと言いいたくなる。
鳩山発言の支離滅裂具合は、以前「香山りか先生に鳩山氏の診断をお願い」したブログでも書いたが、こんなものがあった。
「世襲が日本の政治をゆがめてきた。世襲の私が言うのだから間違いない。」
「トップの首相が大馬鹿者であれば、そんな国がもつわけがない」
「日本という国が日本人だけの為にあるものだとは思っていない」
「在日の方が日本の総理大臣になられたとしたら、それは大変素晴らしい」
「韓国ドラマを見て勉強し、改革に取り組みたい」
「地球から見れば、人間が居なくなるのが一番優しい自然に戻るんだという思いも分かる」
「恵まれた家庭に育ったものだから、自分自身の資産管理が極めてずさんだった」(17億円以上の、脱税を問われて)
「国というモノがなんだか良く分らないのです」
「確かに私は愚かな首相かもしれない」
国民は、マニフェストに期待して投票したのであって、鳩山氏の『消費税増税はやらない』という宣言を信じて投票したのではない。若し、鳩山氏を信じて投票した人がいるとすれば「北海道9区」の選挙民位であろう。
国民の大多数が鳩山氏を首相に頂いた不明を恥じている今、この恥を過去のものにする為にも、次回選挙での「北海道9区」の選挙民の良識に期待するしかない。