朝日新聞が伝える所では、官邸前「再稼働反対」の波 雨の中、坂本龍一さんも参加との事である。
午後6時、小雨の天気にもかかわらず、霞が関から官邸前へと続く歩道を、続々と市民らが埋めていった。「首相は声を聞け」「再稼働反対」。年齢も職業もさまざま人たちがマイクを手に官邸に向かって訴えた。作曲家の坂本龍一さん(60)も駆けつけ、「あきらめずに頑張りましょう」と呼びかけた。
決して揶揄する訳ではないが、官邸前がイスラム教徒に取ってのメッカにも似た、反原発を主張する国民の「聖地」になって来た様である。
私は秩序だって行われるデモは、憲法に依って保障される「表現の自由」に該当し、許容されてしかるべきであると考えている。そして、どちらかと言えば政治的に無関心な市民が「声」を発する事は、好ましい事と好意的に捉えている。
しかしながら、「原発」や「電力行政」を考える事無く、ムードに流されて一箇所に大量の人間が集まれば交通の渋滞になる等、社会的混乱を招くだけの迷惑行為に過ぎない。
国会事故調報告書の、せめて要約版位はきちんと読み、「福島原発事故とは結局何だったのか?」自分なりの考えを持つべきと思うのである。
能天気にデモに参加している人間は知らないのであろうが、報告書の英訳判は同時に公開されており、世界で福島原発事故に興味を持つ知識人が既に読んでいるのである。
ちなみに、世界に大きな影響を与えるBBCはJapan panel: Fukushima nuclear disaster ‘man-made’と報じている。
The crisis at the Fukushima nuclear plant was “a profoundly man-made disaster”, a Japanese parliamentary panel has said in a report.
日本の国会、事故調の報告書に依れば福島原発災害は全くの「人災」である。
The disaster “could and should have been foreseen and prevented” and its effects “mitigated by a more effective human response”, it said.
そして、災害は予見可能であり、且つ、予防されるべきものであった。関係者がより効果的に対応すれば被害は少なかった。
The report catalogued serious deficiencies in both the government and plant operator Tepco’s response.
報告書は日本政府並びに東京電力の重篤極まりない無能を列挙している。
It also highlighted communication failures between Tepco and the office of then Prime Minister Naoto Kan, whose visit to the site in the immediate aftermath of the earthquake “diverted” staff.
菅直人首相率いる官邸と東京電力間の意思疎通の問題に就いても特記している。地震直後の菅氏の福島原発訪問は現場を混乱に陥れた。
自動車事故に例えて説明すれば判り易いかも知れない。事故の原因は決して自動車の構造的欠陥にあるのではなく、「整備士に依る整備不良」、「整備結果を確認する監督官庁の無能と怠惰」に依るものであり、「事故対応の不手際」が被害を甚大にしたと言う認識なのである。
山口巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役