Googleに一体何が起こっているのか?

山口 巌

NHKが伝える所では、グーグル ケーブルテレビに参入との事である。

大手IT企業、グーグルは、26日、アメリカの一部の地域に高速の光ファイバー網をみずから整備して、映像を配信するケーブルテレビ事業に参入すると発表し、既存の大手メディアとの競争の行方が注目されます。

Googleは4~6月期決算も相変わらずの増収増益であり、事業資金の調達に苦労するとは思えない。技術的にも伝送路を従来のHFCモデルから光ファイバーに転換するだけの話であり、今後同社がチャレンジすべき何かがあるとも思えない。きっと、Googleは安々と成功するに違いない。

疑問は、何故? 今の時期に? レガシーサービスであるケーブルテレビ事業に参入するのか? と言う点である。

伏線はあった。今月16日に発表されたグーグルの女性エンジニア、マリッサ・メイヤー氏が、米ヤフーの最高経営責任者に就任するというニュースである。メイヤー氏は大変な資産家と聞いているので金の為で無い事は確かである。

エンジニアとして、これ迄の様に、「世界」と「時代」に真価を問うチャレンジが今後は難しくなると考えたのではないか?

この前提として、米英メディアが報道 する、Googleと欧州委の和解が間違いなくあると考えている。

米Googleに対して欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)が進めている欧州競争法違反容疑の調査を巡り、両者が近く和解する見通しだと複数の米英メディアが現地時間2012年7月24日に報じている。これにより、Googleは長引く係争と巨額の制裁金を回避できる可能性が高まった

この和解に依り、Googleは長引く係争と巨額の制裁金を回避する代償として、検索サービスに於ける「独占」と言う特権を手放す事になるのではないか?Googleの自在の動きも見納めになるのかも知れない。

Googleの関与するIT事業領域で、今後とてつも無い大きな変化が生じるのではないか?

日本のIT企業に取って大きなビジネスチャンスが転がり込む可能性もあるだろう。

雇用問題の重篤化が確実な日本であれば、政府も傍観して良い話ではない。「企業」、「政府」共に、部分的、形而下的話に浮かれるのではなく、背後にある本質を洞察した上で、「戦略」を立案する必要があると思う。

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役