先日ある読み物をしていて韓国大統領による竹島訪問は中国、ロシアをバックにした連鎖的流れといった内容のものを目にしました。なるほど、メドベージェフ首相は北方領土に二度も、そして中国は尖閣に対して激しい主張をしている中で韓国がそれに同調したとしたらストーリーとしてはスムーズです。三国間で話があったかどうかは別として中国、韓国、ロシアによる日本イジメは確かにあるかもしれません。
一方、アメリカは安保条約に基づく内容については日本の側についてくれていますが、韓国と日本の問題については余り口を挟みたくない状況かと思います。
ところでシリアのアサド政権を巡っては国連決議に関して中国、ロシアの反対で機能しない国連の汚名をまたしても見せつけてしまいました。こうなると大国が如何に自陣を増やすかというオセロゲームをするような状況になってきているといっても過言ではありません。
この陣取りゲームは昔なら武力なりの力でねじ伏せたものですが、いまやそう簡単に戦争が出来る世の中ではないため、知力の勝負となっています。中国とロシアが手を結びやすい状況は双方が持つ資源と人口、国土、国防能力などをもってアメリカに対抗するためだと思います。シリア問題、イラン問題はまさに大国間のぶつかり合いの場と化しているといってもよいでしょう。
ではアメリカの戦略は何かといえば私は中国とロシアに対する経済的締め付けだと思います。特にロシアに対してはシェールガス革命を通じたガス価格のコントロールを通じたロシア経済へのダメージ、また、対中国の経済問題も折に触れて提起することで一定水準の距離感を維持しパワーコントロールする戦略ではないかと思います。
ただ、このオセロゲーム、確かに冷戦時代までは黒と白でしたが、私は世界にはもう一極、出来つつあると見ています。それはドイツ極。以前にも書いたと思いますが、長いヨーロッパ大陸の歴史の中でフランク帝国の時代から勘案すれば1000年以上西ヨーロッパ大陸を牛耳ってきたのはドイツであります。そして、今回は危機に喘ぐユーロの運命はドイツ次第という状況にまでなっているのです。ユーロ問題が今後、どういう展開を見せるか次第ですが、ドイツの影響力はより強いものになると考えるべきです。そうなれば世界は三極構造になると考えたらナチュラルでしょうか?
問題は日本ですが、私が思うのは日本国は政治が嫌いなのかな、と思います。外交も下手だし、政治家が国と国のパイプ役を十分に果たしていません。それは日本の政治が国内中心であり、外交まで手が廻らないというのが正解のような気がします。また例えば韓国外交部のジャパンスクールに対して日本側のコリアスクールが政治家を巻き込み十分な体制を敷いているかどうかということでしょう(スクールとは派閥ですが、いわゆる専門領域と考えて良いでしょう)。
例えば外務省のロシアスクールが鈴木宗男事件以来弱体化し、政治家も例えば森元首相が引退を表明するならばロシアとのパイプはまた細くなるわけです。つまり、後任が育っていないということです。それは長年、政治そのものが不安定だったということに他なりません。
今、日本の外交が明白に提示しなくてはいけないのは日本はどの極に属するのか、ということであります。両取りは出来ません。ここをはっきりさせた上で日本の生きる道をしっかり築くべきでしょう。中間色はない、ということではないでしょうか?
今日はこのぐらいにしておきます。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2012年8月27日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。