オープンデータ戦略は電子行政の重要な一歩

山田 肇

自由民主党と公明党が野田佳彦首相に対する問責決議案を参院に共同提出し、通常国会は終わってしまった。流れた法案には、かねてより僕らが成立を求めていたものも多い。

「公職の選挙におけるインターネットの活用の促進を図るための公職選挙法の一部を改正する等の法律案」は議員立法として参議院に提出されていたが、店晒しになった。オークション制度を導入するための「電波法の一部を改正する法律案」も流れた。内閣提案の「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案」は衆議院で止まったままになった。真の意味で電子行政を推進するためには共通番号が必要不可欠であり、与野党対立の法案でもなかったのに、成立しなかった。


問責を可決しても、違憲状態にある選挙制度が改正されなければ、衆議院解散もできない。そもそも、衆参で多数派が異なるため、与野党対立が続けば何も進まないことはわかっていた。これでは、国会が機能しているとは評価できない。

それでも、制度改革を求め僕らは主張し続けるつもりだ。情報通信政策フォーラム電子行政研究会では、9月10日に電子行政オープンデータ戦略についてワークショップを開催する。政府が持つ膨大なデータを内部に留めることなく、民間も活用できるようにすることがオープンデータ戦略であり、電子行政の重要な一歩である。ビッグデータの時代に対応する政策としても位置づけられる。

電子行政に関するタスクフォースではどこまで検討が進んでいるのだろうか。戦略実現のために法律改正は必要か、それともダメ国会を抜きにして進められるものか。タスクフォース構成員と直接意見を交換する機会である。多くの参加を期待する。

山田肇 -東洋大学経済学部-