決断できない政治家を排除しよう

山田 肇

読売新聞に「G8で日本だけ…ハーグ条約未加盟、審議停滞で」という記事が出ていた。各党で成立の必要性が一致しているのに、国会の早期召集に踏み切らないため成立しない。このままでは日本の国際的な立場や国民の生活にも影響を与えかねず、野田政権は責任放棄である、というのが記事の趣旨だ。

しかし、ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事面に関する条約)の発効は1983年のことで、自民党政権下で長い間、店晒しにされてきたのが実態である。このほかにも、2006年の国連で採択され、すでに百余カ国が批准している障害者権利条約も、わが国は批准していない。責任放棄は野田政権だけではなく自民党政権時代からで、日本の国際的な立場や国民の生活にも影響を与えかねない条約類が放置されてきたのである。


読売新聞には「マイナンバー法案が宙に、低所得者対策に影響も」という記事も出ていた。これも、民自公3党が大筋で修正合意した法案である。与野党を問わず賛成が多い、ネット選挙を認める公職選挙法の改正も停滞したままである。

というわけで、読売新聞のように野田政権のせいにするのは間違いだが、政治全体が責任放棄の状態にあるということは、その通りだ。次の選挙では、数合わせに右往左往し決断できない政治家を排除しようではありませんか。

それにしても、ハーグ条約の発効年くらい調べてから記事を書けばよいのに、読売新聞さん。

山田 肇 -東洋大学経済学部-