スマートメータには電波利用料を課すべきではない

山田 肇

スマートメータは、スマートグリッドの重要な要素である。東京電力はスマートメータの通信機能について仕様提案を募集しており、来年にはスマートメータ全体の仕様が定まると見込まれている。

スマートメータに電波利用料を課すかどうかが問題になっている。スマートグリッドは電力受給の仕組みを抜本的に変革するものだが、スマートメータには人手による検針を代替するという意味もある。それゆえ、スマートメータの運用費用が現状の検針費用と同程度に収まらなければ、電力会社の導入意欲が削がれてしまう恐れがある。電波利用料は携帯電話と同額なら月17円(年200円)だが、業界通によると運用費用は月40円前後と想定されており、電波利用料の負担が無視できないという。


総務省は、先週金曜日まで、「電波有効利用の促進に関する検討会 報告書(案)」について意見を募集していた。そこで、電波利用料を免除または減免すべき、という意見を僕も提出した。そんな折、韓国とブラジルで、M2M(スマートメータを含むマシン・マシン間通信)について電波利用料や関連の税・費用を引き下げて、産業を振興しようとしているというニュースが飛び込んできた。

韓国電子新聞は、「音声サービスと同額を課してきたM2Mサービスの電波利用料引き下げを、経済政策調整会議が確定した」と伝えている。ブラジルでは、「M2Mの設置検査費用を26.83ドルから5.68ドルに下げ、検査運用税は設置検査費用の1/3(1.89ドル)にする」そうだ。

スマートメータが全国に6000万台普及すると、電波利用料収入は120億円になる。総務省にとっては重要な収入だが、この際放棄して、電力改革に貢献するとともに、新しいM2Mの普及を目指すべきだ。

山田 肇 -東洋大学経済学部-