安倍首相の進める金融緩和と財政政策によるデフレ脱却と経済再生をアベノミクスと称しています。政府は次から次へと矢継ぎ早に新案を出してきており、もはや、一般庶民にはニュースについていくのがやっと、という感じではないかと思います。
結果して、数字で見えるものは為替と株式。そして、株は10,800円台に戻しましたし、為替は89円台になっています。私の年初のびっくり予想は株が12,000円、為替が90円台でしたからひと月もたたないうちに為替がその目標達成にリーチがかかるとはこちらがびっくりしてしまいます。
一歩下がってみていると日本は来るべきものを期待し「踊り狂っている」ようにしか見えません。メディアが円安を好意的なニュアンスで持ち上げるので日本人は円安万歳のイメージがあるのですが、輸出関連はGDPの13%しかないのです。つまり、13%の産業にとっては円安は嬉しいのでしょうけど、たとえば円高時代を通じて家電メーカーなどは円高になっても影響を受けない対策は採ってきていました。一方、電力エネルギーは輸入に頼っていますが、これは円安でどんどん高くなっていきます。特にLNGはスポットで買っているのですから為替の影響はより受けやすいはずなのです。
更には経済の常識から考えて経済が成長するには人口が必要です。人口が多ければ消費をするからです。ところが少子高齢化の日本ではファンダメンタルには消費は増えようがないのであります。
そのため人為的にカンフル剤を投入する施策が必要となります。、今回、事業規模20兆円規模60万人雇用の緊急経済対策には自民党お得意の公共工事が3兆8,000億円も含まれています。これに対して一部からはばら撒きか、という声もあります。多分ですが、一時的に一部の産業では人不足が生じ、人件費の高騰が想定できます。たとえば、住宅は消費税の引き上げの可能性を見越してただでさえ繁忙期を迎えるのに更に公共事業などがどっと増えますから追いつかない状態が生じる可能性もあります。
一方、建設業界は長らくの不況と建設従事者が比較的高齢者が多かったこともあり、いまさら降って沸いたような事業の拡大に業界はキャッチアップできなくなる公算が高いかもしれません。エコポイントの時と同じです。
私の思うアベノミクスの盲点としては持続性だろうと思います。夏の参議院選挙を眼中に於きながらイケイケドンドンという感じがしないでもありません。経済というのはフルマラソンなのですが、今の走り方はどう見ても100メートルダッシュのようにしか見えません。
多分ですが、これだけお金を使うのですからインフレ2%は達成できるのかもしれません。しかし、その間に財源は借入金まみれになるわけですからそのあたりの心配がないといったらウソになるのは多くの専門家がひそかに思っていることではないでしょうか?
今日はこのぐらいにしておきましょう。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年1月12日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。