既得権益集団新聞業界が要求する軽減税率

山田 肇

本日付け朝刊各紙に日本新聞協会の声明が掲載された。消費税増税の際、新聞には軽減税率を適用するよう求める、という内容である。新聞は消費者が知識を得る負担を軽くする役割を果たし、民主社会の発展と国民生活の向上に寄与しているからというのが、その理由である。声明は、欧米各国で軽減税率が適用されていること、新聞協会が実施した調査で6割以上が新聞・書籍にも軽減税率を適用するように望んでいること、にも言及している。


確かに新聞に軽減税率を適用している国々は多いようだ。しかし、欧米各国に見習えというなら、再販制度についても見習ったらどうか。新聞に再販制度を適用している国はごくわずかで、多くの国々では新聞は定価では販売されていない。わが国では、公正取引委員会が再販制度を見直そうとするたびに、新聞協会が反対の声をあげ論議を潰してきた。声明は文字離れ、活字離れによるリテラシーの低下を問題にしているが、部数減を食い止めるかもしれない割引販売に新聞業界は反対してきたのだ。

新聞業界は電子版と紙媒体のセット売りを始めている。電子版は再販指定されていないのでセット売りでは定価販売できないのだが、定価があるかのように販売している新聞業界は独占禁止法違反である。同様に、異なる電子書店で電子書籍を同じ値段で販売しているのも独占禁止法違反である。声明は、書籍・雑誌・電子媒体にも軽減税率の適用が望ましいとしているが、再販制度破りの業界が連合を組んで新たな恩恵を求めているにすぎない。

消費税増税が販売部数に影響を与えるのを危惧して新聞業界は声明を出したのだろうが、それは、新聞が常に批判する既得権益集団と同じ行動だ。

山田肇 -東洋大学経済学部-