先頃行われた発表会の感想から
ソニーが次世代ゲーム機であるプレーステーション4を発表した。アメリカで行われたのだから、アメリカ人のCEOが発表するのかもしれないが、SCEもアメリカの会社になったんだナーという感じがした。SCEの創業社長はいいときに辞めたナーという感じ。アメリカのマネジメントは資本力だけでは駄目だと悟ったからか。
日本のゲーム会社の幹部がズラズラと出てきて、まだゲームは世界的にも日本主導なのかとも思った。
CPUがX86系の64ビットであるということにビックリ。グラフィックスがRADIONにもビックリ。CELLは何処に行ったのでしょうか。パソコンのCPUとグラフィックスをバカに出来なかったのでしょう。マイクロソフトのデベロッパーに来て貰うために、こうしたのか。このチップを1チップにしたことに、またビックリ。
また、オンラインのサービスをたくさん出してきて、凄い凄いと言っていたけど、本当にオンライン目当てを最初からするのかというと、これは疑問であると思った。
私は最近「4K」のことを考えているので、私の個人的な希望を書かせて貰う。
- 最近の映画製作は、ほぼ全て4Kカメラで取っている。ソニーも4Kカメラを出している。
- 最近はフイルムのライブラリーをほとんどが4Kでテレシネして、修復していると聞く。
- PS3で2KのBDをアップスケールして4Kの信号をだすことが出来るようになっている。
- PS4ではBDXLドライブが搭載され、ソフトウエアでH265がでデコーディングできるパワーがあるのは、一目瞭然である。
故に、PS4は4KBDのプレーヤーになる。これが私の希望である。
足りないのは、仕様の合意、いや、業界談合した山分けの約束である。
標準化を歴史的に言えば、
放送は、RCAがラジオとテレビを発明した。
磁気記録パッケージは、PHILIPSがカセットテープ、JVCと松下がビデオカセットを作った。
光ディスクは、SONYとPHILIPSがCD、SONYと東芝がDVD、SONYと松下がBD。この度の仕様はここの次に当たる。また、デジタルは、アップルがオーディオ、XXXがデジタルビデオ。このXXXを狙っている会社がたくさんある。
デジタルクラブのメンバーは、
サービスもやっている会社では、
Microsoft: XBOXをオンラインにしたいだけ。
SONY: 4KBDもネットもゲームもみんな取ろう。まずはフライング。
APPLE: スティーブが死んでしまって、iTVのシナリオが書けないよー。
Google: ハード買ってきて売るだけではナー。
SUMSANG: やってみよう 世界を支配するのだ
Amazon: 何でも売ります 勝っても負けても。
ハードだけの会社では、
PANASONIC: ロイヤリティーの分け前交渉だけしたら、黙ってソニーに従うだけ。
TOSHIBA: BDでやって儲かればいいというだけ。
SHARP: そんなヒマはない、適当にやっててくれ。
台湾の会社: VISIOのいうものを何でも作ります。
中国の会社: 中国にはウチが売ります、金持ちは4Kを買うだろう。
韓国の会社: サムソンに追いつくのだ。といったところか。
ソニーの戦略を考えてみる
PS2のときは、取りあえずDVDで映画を見てくれ、そのうちゲームを出しますだった。
セガはこれに負けた。DVDの見れないDreamcastなんて誰も買わなかった。みんなPS2を買ったのであった。
PS3のときは、「訳の分からないBDですが、SONYグループとして嫌々ながら積むことにしました」的な発言をSCEがしていた。ビックリした。東芝はマイクロソフトにコケにされ、いまではすっかりBD(30%)になっている。マイクロソフトは、怖くて、HD-DVDをXBOXにバンドルできなかった。していたら、歴史は変わっていたかもしれない。
PS4の今回は、さっさとPS4の発売のアナウンス。パソコン的ネット端末。年末に全世界で500万台売ります。しかし、4KBDのことは言わない。
でも、PANA、SUMSANGはゲーム機という保証された売り先がないので、何をやっても負け。Microsoftは次期XBOXに今更BDやBDクラスを積まないだろう。APPLEは「なにを今更4Kのディスクのこと言ってるの、これからはオンラインさ」てな調子であろう。スティーブが生きていれば、又違ったであろうが。
つまり、このPS4の発表によって、すべての4Kディスクの標準化競争は、勝負あったということになったのではないか。次のソニーの発表会は、ハリウッドのスタジオの幹部が勢揃いして、SONYの4KBDをやったりして……。
そして、ロイヤリティはすべて、SONYの一人取り。ウハウハ。大切なことは、標準を決めることではなく、ロイヤリティを誰が誰とが分け合うのかということではないか。
これからのビジネスの本質とは人々が毎月払う情報関係の支出の中で、携帯代、テレビ代(NHKの受信料)ネット接続代に続く月額いくらかするコンテンツビジネスを誰が取るのかと言うことではないか
敵は「ケーブルテレビ」と「衛星放送」。このどれかの契約を止めて、ネット情報サービスの契約を取るのかがキモである。
デジタルテレビビジネスの行き先はこういうことではないだろうか。4Kテレビや2Kテレビはただのディスプレイの板。4Kでも、2Kでも、スマホでもなんでも、どこでも、いつでもOKの時代が来ている。
ネットにつないだPS4を台湾製の4Kディスプレイにつないで見るのが一番コストの安い選択かも。
西 和彦
尚美学園大学 教授