昨日もNY株式市場のダウ平均株価は史上最高値を更新したようです。今朝の日経新聞にも、株高で高額品の高級自動車や着物、宝飾品などが売れ始めたという記事が掲載されていました。リスク資産を持つ人の資産が増え、消費行動に変化が出てきたようです。
この株高がいつまで続くかを考える上で、とても気になる記事が同じ日経新聞に掲載されています。誰でも知っていることですが、個人的にはとても不安な要因です。
それは株式や株式投資信託の税率変更です。上場株式の配当や売却益、株式投資信託の分配金に対する税制の優遇措置が2013年末に打ち切られることです。
その代わりに、日本版ISA(少額投資非課税制度)が2014年から10年間の時限措置で導入されます。これは、年100万円、最大で500万円まで株式や株式投信の売却益や配当・分配金が非課税になる仕組みです。
500万円までの金額については新しい制度の恩恵をフルに受けることができますが、それは新規投資に限られるようです。今保有している株式や株式投信は、来年売却すると税率が倍になってしまうということです。
とすれば、合理的な投資家はどのように行動するでしょうか。当然、税率の低いうちに売却しておこうということになります。しかも年末ギリギリになれば、相場環境がどうなっているかわかりませんから、それよりも早くということになります。
また、新規の買い付けも2014年に日本版ISAが導入されてからにしようと思う人も多いはずです。
こうなると、税制を考えて、今年の後半に保有している株式や株式投信を売り、来年まで投資を控えるという投資行動をする個人投資家が出てくることが予想されます。経済環境の要因ではなく、税制変更の影響によって日本の証券市場に悪い影響が出るというシナリオです。
日本版ISAの導入に関してはまだ、完全に決まっていない部分もあるようですが、今年の後半にこの日本の税制変更が話題になる可能性はあります。個人投資家の方は、注意をしておいた方が良いでしょう。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2013年3月8日の記事を転載させていただきました。
オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。