日本経済を再び成長軌道に乗せるための一丁目一番地は、本来市場から退場すべきゾンビ企業の延命を止め、敢えて破綻さす事により労働力をより生産性が期待出来る分野にシフトする事である。
夏の参議院選挙、秋の消費増税実行確定(景気弾力条項あり)があるので、政府主導でファンドを設立しての家電製造業インフラ買い取りや、今月末予定の中小企業金融円滑化法案期限切れ対策も政治が生き物である以上、ある程度はしかたないと一定の理解はしている。
しかしながら、こういった謂わばその場対策と併行して実効性のある施策を策定し、着実に実行せねばならないのは当然の事だ。アベノミクスの如き宴会の一発芸の様なものはその内効果が剥落し、後には何も残らないからである。
そういう意味からして、昨日朝日新聞が伝えた、インフラ輸出後押しへ新戦略会議 安倍政権と、以前の読売新聞記事、インド、日本の新幹線採用…首脳会談で合意へに注目している。
何時までもソニーやシャープがダメだダメだと無責任に騒いでいても埒が開かない。新たに雇用を創出する事で、一時的に余剰となる労働力の受け皿を作る事が現在日本の喫緊課題と思うからである。
矢張り、下請け、孫請けといった波及効果の大きい製造業、建設土建業が活況となるのが理想的ではないのか?
私は以前から主張している通り、日米首脳会議の結果を受け、朝鮮半島という例外はあるものの、アジア、太平洋地域に恒久的な平和が訪れインフラ建設が息の長いブームになると予想している。
新興産業国の最大の強みは何といっても、豊富にある若くて安い「労働力」である。従って、国家戦略もこの「労働力」を使っての外貨獲得となる。そして、インフラの整備はこれとコインの裏表の関係にある。
それでは、一体どういったインフラが必要になるか?である。
これについては、過去三十年の対中ODA実績を参照すれば充分であろう。
予想通り、空港 、鉄道 、道路 、港湾 、発電所 、肥料工場 、製鉄工場 、環境保全、医療と続く。
仮に、日本の援助で病院を建設し、日本の医療機器が納入されれば日本製の機器に慣れた現地の医療関係者はその後も日本製を使いたがるはずである。勿論、きめ細やかなアフタサービスは欠かせないが。
今一つは、どういった国が有望市場となるか?である。
それには、先ず、国別の経済規模を俯瞰するのが良い。
日本の人口は1.2億人でGDPは5.8兆ドル=約@5万ドル
中国は14億人でGDPは7.3兆ドル=@5,000ドル強で日本の十分の一
インドは12億人でGDPは1.7兆ドル=@1,500ドル弱
ベトナムは9,000万人でGDPは1,200億ドル=@1,300ドル強
最後にミャンマーは4,800万人でGDPは520億ドル=@1,100ドル弱
インフラ整備がこれから繁忙期を迎えるのはインド以下、ベトナム、ミャンマーという事になる。ミャンマーには欧米企業が殺到するのは当然と思う。そして、これが下記過去のアゴラ記事の背景である。
メコン流域5カ国に6千億円のODA供与と、ミャンマー円借款、25年ぶり再開
「経協インフラ戦略会議」の最初の会合のテーマはミャンマーとの事である。
初会合では、民主化が進み、世界各国が投資を増やすミャンマーについて、1月に現地を訪れた麻生氏から報告を受ける
ミャンマーと聞き、民主党とは違い安倍内閣は実情に通じていると安心するのは当然である。
国がこういう方向に舵を切った事をこれから世に出る若者が理解すべきは当然である。そして、いうまでもないが各自が適切な対応を取らねばならない。
ユニクロは残業代を払ってくれないから嫌だ!とか、海外へ出るのは嫌だ!とか、二十歳を超えた立派な大人がまるで幼稚園児の如く駄々をこねるのは見苦しい。
障害や止むを得ない事情がある場合は致し方ないとして、今後、こういったフロンティアでは職種に拘らねばそれなりに仕事は出て来る。
従って、生活保護申請者が五体満足であれば審査が通り難くなると予想する。
国が国民に対し働くチャンスを提供する事で従来の「生活保護」を不要とする訳である。
働きたくてもチャンスに恵まれなかった若者に取っては朗報である。
山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役