シンガポールを割安と考える外国人、割高と考える日本人 --- 内藤 忍

アゴラ

昨日から、シンガポールに来ています。クアラルンプールからは飛行機で1時間足らず。イメージとしては、大阪から東京に来た感じです。しかし、2つの都市の格差はあまりに大きいのにびっくりです。

ランチに入ったのはシンガポールの目抜き通りにありマンダリンオーチャードという場所のカッターボックスという高級店でしたが、写真のチキンライスが2200円。クアラルンプールのフードコートの200円のあんかけそばが懐かしくなりました。

不動産の価格も天井知らずです。4つの物件を見学しましたが、どれも1㎡あたり100万円以上。100㎡の物件なら1億円以上です。オーチャードなど中心部に入るとさらにこの2倍から3倍。普通に仕事をしている日本人ビジネスパーソンには手が出せない価格帯になってしまいました。


しかも外国人が居住用物件を購入する際には税金が18%かかります。1億円の物件なら1800万円の税金!これもかなり重くのしかかります。

現地の不動産価格が上昇しているのももちろんですが、為替も大きく影響しています。シンガポールドルが米ドルに対しても強くなっているので、対円ではさらに円安になっているのです。

今や、シンガポール不動産のメインプレーヤーは外国人では中華系とアラブ系。日本人はお客さんとして余り相手にされていない印象を受けました。

シンガポールの不動産は投資対象として見ると、個人的にはあまり魅力を感じませんでした。想定賃料から計算したグロスイールド(賃料と購入価格で割った単純利回り)で4%前後。管理コストなどを入れれば利回りは2%前後。中心部の高額物件になれば、利回りはさらに低下してほとんどゼロです。

では、なぜ買う人がいるかと言えば、ロンドンやニューヨークと比較した割安感です。グローバルに不動産投資をしている人たちは、世界の主要都市の物件価格を比較し、超高額物件に投資しているのです。シンガポールは欧米の他の都市よりは安いという訳です。

そして、物件価格は今後も上昇すると考えている。だから今のうちに購入という人が多いのです。

日本人から見ると、日本の六本木界隈の価格より高いシンガポールの不動産価格はどうも受け入れにくものがあります。クアラルンプールの後のせいもありますが、利回りから見ても割高に見えてしまうのです。

ニューヨークやロンドンより割安と考える人がいるシンガポール

東京やクアラルンプールより割高と考える人がいるシンガポール

どちらが正しいかはわかりませんが、東京の相対的な立ち位置が低下していることは、わかると思います。

外から日本を眺めることで、様々な視点が得られ、見えなかったものが見えてくる。クアラルンプールから見る日本と、シンガポールから見る日本は随分違う風景です。

今日はこれからシンガポール国境を越えて、ジョホールバルに向かいます。シンガポールの10分の1の価格と言われる可能性のあるエリア。イスカンダル計画が希望の未来なのか、それとも絵に描いた餅なのか……。マレーシア不動産投資の「ギャンブルエリア」をしっかり視察してきます!


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2013年3月16日の記事を転載させていただきました。
オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。