厚生労働省管轄のハローワークで、2200人が雇い止めでクビになるそうだ。いや、仕事が減ったらクビにするのは当然のこと、雇用調整なんてやらない組織はどこにもないので、これ自体はなんの問題もない。※
問題は、それをやっているのが「分厚い中間層の復活」を掲げている厚労省自身だということだ。
去年、厚労省が音頭をとった労働契約法改正で、民間企業や大学法人は「5年経ったら無期雇用転換」を義務付けられ、現場は大混乱に陥っている。
「5年経過する前に雇い止めすればいいじゃん」と考えている人も多いだろうが、「客観的合理的な理由及び社会通念上相当と認められる理由」がない限り雇い止めは認められない。まあ中小企業はお目こぼしされるだろうけど、一流企業とか有名大学は割とガチンコでこれから裁判沙汰が増えるはず。
そんな中、「仕事が減ったからしょうがないじゃん」の一言であっさり2000人以上クビにする厚労省の肝っ玉は凄い。分厚い中間層はどうした、というかハロワの職員の非正規雇用比率が63.5%って、おまえんとこが一番中間層薄いじゃんっていうツッコミ入れている国民も多いことだろう。
そういえば、文春4.4号『竹中・三木谷「解雇自由」の悪だくみで日本企業は総ブラック化する!』で厚労省OBで労働政策研究・研修機構に絶賛天下り中の某氏が「労働市場の流動化はまかりならん」という御高説を展開中だ。
重箱の隅をつつくようにして改革に反対するけど、対案は示さないという、既得権擁護ムンムンロジックなわけだが、国民の税金突っ込んでるんだから、とりあえず何らかの労働政策くらいは研究してるんだろう。
というわけで、ハロワをクビになった非正規雇用職員の皆さんは、ハロワに行く前に、ぜひとも労働政策研究・研修機構に相談に行ってはどうだろう?
「企業の有期雇用は規制しておいて、どうして厚労省は私たちのクビを切るんでしょうか?」
きっと、厚労省OBの方々が、屁理屈ではない実のある回答をしてくれることだろう。
※本来、失業者の面倒は国が見るべきものであり、労働市場の流動化とは社会保障制度の国営化にほかならない。
編集部より:この記事は城繁幸氏のブログ「Joe’s Labo」2013年4月1日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった城氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方はJoe’s Laboをご覧ください。