昨日のアゴラへのエントリー、地方という日本のアキレス腱で、地方が陥ってしまった重篤な状況について説明した。
問題は、当然の事であるが「地方の再生は可能なのか?」に尽きる。
勿論、簡単ではないだろう。
しかしながら、日本が今置かれた状況を考えるなら頑張るしかないのではないか?
アゴラでは随分と評判が悪い「アベノミクス」ではあるが、これを有効利用出来ないだろうか?
最近注目した記事がある。ソフトバンク、スプリント買収断念でも利益40億ドル である。ソフトバンクが円安による巨額の為替差益を享受する可能性があるという事だ。
同様、「為替差益」という不労所得を享受する企業が多数あると思われる。ここからの投資を呼び込むというのは考えてみる価値はある。
先ずは、どんな企業が為替差益を享受する事になるかである。
強い「円」を活用して海外展開を加速して来た企業に決まっている。
為替が@70円/$時代に1,000億円をタイ、インドネイア、フィリッピンに投資した企業であれば、仮に更に円安が進み@140円/$となれば、1,000億円の資産価値が2,000億円に膨らむ。
投資に対し10%の利益がコンスタントに出ているとすると、従来100億円であった利益が200億円に膨張する訳である。
今までであれば、この金はベトナムに投資され、更にミャンマーといった具合に日本企業によるサプライチェーンが構築されていった訳である。
日本の地方はベトナムやミャンマーとこの資金の取り合いを行い、円安を活用し、資金を呼びこむと共に製造業の回帰を図らねばならない。
その意味、安倍政権が打ち出した3大都市圏にアベノミクス戦略特区は朗報である。
日本の地方もこういう事に興味を持ち、積極的に取り組むべきである。
そんな難しい事、面倒な仕事は、東、阪、名でやって下さい。自分達は今まで同様寝ています。その代り、地方交付税交付金は下さいね。出来ればもっと沢山!では困るのである。
具体的に、地方が企業誘致に乗りだせば幾つかの課題が浮かび上がって来る。
先ず、割高な法人税と地方税。地方税は自分達が腹を括って下げるとして、法人税は政府と交渉をせねばならない。財務省が嫌がるのは当然である。
次いで、高額な電気料金。不安定で割高な太陽光発電を筆頭とする再生可能得エネルギー支援名目で溝に金を捨てるのはいい加減に止めて、原発再稼働を急ぐよう安倍政権の尻を叩くべきである。
意味不明な上、多過ぎる「規制」。地方行政は自分達の存在そのものが企業誘致の障害になっている事を真摯に受け止め、せめて「規制」位は緩和すべきであろう。勿論、政府が進める「アベノミクス戦略特区」は追い風となる。
最後は、ベトナムやミャンマーと比較して高過ぎる労働力の問題である。ここをどうするか?は実に頭の痛い話である。国民的議論が必要かも知れない。
雇用の「量」と「質」のバランスをどう調整するのが地方の利益に叶うのか?
企業に補助金を出しても若者に「職」を提供するべきなのか?
雇用の「質」は維持し、「職」を得る事が出来なかった若者は生活保護で救済すべきなのか?
それとも、いっそ何もせず、若者には東京で職を探して貰い、地方はこれからも高齢者、公務員、農協など農業関係者のパラダイスとして、地方交付税交付金に寄生するのか?
何れにしても、地方がかじる国の脛は限りなく細くなって来ている。従い、地方に残された時間はそれ程長くないと思う。
山口 巌