偶々友人がFBで紹介していたので、現役官僚が提言!日本のモノづくり衰退の真因は組織的うつ病による「公私混同人材」の死蔵であるを拝読。
正直いって内容に関しては「微妙」だが、現役のキャリアー官僚が何を見て、何を見ていないとか、或いは、こういう具合に官僚ならではの独特の理解(誤解)をするのかなど、一読の価値はあると思う。
先ず、決定的に間違っていると思うのは「日本のモノづくりは衰退している」と一方的に決めつけ、且つ、その理由を一体何の事か良く判らない「組織的うつ病」に起因するとしている事である。
成程、監督官庁である経産省が管掌する日本国内においては確かに日本の製造業は冴えないかも知れない。しかしながら、サプライチェーンをそれなりに完成させた海外では健闘しているのではないか?
直近の2月経常収支がその予測を裏付けている。
貿易収支は6,770億円の赤字。一方、所得収支は1兆4,074億円の黒字で最終的に経常収支段階で6,374億円の黒字となっている。
所得収支黒字の大部分は海外で展開中の国内製造業によるものではないのか?円安により外貨建て配当収入が膨らんだのである。
日本の製造業は、日本では衰退しているが海外では元気と理解すべきではないのか?
ついでに、気になる所3箇所にコメントを付けてみる。
売り上げ・利益・シェアばかりを重視し、数字で見える成果のみを評価し、コンプライアンス・社内ルール・法律で社員を縛り、誰もが決めない会議ばかり開き、将来のリスクはなるべく避け、知らない人たちとの接触はなるべく避け、自分のポストがなくならないことを願う人たちが支配している組織のことだ。
実に良く眼にする日本企業に対するステレオタイプな批判である。
別に製造業に限らず、「正社員」の身分を保証して65才まで定年を延長すれば「無事これ名馬」と勝手に決めつけ、「急がず」、「慌てず」、「仕事せず」になるのは自然の流れではないのか?
一般国民に対し、こんな記事を公表するよりも厚労省にクレームすべきと思うが。
そして、欧米やアジアの成功の裏側には官民の連携もあった。彼らは、かつての日本の成功モデルを参考にし、国の制度や仕組みを変えていくことで、官民が連携して自国の強みを作っていった。その一方、日本は通商摩擦疲れからなのか、官と民の間の距離が開いて、輸出産業のために競争優位の状況を作るという取り組みが少なくなってしまった。
ちゃっかり、経産省の「産業政策」であったり、「官民連携」の宣伝をされていると受け止めた。
しかしながら、既に述べた様に日本の製造業はアジアで単独(経産省の支援なしで)でドル箱にまで成長したサプライチェーンの構築に成功している。
今後は要らなくなった設備の買い取りの様な虫の良い話以外相談に来る事はないと思う。
組織的うつ病から脱却し、公私混同人材をフル活用して、世界をあっと驚かせる商品やサービスを提案することが、モノづくり産業復活のきっかけとなるのではないか。
率直にいって、「組織的うつ病から脱却し、公私混同人材をフル活用して」の部分は意味不明である。
一方、「世界をあっと驚かせる商品やサービスを提案することが、モノづくり産業復活のきっかけとなるのではないか」の部分は同意出来る。
問題はどうやって「世界をあっと驚かせる商品やサービス」を構築するかにかかっている。
散々男性社員が商品やサービスを設計し、男性経営者がそれに対し経営判断を下して来た訳である。
行き詰っているのであれば、設計を女性に委ね女性経営者がそれに対し経営判断を下す様に変更するしかないのではないか?
あらゆる意味で「男性」から「女性」へのバトンタッチの提言であれば、結構斬新で面白いと思う。尤も、隗より始めよ(言い出した経産省から始めたら?)と切り返されるのが怖くて、決していえないだろうが。
山口 巌