かつて、日本政界を揺るがした「永田偽メール事件」というものがあった。
先ごろ、仮出所した堀江貴文氏について、2006年当時、民主党永田久敏議員(当時)が、前年に堀江氏が社内メールにて、武部勤自民党幹事長(当時)の次男に、選挙コンサルタント費用として3000万円の振込を指示した」などと指摘し、問題のメールの写しも公表したものの、全てが捏造だったという国会議員としてあり得ない、いや許しがたい騒動だった。
先月末の予算委員会で、この「永田偽メール事件」を彷彿とされる質問が行われた。奇しくも、今度もメインキャストは民主党議員の徳永エリ議員である。きっかけは先月の、閣僚による靖国参拝についての質問だった。
4月24日の参議院予算委員会にて、徳永議員は「北朝鮮による拉致問題解決のために、中国や韓国と協力するべきなのに、靖国参拝によって得にくくなった」というものだが、そもそも国会議員や閣僚、そして内閣総理大臣や天皇陛下による靖国参拝が政治問題化すること自体が疑問である上に、それについて、中韓からとやかく言われる筋合いではないのだが、それに対して安倍総理は、「国のために命を捧げた人を敬うのは当然で、参拝への脅しには屈しない」と毅然と反論した。
問題発言は、この総理の反論に対して発せられた。
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徳永エリ議員 「いずれにせよ、拉致被害者の家族の方々は、実は非常に、まあマスコミベースの話ですから、今ご説明を受けて、少し誤解をしているところもあるかもしれませんけれども、落胆をしているという声が聞こえてきています。こんなことで本当にしっかりと拉致問題の解決に取り組んでくれるんだろうかという声も上がっておりますが、その点はいかがでしょうか?」
古屋国務大臣 「委員にお聞きしますけど、それは、今度の私ども閣僚が靖国を参拝した事に対して家族が批判をされているということですか。」
徳永エリ議員 「反応ということです。」
古屋国務大臣 「いや、それは、全く、ちょっと聞き捨てならぬ話ですよ。是非それお名前を言ってください、どなたか。」
(以上、徳永エリ公式ブログ2013/04/25更新「予算委員会での質問について」より「議事録」とするものから引用。尚、カギ括弧や総称(徳永エリ君→徳永エリ議員)などを一部著者により修正しました。)
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閣僚の靖国参拝を、(何故か)拉致被害者家族が落胆してる! 古谷国務大臣ならずとも「聞き捨てならぬ話」である。語気をやや荒げて、古谷国務大臣は徳永議員に問いただすが、なんと徳永議員、この質問に対して完全スルー!
何事もなかったかのように、今度は「それでは、あの、総理にお伺いいたします」と総理に矛先を向けたが、当然ながら総理は「その前に申し上げておくが、質問のなかで『拉致被害者の方々が懸念を表明された』と。これは極めて重要な質問だ。どなたがそれを言われたのか、これはやはり予算委員会ですから、ちゃんとしていただかないと。質問者としての信頼性。民主党として質問しているのだから、もし、いい加減なこと。言ってないのに言っていた。これは大変なことだ。それを明らかにしないとおかしいと、先ず申し上げておきたい」とバッサリ斬り捨てた。
これに対して、徳永議員は期待通りというか当然のように、質問には答えず、ひたすら「中国と韓国が閣僚の靖国参拝を批判してるのにいいんですか!」「これはいけないことなんですよ!」と小学生のような、「中韓が不快に思ってるから自制しろ」論を展開したが、総理に「それは徳永さん。靖国神社でご英霊に対してご冥福を祈る。それについて批判されることに対しては何も痛痒を感じずに、批判されたことで『それはおかしい』と思う方がおかしい。われわれはあくまでも国益を守る。私たちの歴史や伝統の上に立った、私たちの誇りを守っていくことも私の仕事だ。それを、『どんどんどんどん削っていけばよい。(中国や韓国との)関係がうまくいく』という考え方の方が私は間違っていると思う。そのことはハッキリと申し上げておきたい」と論破されてしまうのだった。
当然ながら、この問題発言はネット上で大きな反響を呼び、逆に当然のように、民放各局のニュース番組は問題発言の部分をカットして、お得意の「報道しない自由」を貫き通した。
だが、ネット上では、この問題発言は文字通り「聞き捨てなら」なかった。知る限り、YouTubeでの動画のアクセス数は21万回を超える勢いだし、徳永議員のTwitterやfacebookは炎上状態となった。
さすがに事態の深刻さに慌てたのか、徳永議員は、「拉致被害者家族を支援してる議員に頼まれた」が「それ以上は、個人情報なので言えない」と苦し紛れの釈明をした。これぞ正に、民主党お得意の「嘘に嘘を重ねる」です。
思えば、民主政権時から、時の鳩山由紀夫総理自身が病的な嘘つきだったのはいまさら言うまでもない。当時、ネットでは「嘘つきは民主党のはじまり」とまで言われたくらいだ。
そして、子供のような嘘はアッサリと暴かれるのが世の常です。
「救う会 全国協議会(北朝鮮に拉致された日本人を救うための全国協議会)」は4月25日付の「救う会全国協議会ニュース 徳永議員の参議委員予算委員会での発言に関する見解」の中で、「誠に遺憾である」「そのような「感想」を抱いている家族会メンバーは居なかった」とした上で、「徳永議員には、本会と国民の皆様に対して説明する必要があると考える」とコメントした。
翌25日の参議委員予算委員会で、安倍総理は、再度この発言に触れ、徳永議員の発言を、「根拠が無いのなら捏造と言わざるを得ない」と断じた。
ところが、驚くことに徳永議員は自身のブログで、「捏造だというのは名誉毀損だ」と開き直った。
「「捏造」の意味は、事実でない事を事実のようにこしらえる事であります。公共の電波を使って、個人の名前を出し名誉を著しく傷つけるような事はしてはならないことなのではないでしょうか。」と徳永議員は憤るが、そのお言葉をそっくりそのままお返ししたい。
貴方の捏造発言で、拉致問題に父親の代から取り組んでいる安倍内閣や、家族会の名誉を著しく傷つけているのは、他ならぬ貴方ではないか。
丁度、発言の直後に全国的にGWに突入したことや、民放各局がこの問題発言を一秒たりとも報じなかったこともあり、”第二の永田偽メール事件”と呼ばれている、この問題は下手をすると風化しかねない。
自民党を始め、拉致問題に取り組む政治家は、是非ともこの問題を有耶無耶にせず、徳永議員を徹底追及して、(もし、そんな人物が存在するなら)徳永議員に「頼んだ」議員を公表させるべきだし、そのためには証人喚問さえ起こすべきだろう。
もし、全てがそれこそ”捏造”であったならば、徳永議員は潔く議員バッジを外すべきだろう。
多田 純也
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