「世間体」「世間知らず」「世間話」などと世間という言葉は良く使われます。また「世間を騒がす」 「世間がうるさい」「世間を渡る」「世間を広げる」「渡る世間に鬼はない」「世間に対して申し訳が立たない」などといったフレーズもよく使われます。これからは新たに「Facebook世間」という新語が加わることになるのかもしれません。
昔、私たちが子供のころは近所のつながりはとても深いものでした。それ故お互いの家庭の状況が大変よく分かっておりました。今では地方社会と云えども様変わりしており、近所づきあいは極めて希薄です。そのためマスコミでもよく孤独死が報道されますように、近所で互いに助けあうことが非常に難しい状況になっております。「向こう三軒両隣」的なコミュニティ社会が物心両面で人々の生活に大きく寄与するものであることは、誰もが承知しているところです。
私たちは、各個人それぞれにいろいろな「世間」を持っております。仕事という世間、学校という世間、趣味のサークルという世間など、一人の人間がいろいろな世間に関わっております。さらに、近所づきあいという極小社会の世間があります。今では希薄になったこの極小社会が大きな力を発揮することのできる「世間」の一つであることはいうまでもありません。
そこで、昨今日本でも急激に参加者が増大している Facebook を地域コミュニケーションツールとして生かすことが出来るのではないかと思うのです。Facebook にはグループ機能というものがあり、そのグループ内だけでの交流を図ることが出来ます。Facebook のグループ機能を使って新しい「向こう三軒両隣」を形成することが可能になるのではないかと思います。
Facebook では、基本的には「今何してる? 」という問いかけに対して自分の近況を実名で投稿します。日常の会話や独り言を書き込んでもらうことにより、近くて遠い存在であった隣人もお互いに意識するようになるでしょう。それがきっかけでリアルの場面で結びつき、そしてまたネットで結びつく。この繰り返しによりお互いの結びつきが深まっていくことを目指していきます。誰かの投稿が途絶えたり、投稿の内容を見て困っていそうなときは、他の誰かがその人を訪問する。こうして助け合いの輪を強くしていく。これが Facebook 世間です。
地域グループ内の交流を図ることにより、Facebook の特性としてリアルの世界ではなかなか見えなかった部分まで見えてくるようになります。たとえば(個人の趣味趣向、日常の関心ごと、日常の行動パターン、困っていること、本人の健康状態)等などお互いが良く知るところとなり、地域共助に大きく寄与することが期待できると思います。新しい時代の新しい「世間」の在り方として、「Facebook 世間」が今後の社会に、良い意味で大きな変化を及ぼすことができるかもしれません。
また新時代のご近所 Facebook を上手く運用するためには、それぞれの地域に Facebook 指導者を置き Facebook 研修会を実施する必要性も生じてくるでしょう。パソコンが使えない人でも iPad などのメディア機器を使えば、誰でも Facebook に参加することが出来ると思います。官民共同で地域助け合い、加えて独居老人対策にも Facebook を活用することが出来るのではないかと思います。
帆保 洋一(ほぼ よういち)
IT講師 & キャリアコンサルタント
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