けさの国債市場は、いきなり1%台をつけて始まった。これは1年1ヶ月ぶりで、絶対的水準としてはそれほどではないが、その値動きは「暴落」といっていい。普通の人には直観的にわかりにくいと思うので、国債先物のチャートで示そう。
けさの8:45につけた140.7円が最安値になり、サーキット・ブレーカーが作動した。そのあと日銀が1兆円以上の買いを入れたので戻しているが、1週間で3%ポイント以上も下げたことはここ数年ない。景気が回復すると金利が上がるが、今回は日銀が機関投資家をクラウディングアウトした「悪い金利上昇」だ。おかげで日経平均は1100円以上も下げ、終値では1万4400円台になった。
釣雅雄氏も指摘しているように、4月の「異次元緩和」のあと、邦銀や生保だけではなく外人も大きく売り越し、それを日銀が買い支える形になっている。昨年末の円安のときのように、投機筋の空売りが入ると国債も大きく崩れる可能性がある。
ニューズウィークでも書いたように、現在の国債価格は合理的に説明できないバブルなので、それが3~5%ぐらいまで上がることは相場の合理的な動きである。円安・株安・債券安のトリプル安が止まらなくなったら、バブル崩壊の最終局面だ。
もちろん急速に崩壊することは好ましくないので、日銀がコントロールする必要があるが、それは黒田総裁には無理だろう。彼は「2年で270兆円」にコミットしたので、ここで撤回すると「異次元緩和」が総崩れになってしまう。
もともとアベノミクスの好調は、昨年後半からの円安の波に乗ったまぐれ当たりだった。日銀が何もしないうちから安倍首相の「輪転機ぐるぐる」の掛け声に乗せられて、お調子者の投資家が買いに走っただけだ。日銀が金をいくら配ってもインフレにはならないし、景気もよくならない。そういう当たり前のことを、やっと市場が認識したということだろう。