市場で話題になっている浜田宏一氏のインタビューを紹介しておこう。日本人にはとても聞き取りやすい英語なので、聞けばわかると思うが、概略は以下の通り。
株価の暴落については心配していない。次は「第3の矢」の成長戦略だが、これには金融政策ではなく技術進歩が必要で、竹中平蔵氏のいう規制改革や自由貿易が重要だ。「第1の矢」で潜在GDPを達成したので、これから必要なのは成長だ。目標はリーマン危機以前の水準に戻すことで、為替は現状の1ドル=100円ぐらいが適正だろう。
金融政策はすぐ効果が出るが、成長を実現することはできない。雇用と生産を回復することが目的であり、2%のインフレ目標はその補助的な手段にすぎない。もっと低い(たとえば1%の)インフレ率で実体経済が回復すれば、AではなくA+の大成功だ。
「第1の矢」は人々の心理を改善する補助的手段であり、本来の目的は実体経済の改善なので、インフレはないほうがいいのだ。潜在GDPが達成されたのなら、理論的にも金融政策にできることは何もない。まして2%の目標を掲げ続けるのは、A+をA以下にするだけの愚策である。浜田氏のアドバイスに従って、黒田総裁は有害無益な「異次元緩和」から撤退してはどうだろうか。