昨日の夜、ワシは大阪市内のあるビルの屋上におった。えっ?「なんで飛び降りんかったか」って。放っておいてくれ。飛行機の音がいつになく激しいんで、「無人攻撃機の襲来かワシもビンラディン並や」と喜んで見に行ったら、原因は強めの南風やった。
伊丹、関空の関西の二大空港は、滑走路がほぼ南北になっている。着陸は向かい風が理想やから、南風のときは北側から降りることになる。そやから、東京や沖縄から来て潮岬方面から北上してくる大量の旅客機が、次々と大阪湾上空で大旋回する。視界の中に5~6機見えることは、ざらにある。
よくこんな場所に、オスプレイの訓練など誘致すると言い出すもんやな。ウィドーメーカー改め、大阪のおばちゃんメーカーになりたい気持ちもわかるが、渋谷の交差点で実弾演習をするようなもの(盛り過ぎか)、DJポリスでも処理できんやろ。
オスプレイに関しては、「空中給油をすれば航続距離が伸びるから八尾でもOK」てな、気楽な議論があるが、反論は一言「只で給油はできん」。何が悲しゅうて演習の度に途中で給油して(さすがに空中やなくて岩国やろが)、はるばる普天間から八尾まで来なけりゃならんのや。ついでに言うが、整備部品一式も、両方に揃える気か。
訓練の一部てなケチなこと言わずに、いっそのこと丸ごと面倒みるか。その場合、「新鋭機」を、どこで何に使う気なのか。平壌あたりで作戦行動をして、帰りの燃料を韓国の基地所属の給油機でするつもりなら、はじめから韓国にオスプレイを配備したらええやろ。
災害時の救助や消火? ……アホか。わざわざホバリングに向かん機材を、被災地に持ち込んでどうするんや。上空から「ガンバレ」と叫ぶつもりか。消火活動はさらに絶望的。福島第一の映像を覚えておるか。水は重い。ヘリで運べる量などタカが知れている。ヘリが巻き起こす風が火をあおる効果のほうがよほど大きい。
しかも、なにしろパワーが売り物の「最新鋭機」やがな。エジノ、マートン、オスプレイ、ナニワの三大扇風機って、笑ってる手前で消防車呼んでこい。
阪神淡路大震災の時に、米軍の輸送ヘリは明らかに遠慮していた。火事に限らず、被災地で突風を巻き起こすマイナスは巨大なものがある。緊急時に大型ヘリでないと行けない場所は、離島を除くとあまりない。大阪周辺には特に少ない。
だいたい米軍にしてみれば、御節介極まりないことや。なんでド素人に軍の配置について、口出し気味の提案をされるのか、見当もつかんやろ。迷惑な話や。
大阪で「八尾スプレイ」に本気で反対しているヤツを見たこと無い。本気で支持しているヤツはもっとおらんやろ。笑っているヤツさえ少ない。アホらし過ぎて笑えんもんな。
こういうのどっかで見たことあるで。ううむ、デジャブ、デジャブ、ゴコウのすり切れ……思い出した。在日米軍に風俗店の活用を勧めた件や。他にも結構ありそうや。
大声で口にした政策を実現しない政治家には4つのタイプがある。すなわち、フヌけ、ウソつき、ほら吹き、アホ、や。
一番わかりやすいのは、フヌけや。野党や落選者の公約なんかはこれに入る。約束を守ろうにも、その権限をもらえなかったというヤツやな。ある意味、仕方が無い。実害も少ない。後で書くけど、こういうのにも一定の役割がある。
次に、ウソつき。政治家の古典。選挙公約を「なんのかんの」言って守らない。戦後最大のこのタイプは、消費税導入の中曽根康弘やな。あれで政治というものの信頼が、一気に無くなったように思うで。
「八尾スプレイ」&風俗呼び込みの市長は、ほら吹きの典型。他の政党にも、最近、増えてきた。新しいところでは「高2で受ける到達度テスト」「輪転機ぐるぐるでアベノミクス」なんかも、この仲間やろ。
ただの悪趣味な言葉遊びとも言えるが、それほど政治家がヒマとも思えん。慰安婦・風俗騒ぎで、どれだけ大阪市政にロスが出たか考えてみてほしい。
おまけに、ホラというのはエスカレートしやすい。過激さを競っているうちに、何かの拍子で実現したりする。ノモンハン、インパール、ミッドウェー、旧日本軍の大敗には「現実化したホラの悪夢」としか思えないものが多い。
こういうときに、しっかりせなアカンのが専門家や。「八尾スプレイ」なら軍事評論家が、風俗市長には風営法学者が、きちんとしたコメントを出すべきやろう。輪転機ぐるぐるには、アゴラをはじめあらゆるところで経済学者や評論家が噛みついているけど、「到達度テストいつ受けるの……今でしょ」問題への教育関係者の反応は鈍い。
こういうホラ吹き政治家が増えた最大の理由は、最後の分類のアホ。こいつらの躍進のせいや。はっきり言えば民主党政権。「普天間基地の国外移設」「高速道路無料化」結局、どないなったんじゃ~い。
もし、民主党が、実行する気のないことを平気で言うウソつきや、実現可能性に興味のないホラ吹きやったら、罪は軽い。昔から、そういう政治家はおったからな。
またもし、民主党がフヌけの野党のままやったら、有益でさえあった。国外移設論に実現性が無くても、普天間の安全対策の後押しをする。無料化論は、際限ない値上げを抑止してたと思う。レトロな万年野党旧社会党の「安保廃止論」や「非武装中立論」も、内容や実現性はともかく、叫ぶ事自体は結果的によかったやろ。ずいぶん、自民党の対米交渉を助けたはずや。
ところが、民主党はフヌけ体質のまま政権を取ってしまった。そして「普天間基地の国外移設」や「高速道路無料化」に実現可能性が無いことに、はじめて気がつき愕然とした。これをアホという。別の言い方をすれば「政権野党」、「ゴールネットを揺らすスローイン」、「オークション、落札したけど、銭はナシ」。悪夢としての大成功というわけやな。
アホの民主でも政権を取れるとなると、ホラ吹き維新や、ウソつき自民は、やりたい放題や。他の政党はフヌけ見習いぐらいの位置に落ち着く。
瞬間的なアホの登場は国民全部の責任やけど、後に続くホラ吹きとウソつきの処理は専門家の仕事や。アゴラリアンもしっかりせなアカン。据えるべきお灸を据えておかないと、いつの間にやら据えられる側にされている。大東亜戦争の教訓やと思うがのう。
ヨハネス 山城
通りがかりのサイエンティスト