iPS細胞再生医療がいよいよ臨床へ

アゴラ編集部

200901_神戸ポートアイランドから

日本が誇る再生医療技術が、ノーベル賞も受賞したiPS細胞です。厚生労働省の審査委員会が今回、iPS細胞を使った人間への臨床研究計画の妥当性を安全面や倫理面などから検証し、その実施を了承しました。厚労省の最終決定はまだなんだが、これを受けて2013年夏にも、患者の目の網膜の一部をiPS細胞で再生し、視力を回復させる移植手術が世界に先駆けて行われることになりそうです。


iPS細胞を「開発」した山中伸弥教授も、なるべく早い実用化を目指していたわけで、これは患者にとって朗報となる決定でしょう。国もiPS細胞による再生医療を成長戦略の一つとして位置づけ、10年間で1100億円の科研費を出すことになっています。今回の決定でiPS研究が加速されることは間違いありません。

また「Noppin’s stock cafe」というブログが書いているように、株式市場でもiPS相場が盛り上がることが予想されます。実際「Bloomberg」は、東大と京大と共同研究をし、山中教授も培養液を提供しているバイオ銘柄に買い気配、と書いている。こっちのほうも注目を集めているようです。

一方、国を挙げての性急な後押しに危惧を抱く人も多い。iPS細胞については今回の臨床対象になっている「加齢黄斑変性」はそうなりにくいと言うものの、ガン化しやすいという課題もいまだ解決されていません。文科省の示したiPS細胞による再生医療の工程表には心不全や脊髄損傷といった実用化が記載されているんだが、ガン化を乗り越えなければこれらへの応用は難しいと思われます。また、iPS再生医療については読売などの誤報もあった。メディアもあまり先走らず、伸長に報道してもらいたいものです。

表題ブログでは、研究と臨床の間に立ちふさがる「デスバレー(死の谷)」について書いています。山中教授らは新たな研究体制を導入し、従来の日本の研究環境をも変えようとしているらしい。これは白金にある東大病院で新井賢一氏らが「トランスレーショナルリサーチ」を提唱し、基礎研究と応用との間の架け橋的研究の役割を喚起した系譜にもつながります。MOT(Managemento of Technology)は再生医療という難しい研究現場でますます重要になっていくでしょう。

老兵は黙って去りゆくのみ
じじぃの「米iPS細胞開発競争の現場・ビジネス最前線・プログラムディレクターの役割!報道ステーション」

※写真は、iPS細胞を利用した移植医療が行われる予定の理化学研究所のある神戸ポートアイランド。


非モテをこじらすと治らない
常夏島日記
なんというか救いのない話なんだが、若い男子、というのは総じてモテません。若くてモテてる男子も自分ではそんな実感もたいしてないケースが多い。傷をなめ合う男子が一人前の男性になったころ、ようやく女子や女性がその魅力に気づいてくれます。ようするに永遠に男子のままでは、ずっと非モテクラスタにいなきゃならない。男性になって非モテから抜け出せても、精神的に男子のままではハッピーになれないのは当然です。

Israeli leaders warn against Syria attacks
Star-Telegram
ゴラン高原は実質的にイスラエルがシリアから奪って不法に支配している地域なんだが、国連PKOがどんどん撤退し、一触即発の状態になっています。この記事によると、イスラエルの指導者たちがゴラン高原で行われた軍事演習を視察し、シリアからの攻撃を警告したらしい。シリアの内戦が飛び火してくるでは、というわけです。ネタニアフ首相はイスラエルの安全保障は完ぺきだ、と自信たっぷり。反面、ヒズボラの脅威はイスラエルにとって頭痛のタネのままです。

皇后陛下、PCR開発者を撃墜するの巻/『がん遺伝子の発見』読んだ
虚無回転レシーブ
この書評ブログで紹介されているキャリー・マリスって研究者は1993年のノーベル化学賞受賞者なんだが、かなりの「変人」として有名です。その自著『マリス博士の奇想天外な人生』を読むとよくわかる。サーフィンが大好きでノーベル賞受賞の報を聴いた直後に海へ出たり、薬物使用を公言してはばからない。結婚は四度してるそうです。米国の大学では同じ大学の大学院へ進むのは「潔しとしない」例に漏れず、ジョージア工科大からUCバークレーで博士号をもらってます。PCRは「ポリメラーゼ連鎖反応」法の略。彼が開発したPCR法の確立により、遺伝子研究は飛躍的な進歩を遂げました。

Feedlyに引越してはいけない(今は)
hail2u.net
いよいよ来週の月曜日にGoogleのリーダーが終了します。代替のRSSサービスがなかなか見つからないまま、この日を迎えなければならない。FeedlyとかReeder、AOLのヤツとかいろんなのがあるんだが、どうもどれも帯に短したすきに長し。このブログでは、OPMLでRSSリストをエクスポートできないFeedlyには移行しないほうがいい、とアドバイスしています。ん~悩ましい。


アゴラ編集部:石田 雅彦