ワシはくじ運が悪い(原因;日ごろの行い)。宝くじはおろか、パーティーのビンゴあたりでも、おそろしく勝率が悪い。リーチすらかからずに終わるのが普通や。ところが、いやな予感だけはたいてい当たる(原因;日ごろの行い)。
橋下はんが政治家デビューしたとき、「このお人は、ひょっとしたら大阪の足を引っ張りよるかも」と思っておったら、案の定や。友人が「年寄りの老後資金は固い株が一番」と勧めてまわっておった。いやな予感センサーが反応したんで、「気ぃつけや、株は株やで」と言うてはみた。1年もせんうちに、そいつの周囲のやつ、東電やJALの株と自分の頭を抱えるはめになった。
今回、あまり報道されておらんが、福島の甲状腺ガンのデータが出た。「東洋経済オンライン」。ガンの発症率は通常の数十倍ということや。それに対して県は「被曝による影響の可能性はほとんどない」と説明しているらしいが、その根拠は「チェルノブイリと比べて出現が早すぎる」ということらしい。
素人相手やからって、ようこんなアホなこと言いよるもんや。「ほな、この発症率が高いのは、なんでや?」と聞かれたら、答えに窮するやろ。他に有力な原因が想定できんのやったら、せめて「事故の影響かどうかは、分かりません」と答えるべきやろ。
ちなみに、ワシが事故の影響を誤魔化すことを考える立場なら、「これだけ徹底的に最新の技術で検査したら、たくさん患者さんがみつかりますよ」というポイントから反論する。実際、この可能性は結構高いと思う。いや、そうあってほしい。
けれどもそれなら、日本海側など、事故の影響が皆無の場所で、同じような検査をして比較データを集めるべきやろ。いっそのこと、日本中の子供を対象にしてやれば、地域的な分布が一目で分かる。
これでシロと出たら、「少なくとも甲状腺がんについては、2013年夏現在、影響は見えない」と、かなり安心して言える。そやけど、誰もそれをしようとしない。まあ、これでハッキリとクロと出たら、日本の原子力産業は終わるやろから、怖いのは認めるけどな。
今回の発症率の増加が事故によるものであった場合、極めて恐ろしいことがおこる。チェルノブイリの影響が出るのが4~5年後やったこと、検査技術のせいで早期の小さながんがみつかっていること、それらを考えたら、これから先、患者数はさらに増えるということになる。
そして、誰が見てもわかるほど患者数が増えたら、まず福島県が終わる。若年層を中心に極端な人口流失がおこって、10年もしたら行政自体が動かなくなる。
このパニックが拡大して首都圏にまで及んだら、日本経済オワタが確実や。外資は一斉に引き上げるやろ。原発の再稼働議論もたいした問題ではなくなる。なんせ電気自体、あんまり必要ない国になっておるやろからな。
いくらワシでも、今回のデータばかりは測定誤差か、検査精度の向上だけが原因であってほしい。事故とちょっとでも関係があったとなると、日本国自体のダメージは計り知れんものがある。
おこってしまったことを、いくらボヤいても仕方ないが、福島のデータを比較検討できるようにするために、他地域での青少年向けの甲状腺がんの検査を、即急にはじめてほしいと思っておるの、ワシだけかのう。
ヨハネス 山城
通りがかりのサイエンティスト