参院選前に読みたい政治マンガ5選と投票率を上げる秘策

本山 勝寛

参院選が始まる。今回の選挙ではその結果もさることながら、投票率の推移にも注視したい。参院選の前哨戦とも言われた先日の都議選では、本ブログにも書いたとおり戦後二番目に低い投票率が記録された。特に若年層の投票率の低さは顕著であり、ネット選挙解禁後初めての国政選挙で、若年層の投票行動にどのような変化があるのかは注目したい。


投票率の向上、とりわけ若者の投票率が上がるかどうかが、日本の未来を占う1つの指標だと思う。日本の選挙の投票率は年齢が下がるほど低くなる。さらに若年層の人口比率の低さも加わって、票にならない若者や子どもを意識した政策は優先度が下がるという構造になっている。これでは未来への投資がおろそかになり、国の将来は危うい。投票率を上げるために何ができるか、与野党問わず真剣に考えるべきである。

インターネットによる選挙運動の解禁は前進と言えるが、今回若年層の投票率にさほど大きな影響を及ぼさないような気がする。本記事では、ちょっと違った観点から、若者の政治への関心を高める方法を考えたい。ズバリ、若者に薦めたい政治マンガトップ5を紹介するので、ぜひ読んでみてもらいたい。

第五位:現在官僚系もふ
現在官僚系もふ 1 (ビッグコミックス)
現在官僚系もふ 1 (ビッグコミックス) [コミック]

官僚マンガで、画もストーリーも今風で軽いタッチなので読みやすい。三流大学からたまたま財務省に入った主人公が、財務省を中心に官僚、政治の世界に切り込むというストーリーで、楽しみながら政治が学べる。政治に関心のない若い読者にオススメだ。

第四位:票田のトラクター
票田のトラクター 1 (ビッグコミックス)
票田のトラクター 1 (ビッグコミックス) [新書]

ちょっと古い作品になるが、秘書の視点から政治の生々しいところを描き出していて面白い。政策や政治理念とか難しいという人も、選挙というゲームを楽しむ感覚で読める。政治の裏側が見えてくるので、政治ニュースの見方もちょっと変わってくるのでは。

第三位:『大宰相』
歴史劇画 大宰相(1) (講談社+α文庫)
歴史劇画 大宰相(1) (講談社+α文庫) [文庫]

名作「小説吉田学校」をゴルゴ13のさいとうたかおが劇画化した作品。現実の昭和政治史をマンガにしており、歴代の自民党総理大臣が登場する。理系人間だった私は東大生協に置いてあったこのマンガを立ち読みで読破し、政治への関心を一気に高めた。安倍さんも民主党幹部もこの頃の政治家の流れにある人たちなので、昭和政治史をおさえておくことは大いに役立つが、はっきり言ってそこら辺の教科書や本よりずっと理解が深まるだろう。

第二位:『加治隆介の議』
加治隆介の議(1) (講談社漫画文庫)
加治隆介の議(1) (講談社漫画文庫) [文庫]

サラリーマン漫画の金字塔「島耕作」の政治版ともいえる作品。フィクションとしてのエンターテイメント性を持ちながらも、現実政治からかけ離れたストーリーでもなく、楽しみながら政治を学べる。島耕作の読者であればなおさら読みやすい。石破さんや麻生さん、前原さんなど名だたる政治家も推薦しており、理想の政治家像を描いた正攻法な作品だ。

第一位:『サンクチュアリ』
サンクチュアリ (1) (ビッグコミックス)
サンクチュアリ (1) (ビッグコミックス) [コミック]

これは文句なくを大推薦したい。2人の若者が政治と極道の道に分かれ、日本を変えていく友情のストーリー。はっきり言って熱い。そしてかっこいい。政治マンガというカテゴリーでなくても、20代に必ず抑えておきたい3つのマンガにも入っており、「神マンガ」との声が高い。若手経営者も座右の書としている人が多く、ミクシィ創業者の笠原さんや、オイシックスの高島さんも強い影響を受けたことを証ている。ちなみに、このマンガは東大生の間でもけっこう回し読みされている。

私は、このサンクチュアリをぜひ人気若手俳優を使ってドラマ化してほしいと思っている。木村拓哉が演じた政治ドラマ「チェンジ」よりも人気になるのではと思う。若者の政治への関心はそういうところから始まるのではないだろうか。日本には医者や弁護士、刑事ドラマは数多いが、政治ドラマはほとんど放映されない。各局は選挙のときだけ特番を組んで、政局ばかりをニュースに流すだけでなく、ぜひ骨太でかつ楽しい政治ドラマにもチャレンジしてもらいたい。アメリカでも、「ザ・ホワイトハウス」は人気シリーズだ。

ここで挙げた作品は拙著『マンガ勉強法』でも紹介した作品だが、他にも政治、国際情勢などのお薦めマンガを紹介しているので、興味のある方は手にとっていただきたい。

頭がよくなる! マンガ勉強法 (ソフトバンク文庫)
頭がよくなる! マンガ勉強法 (ソフトバンク文庫) [文庫]

参院選前にどれか1つでも読んでみると、政治の見え方も変わり、投票に行ってみようという気持ちにもなるかもしれない。政治リテラシーは20歳以上の成人にとって必須の教養だ。賦与された権利をドブに捨てるのではなく、責任と誇りをもって行使していただきたい。そのためにも、まずはマンガで楽しみながら学ぶことから始めてはいかがだろう。

学びのエバンジェリスト
本山勝寛
http://d.hatena.ne.jp/theternal/
「学びの革命」をテーマに著作多数。国内外で社会変革を手掛けるアジア最大級のNGO日本財団で国際協力に従事、世界中を駆け回っている。ハーバード大学院国際教育政策専攻修士過程修了、東京大学工学部システム創成学科卒。1男2女のイクメン父として、独自の子育て論も展開。アゴラ/BLOGOSブロガー(月間20万PV)。著書『16倍速勉強法』『16倍速仕事術』(光文社)、『マンガ勉強法』(ソフトバンク)、『YouTube英語勉強法』(サンマーク出版)、『お金がなくても東大合格、英語がダメでもハーバード留学、僕の独学戦記』(ダイヤモンド社)など。