久しく聞かなかった大きな航空機事故。テレビの画像を見た際、滑走路の手前で落ちていることから失速では、と思ったのですが、どうもその公算が高いようです。ならば、これは操縦ミスの可能性が否定できず、アシアナ航空のイメージは大きく傷がつくかもしれません。
ウォールストリートジャーナル日本語版でなぜ、この航空機に中国人乗客が多かったか、という記事があります。理由は太平洋線の路線数が足りない、というものでした。中国の航空会社は北米線の多くは北京、上海発。ところが、いまや、中国各地から北米への利用客が増えていることを考えれば便数は圧倒的不足とのことなのです。そこで、中国を含むアジア各地の人たちが北米に行くために乗り継ぎ便を選ぶのですが、その多くが韓国と日本なのであります。
中国では最近、日中間の微妙な空気もあり、一部のお客様が韓国経由に流れていた、ということのようです。
私が、更に理由を挙げるなら、JALが再生に伴い、北米便を絞ったり小さい機材を使用していること、および、アメリカ、カナダの航空会社も便数が以前と比べ減っていることがあるかと思います。
たとえば、バンクーバー線は比較的搭乗率が高いのですが、理由はそのお客様の多くは非日本人であることがあげられましょう。特に目立つのがインド。バンクーバーは北米最大のインド人街を持ちますが、インド人が本国に一時帰国するには距離の関係もあり乗り継ぎが必要。その中間点にあるのが日本、ということになるのです。
また、香港や東南アジアのお客様も多いようですが、それも結局、予約が一杯で取れないか目的地に直行便がない人が成田を乗り継ぎに使っているのです。
つまり、いまや北米線は日本人のお客様だけでなく外国人が非常に増えている、といっても過言ではないと思います。
これは日本の商社が一昔前の日本と外国のビジネス関係から三国間貿易などに発展したケースと似ているのではないでしょうか? ハブ空港がなぜ、それほど注目されていたか、といえばまさにこのビジネスだったわけです。
この北米線も路線によってはこのような事情から航空運賃が高止まりになっています。シートセールでも燃料費まで入れれば15万円程度はかかってしまう状況を考えればもう少し機材を大きくするか、便数を増やしたらよいのに、と思うこともしばしばです。
多分ですが、アシアナ航空の事故によりJALやANAに流れる顧客が必然的に増えるはずです。ただでさえ7、8月のピークを迎えるところで困るのはビジネス用途。急な出張などが入っても対応できない状態になってしまうのです。そういう点においても常に満員という状況は考えものなのかも知れません。
アジアの時代を迎え、日本の航空会社はアジア線の増強にシフトしていると思いますが、ハブの強化という点からすれば、太平洋線とのコネクションを確実にすることで大きな果実を得ることが出来るかもしれません。
今日はこのぐらいにしておきましょうか?
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年7月9日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。