サントリー食品上場の背景に何がある

アゴラ編集部

サントリーHDの子会社、サントリー食品が東証一部へ上場し、ネット上の個人投資家はその株価に一喜一憂しています。連休明けも株価は順調らしい。これでサントリーは数千億円もの資金を市場から調達でき、積極的なM&Aを加速させていくようです。一方、長く同族企業の非上場として食品業界に君臨してきた同社なんだが、創業者である鳥井信治郎氏の「やってみなはれ」精神がなくなるのでは、という声もあります。サントリー食品の時価総額は上場によって1兆円規模になる、との話もあり、創業一族の大株主にしてみれば創業者の言葉はともかくウハウハでしょう。


夢テクの世界」というブログでは、サントリーのコーポレートアイデンティティ、いわゆる「サントリーらしさ」を守る姿勢を学びたい、と書いています。つまり、サントリーHDは非上場のままにし、子会社を上場させたのはブランドを守るためだった、ということ。キリンホールHDとの統合話がオジャンになったのも寿不動産の参画にキリン側が難色を示したから、と言われています。サントリー食品は同HDの屋台骨とはいえ、やはり本業は酒屋であり同社のブランドの根幹なんでしょう。

逆を言えば、非上場で長くやってきた老舗企業といえど、競争激化しているグローバル化などの環境下、M&Aなどで拡大再生産しないとやっていけなくなっているのかもしれません。まだ非上場の大手優良企業といえば、食品ではロッテやミツカンなどがある。食品以外でも建設の竹中工務店、不動産の森ビル、運輸の佐川急便、旅行のJTB、情報のリクルートなどが非上場です。これら有名企業なら社員が銀行ローンを組むさいに非上場で不利になることもなさそうなんだが、創業経営者が引退して後継者の時代になると、上場して事業を拡大することを経営手腕と錯覚させなければガバナンスが保たない、という事情もあるでしょう。そんな背景と関係があるかどうかわかりませんが、今回の上場はサントリー食品の社長が同HD社長になるための試金石の側面もあるようです。

ビジネス・ジャーナル
サントリー“まれな”親子逆転上場、真の狙いとは? 飲料業界再編への起爆剤か


消費税増税は経済に大きなショックを与える
株式市場は非常識 : 変化をつかめ!
選挙前だから増税なんて一言も口にしませんね。アベノミクスの第二の矢では、予算を拡充して大規模な公共投資を行った。この財源はやはり国債です。なんとなくムードで景気が上向いてきた感じもしますが、第三の矢である成長戦略が効果を上げてるわけじゃない。税収が上がる保証はどこにもないので、消費増税をやるしかありません。しかし、駆け込み需要は少しはあるかもしれないんだが、このブログによれば、アベノミクス、という本来の方向性を堅持し、まだ増税せずに法人税率引き下げなどの政策を続けよ、と書いています。せっかく消費が上向いてきたところに消費税増税だと冷水を浴びせることになりかねない、というわけ。問題の根本は解決できてないのにもかかわらず、現状が良ければ未来もいいよね、きっと、という「幻想」を捨てないとダメです。

単3電池1本で10時間通話、緊急用GSMケータイが日本で発売
ケータイWatch
こういうのがどうして日本企業から出てこないのかな、という疑問は当然です。カメラなんて付いてなくてもいいし、ゲームなんかできなくてもいい。電源確保を緊急時に対応させ、連絡できればいいんです。SIMカードは別途必要とのことで、日本国内ではまだ未対応です。値段もちょっと高い。5000円前後にして子どもたちに持たせてもいいかもしれません。

「ねえ、今動いたでしょ?」 Wi-Fiネットワークは壁の向こうを透視するツールとして活用可能(動画あり)
GIZMODO
どうも既存の技術を別の目的に転用する、ということが盛んに行われ始めているらしく、ソニーのFeliCaを使ったSuicaやPASMOを「鍵」認証に使う、というサービスもあります。この記事によれば、Wi-Fiの信号をレーダーやソナーのように使って、建物内部のようすを探ることができるそうです。確かに一種の電波だから反射の具合を調べることができるんでしょう。その物体が動いていたりしたら一目瞭然なのかもしれません。

ノロウイルスを捕捉する腸内細菌
看護師として気になったニュースや話題
北大の研究成果なんだが、これをやったのが工学部大学院の土木工学系のセンセたちらしい。下水処理をする際に、ノロウイルスを腸内細菌を使って補足させてから濾過する、という技術につながる、というわけです。このブログでは、錠剤か何かで予防的にこの腸内細菌を摂取できたら、と書いている。季節柄、ちょっと気になる研究です。


アゴラ編集部:石田 雅彦